先行投資のメリットを活かして
─ 岩手県を中心とする東北で建築設計業務を手掛ける久慈設計ですが、近年は首都圏やアジアでも活動範囲を広げていますね。
久慈 はい。当社は1931年(昭和6年)、岩手県盛岡市で祖父・久慈謙司が設立した建築設計の専門会社です。以来、90年以上に渡り、多くのお客様や取引先の方々に支えられてきました。建築設計を取り巻く環境が変化する中で、必死に時代が求める変化に対応し、なんとか仙台や東京に事務所を構え、ベトナム・ホーチミンに事務所を開設したり、タイ・バンコクに現地法人を設立したりして、今日に至りました。
─ 多くの建築設計事務所がある中で、久慈設計の特徴は何ですか。
久慈 当社の特徴は、高品質で高速に成果物をお客様に届けるということだと思います。
当社ではBIM(Building Information Modeling=ビム)と言いまして、設計図を三次元化する手法を取り入れています。BIMはコンピューター上に建物の立体モデルを再現して、よりよい建物づくりに活用していく仕組みです。
これは10年くらい前から大手のゼネコンや設計事務所で取り入れてきた手法ですが、われわれのような規模の地方の設計事務所が導入しているのは、まだ珍しいと思います。
野村不動産社長・松尾大作の「神は細部に宿る」精神 「新しい街づくりは小さなことの積み重ね」
─ BIMを導入するメリットはどういうところにあるのか、何か具体的な事例はありますか。
久慈 例えば、当社は官公庁や学校などの公共施設を手掛けることがほとんどですが、学校に校舎を建てた時にどこに木を植えるか考えるとしますよね。
そうなったら、校舎の周りにどういった風の流れがあるのかを考えて木を配置していくんですが、ここに防風林を植えれば砂ぼこりが舞ったとしても、近隣住居に飛ばなくなるから住民たちの理解を得やすいと。そういうことを説明するには、二次元の図面よりよっぽどいいですよね。
─ 頭の中でイメージしやすいというのがメリットなんですね。
久慈 ええ。ですから、市長さんや町長さんから「どんな建物になるんだ?」と言われた時にイメージがしやすいと思うんですよ。
線だけで書かれた二次元の図面では、毎日、設計図を見ている人でなければ、建物の完成予想がイメージできません。設計の段階からお客様と完成イメージを共有できるので、完成形を理解していただくスピードが速くなります。
ところが、悩ましいのは、このBIMというのはランニングコストが非常にかかります。当社の場合、毎年700万円くらいがコストとしてかかってくるんですが、これだけのコストを払うのは中小・中堅の設計事務所にとっては大変なことです。
─ なるほど。だから、BIMを導入しているのは、大手のゼネコンや設計事務所に限られてくるわけですね。
久慈 そうなんです。ですから、岩手に本社を置くわれわれのような会社がBIMを導入していると言うと、皆さん驚かれます。東京にはBIMを導入している会社は沢山ありますが、岩手ではまだ珍しいです。
そうは言いながらも、3年後、5年後になれば、BIMを導入する設計事務所はもっと増えてきます。だから、現時点では久慈設計が一歩前に立っているからチャンスなんですよね。それが先行投資をしたメリットになりますね。
ただ、当社にインターンでやってきたり、入社してくる社員の中には、「BIMがやりたいから久慈設計を選びました」と言ってくれる人もいます。ですから、コストはかかりますが、それも先行投資の一環だと考えています。
大和ハウス工業・芳井敬一社長の決意『常に成長を求める。事業を通じて人を育てていく』
─ 岩手県を中心とする東北で建築設計業務を手掛ける久慈設計ですが、近年は首都圏やアジアでも活動範囲を広げていますね。
久慈 はい。当社は1931年(昭和6年)、岩手県盛岡市で祖父・久慈謙司が設立した建築設計の専門会社です。以来、90年以上に渡り、多くのお客様や取引先の方々に支えられてきました。建築設計を取り巻く環境が変化する中で、必死に時代が求める変化に対応し、なんとか仙台や東京に事務所を構え、ベトナム・ホーチミンに事務所を開設したり、タイ・バンコクに現地法人を設立したりして、今日に至りました。
─ 多くの建築設計事務所がある中で、久慈設計の特徴は何ですか。
久慈 当社の特徴は、高品質で高速に成果物をお客様に届けるということだと思います。
当社ではBIM(Building Information Modeling=ビム)と言いまして、設計図を三次元化する手法を取り入れています。BIMはコンピューター上に建物の立体モデルを再現して、よりよい建物づくりに活用していく仕組みです。
これは10年くらい前から大手のゼネコンや設計事務所で取り入れてきた手法ですが、われわれのような規模の地方の設計事務所が導入しているのは、まだ珍しいと思います。
野村不動産社長・松尾大作の「神は細部に宿る」精神 「新しい街づくりは小さなことの積み重ね」
─ BIMを導入するメリットはどういうところにあるのか、何か具体的な事例はありますか。
久慈 例えば、当社は官公庁や学校などの公共施設を手掛けることがほとんどですが、学校に校舎を建てた時にどこに木を植えるか考えるとしますよね。
そうなったら、校舎の周りにどういった風の流れがあるのかを考えて木を配置していくんですが、ここに防風林を植えれば砂ぼこりが舞ったとしても、近隣住居に飛ばなくなるから住民たちの理解を得やすいと。そういうことを説明するには、二次元の図面よりよっぽどいいですよね。
─ 頭の中でイメージしやすいというのがメリットなんですね。
久慈 ええ。ですから、市長さんや町長さんから「どんな建物になるんだ?」と言われた時にイメージがしやすいと思うんですよ。
線だけで書かれた二次元の図面では、毎日、設計図を見ている人でなければ、建物の完成予想がイメージできません。設計の段階からお客様と完成イメージを共有できるので、完成形を理解していただくスピードが速くなります。
ところが、悩ましいのは、このBIMというのはランニングコストが非常にかかります。当社の場合、毎年700万円くらいがコストとしてかかってくるんですが、これだけのコストを払うのは中小・中堅の設計事務所にとっては大変なことです。
─ なるほど。だから、BIMを導入しているのは、大手のゼネコンや設計事務所に限られてくるわけですね。
久慈 そうなんです。ですから、岩手に本社を置くわれわれのような会社がBIMを導入していると言うと、皆さん驚かれます。東京にはBIMを導入している会社は沢山ありますが、岩手ではまだ珍しいです。
そうは言いながらも、3年後、5年後になれば、BIMを導入する設計事務所はもっと増えてきます。だから、現時点では久慈設計が一歩前に立っているからチャンスなんですよね。それが先行投資をしたメリットになりますね。
ただ、当社にインターンでやってきたり、入社してくる社員の中には、「BIMがやりたいから久慈設計を選びました」と言ってくれる人もいます。ですから、コストはかかりますが、それも先行投資の一環だと考えています。
大和ハウス工業・芳井敬一社長の決意『常に成長を求める。事業を通じて人を育てていく』