日銀のサプライズは「デフレ終了宣言」か
前回指摘しましたが、2022年末に日本銀行・黒田東彦総裁が長期金利の変動幅を「プラスマイナス0.5%程度」に広げ、市場にショックを与えました。これが日本の金融緩和の「終了宣言」なのか、市場ははっきりわかっていない状況です。
【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】2023年初めに日米の株価は底入れ、新たな上昇相場が始まる?
むしろ、23年は日銀総裁が交代しますから、次の総裁の下の政策に、市場は注目しつつあります。ですから日銀による「0.5%ショック」は株価に織り込まれた形になっています。新総裁が金融緩和路線を変更するかどうかは4月以降にならないと判断できないということです。
0.5%の変動幅引き上げ後の黒田総裁の会見では、「金融引き締めではない」として、金融緩和を継続する姿勢が示されました。そこで市場では、日銀がFRB(米連邦準備制度理事会)並みに利上げ、引き締めに政策を変更することは今のところはないという判断をし、安堵したわけですが、新体制の政策には注意を払う必要があります。
もう一つ、今回の変動幅拡大は「デフレ終了宣言」だという受け止めがあります。これは株式市場にとってはプラス材料です。長年個人、企業、政府の隅々にまで行き渡っている「デフレマインド」が、ようやく少しずつ払拭されつつあるのです。
デフレマインド払拭の具体的動きが、大企業、成長企業が揃って賃上げを始めていることです。1990年代のバブル崩壊後、日本経済は「慢性デフレ」に苦しんできました。
それが12年の安倍第2次政権誕生後、13年の「アベノミクス」政策開始によって、ようやくデフレ脱却に向けて動き出したわけです。そして安倍政権の後の菅政権、岸田政権と、今もデフレ脱却に向けて走っている最中ですが、日銀の金利変動幅拡大で、日本にも金利上昇期待が出てきています。
23年はデフレ脱却の動きが顕著になる可能性がありますが、そこで困るのが、金利が上がると財政負担も増えるということです。それでなくとも借り換え国債の量が増えているわけですから金利負担が懸念されます。
財務省と日銀の連携になりますが、今後の国債の発行額や利払いに関して、負担リスクが出てきているということです。
今後、日本の金利は「1%の攻防」に入っていくと思います。0.5%の変動幅拡大だけで、みんな驚いたわけですが、最低でも1%に乗らないとデフレ脱却とは言えません。
財務省は金利負担もあって金利上昇を懸念しているのだと思いますが、彼らの立場からするとインフレは「敵」ですからデフレの方がいいのだと思います。ですから、その政策はどうしてもデフレを温存しながら増税するというものになります。
また、米国では引き続き、インフレが猛威を奮っていますから、FRBは引き続き、利上げを続けざるを得ません。これは米国の景気に大いにマイナス効果になりつつあります。株価は当分、乱高下が続くでしょう。
以前から指摘しているように、米ナスダックは21年11月に歴史的天井、ニューヨークダウは22年1月に天井を付けましたから、波乱相場の中で次第に安値を切り下げていくという展開が予想されます。米国の株価、景気には当面期待ができせん。
比較すると、日本株の今後には期待ができます。日本はインフレではなく、エネルギーコストが上がっているだけです。米国株式市場は当分低迷、波乱相場が続くでしょうし、欧州は「戦場」になっていますから、長期停滞に陥る可能性があります。
ですから、先進国の中で唯一投資できる市場は日本ということになります。なので、やがて日本経済、日本株を見直す「バイ・ジャパン」(日本買い)の時代がやってきます。すでに海外から日本の株、不動産に投資する動きが出ています。
相場の波動で見ると日経平均の22年の安値、3月9日の2万4681円を底に「逆三尊」、「トリプルボトム」が入っています。酒田五法でいう「底入れ」のサインです。
それに加えて、22年6月20日の安値は2万5520円、22年10月3日の安値が2万5621円、23年1月4日の安値が2万5661円と、わずかながら安値が切り上がっている展開です。
22年11月24日の戻り高値、2万8502円が当面の目標値ですが、23年1月4日までの下げ幅が2841円で、この半値戻しが2万7000円です。当面ここが壁になりますが、もし突破してくると短期サイクルでは上昇サインです。突破できなければ当面底値模索になります。
