米国での年間薬剤費は約350万円
エーザイが米製薬会社バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が次のステージに進んだ。同薬が米食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得。欧州医薬品庁にも販売承認を申請し、23年度中の承認を目指す。また、日本でも新薬承認申請を行った。
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「社会的インパクトは非常に大きなものになる」─。CEOの内藤晴夫氏は強調する。レカネマブは効果が予測できれば使用を認める迅速承認を米国で取得。米国での年間薬剤費は約350万円。ただ、迅速承認の場合は高齢者向けの保険が適用されない。そのため同社は正式承認に向けた申請も行っている。
アルツハイマー病と言えば長らく不治の病とされてきた。治療薬はあるにはあったが、残った神経だけを活用しているに過ぎず、時間の経過と共に服用前と同様のスピードで認知機能が低下する経過を辿ってきた。
しかしレカネマブは認知機能の低下を長期間抑制できると確認できた新薬だ。日本では高齢者の6人に1人が認知症を患い、このうち最も多いのがアルツハイマー。脳内に蓄積した異常なタンパク質で神経細胞が破壊され、脳に萎縮が起きるものだが、レカネマブはそれを抑制する。
認知症の患者の増加は患者本人以外にも社会に大きなマイナス影響をもたらす。医療費などの財政的な負担を与え、認知症患者のいる家族が介護で離職を迫られる。結果、人口減少で人手不足が続く日本の労働市場にも悪影響をもたらす。その点、同薬開発の意義は大きい。
ただ、ネックになるのは薬価。「保険適用がなければ、新薬の恩恵を受けることができるのは自己負担が可能な人に限られる」(関係者)。そこで同社は日本でも認められれば公的保険診療の適用を想定しており、年間100万円台となれば普及も進む。
もっとも、医療関係者からは「2週間に1回の点滴が必要な薬のため、患者に病院まで来てもらう必要がある」との声もあり、克服すべき課題もある。
エーザイにとっては、かつてアルツハイマー病新薬候補「アデュカヌマブ」が日本と欧州で承認が見送りとなり、〝夢の新薬〟が頓挫した経緯があるだけに、レカムマブへの経営面でのインパクトも期待される。
エーザイが米製薬会社バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が次のステージに進んだ。同薬が米食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得。欧州医薬品庁にも販売承認を申請し、23年度中の承認を目指す。また、日本でも新薬承認申請を行った。
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「社会的インパクトは非常に大きなものになる」─。CEOの内藤晴夫氏は強調する。レカネマブは効果が予測できれば使用を認める迅速承認を米国で取得。米国での年間薬剤費は約350万円。ただ、迅速承認の場合は高齢者向けの保険が適用されない。そのため同社は正式承認に向けた申請も行っている。
アルツハイマー病と言えば長らく不治の病とされてきた。治療薬はあるにはあったが、残った神経だけを活用しているに過ぎず、時間の経過と共に服用前と同様のスピードで認知機能が低下する経過を辿ってきた。
しかしレカネマブは認知機能の低下を長期間抑制できると確認できた新薬だ。日本では高齢者の6人に1人が認知症を患い、このうち最も多いのがアルツハイマー。脳内に蓄積した異常なタンパク質で神経細胞が破壊され、脳に萎縮が起きるものだが、レカネマブはそれを抑制する。
認知症の患者の増加は患者本人以外にも社会に大きなマイナス影響をもたらす。医療費などの財政的な負担を与え、認知症患者のいる家族が介護で離職を迫られる。結果、人口減少で人手不足が続く日本の労働市場にも悪影響をもたらす。その点、同薬開発の意義は大きい。
ただ、ネックになるのは薬価。「保険適用がなければ、新薬の恩恵を受けることができるのは自己負担が可能な人に限られる」(関係者)。そこで同社は日本でも認められれば公的保険診療の適用を想定しており、年間100万円台となれば普及も進む。
もっとも、医療関係者からは「2週間に1回の点滴が必要な薬のため、患者に病院まで来てもらう必要がある」との声もあり、克服すべき課題もある。
エーザイにとっては、かつてアルツハイマー病新薬候補「アデュカヌマブ」が日本と欧州で承認が見送りとなり、〝夢の新薬〟が頓挫した経緯があるだけに、レカムマブへの経営面でのインパクトも期待される。