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【農林水産省】開発者の権利保護強化へ  ブランド農産物の流出防止

財界オンライン 2023年1月15日 11時30分

農林水産省は、30年の農林水産物・食品の輸出額5兆円目標の達成に向け、農産物のブランド品種流出に歯止めをかけるため、開発者の権利を保護・管理する機関設立を支援する。優良な新品種の海外での無断栽培を防ぐため、改訂した政府の輸出拡大実行戦略に盛り込んだ。23年度には、農研機構などが開発した一部品種を対象に海外での品種登録などに取り組む。

 新品種の開発者には、発明品の特許と同じように「育成者権」と呼ばれる知的財産権が認められる。ただ、無断流出すれば開発者は正当な見返りを受けられず、国内農家は輸出の機会を奪われるため、政府が進める輸出拡大にも足かせとなる。

 実際、人気の高級ブドウ「シャインマスカット」など、苦労の末に開発・品種改良したブランド農産物の種や苗が無断で海外に持ち出されるケースは後を絶たない。シャインマスカットは中国で日本の約30倍の栽培面積まで急拡大。農水省の試算によると、本来得られた権利使用料は年間100億円を超えるという。

 石川県が開発した高級ブドウ「ルビーロマン」は限られた農家にのみ苗を配布。ただ、関係者はブドウが市場に出回る前に海外の農業者から栽培方法の問い合わせが入ったと明かす。農水省によると、優良品種は「ほぼ海外流出している」(幹部)状態だ。

 こうした事態を防ぐため、育成者権を管理・保護する団体を2~3年をメドに設立。手の回らない開発者に代わり、新品種の無断流出がないか監視するほか、海外で育成者権の取得や商標登録を代行する。

 新品種の研究開発を行う農研機構を中心に、都道府県や日本種苗協会、全国農業協同組合連合会(JA全農)などが連携し、22年度中に設立に向けた準備体制を整備。海外での品種登録など仲介業務から始め、ノウハウを蓄積することで業務基盤を固めて早期の法人化を目指す。

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