今のところ、年初1月4日の大発会が安値という皮肉な展開ですが、ここから「3月またがり60日」がいつかというと3月4日です。ここまでに2万7000円を突破して、22年11月の高値である2万8000円を奪回する可能性が高いと見ます。
23年第1四半期が、日本経済、日本の株価の底となり、第2四半期以降は上昇してくると見ています。これは以前から指摘しているように23年3月期の日本企業の決算が、いい数字が出てくる可能性があるからです。
しかも、円安によって海外マネーが入ってくること、入国規制の緩和でインバウンドによるメリットを受ける企業が出てきます。これを織り込んで4月以降株価が上昇し、ゴールデンウィーク、5月中旬まで高値を付けて、21年の高値である3万円台を奪回、あるいは接近する可能性があると予想しています。
同時期、米国のインフレがピークアウトすることで、株価が再び上昇を始める可能性があり、日米共に株高が予想されますが、米国は二番天井ですから、投資家は気をつける必要があります。つまり日米の株価が、いずれ近い将来デカップリングになるということです。
日本のウィークポイントは政治のリーダーシップの欠如です。支持率の低迷が今後も続くようであれば、5月の広島サミットの後、解散総選挙の可能性が出てきます。この場合「禊選挙」となり、選挙後には体制を一新することで、株価上昇となることが期待されます。
前回指摘しましたが、2022年末に日本銀行・黒田東彦総裁が長期金利の変動幅を「プラスマイナス0.5%程度」に広げ、市場にショックを与えました。これが日本の金融緩和の「終了宣言」なのか、市場ははっきりわかっていない状況です。
【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】2023年初めに日米の株価は底入れ、新たな上昇相場が始まる?
むしろ、23年は日銀総裁が交代しますから、次の総裁の下の政策に、市場は注目しつつあります。ですから日銀による「0.5%ショック」は株価に織り込まれた形になっています。新総裁が金融緩和路線を変更するかどうかは4月以降にならないと判断できないということです。
0.5%の変動幅引き上げ後の黒田総裁の会見では、「金融引き締めではない」として、金融緩和を継続する姿勢が示されました。そこで市場では、日銀がFRB(米連邦準備制度理事会)並みに利上げ、引き締めに政策を変更することは今のところはないという判断をし、安堵したわけですが、新体制の政策には注意を払う必要があります。
もう一つ、今回の変動幅拡大は「デフレ終了宣言」だという受け止めがあります。これは株式市場にとってはプラス材料です。長年個人、企業、政府の隅々にまで行き渡っている「デフレマインド」が、ようやく少しずつ払拭されつつあるのです。
デフレマインド払拭の具体的動きが、大企業、成長企業が揃って賃上げを始めていることです。1990年代のバブル崩壊後、日本経済は「慢性デフレ」に苦しんできました。
それが12年の安倍第2次政権誕生後、13年の「アベノミクス」政策開始によって、ようやくデフレ脱却に向けて動き出したわけです。そして安倍政権の後の菅政権、岸田政権と、今もデフレ脱却に向けて走っている最中ですが、日銀の金利変動幅拡大で、日本にも金利上昇期待が出てきています。
23年はデフレ脱却の動きが顕著になる可能性がありますが、そこで困るのが、金利が上がると財政負担も増えるということです。それでなくとも借り換え国債の量が増えているわけですから金利負担が懸念されます。
財務省と日銀の連携になりますが、今後の国債の発行額や利払いに関して、負担リスクが出てきているということです。
今後、日本の金利は「1%の攻防」に入っていくと思います。0.5%の変動幅拡大だけで、みんな驚いたわけですが、最低でも1%に乗らないとデフレ脱却とは言えません。
財務省は金利負担もあって金利上昇を懸念しているのだと思いますが、彼らの立場からするとインフレは「敵」ですからデフレの方がいいのだと思います。ですから、その政策はどうしてもデフレを温存しながら増税するというものになります。
また、米国では引き続き、インフレが猛威を奮っていますから、FRBは引き続き、利上げを続けざるを得ません。これは米国の景気に大いにマイナス効果になりつつあります。株価は当分、乱高下が続くでしょう。
以前から指摘しているように、米ナスダックは21年11月に歴史的天井、ニューヨークダウは22年1月に天井を付けましたから、波乱相場の中で次第に安値を切り下げていくという展開が予想されます。米国の株価、景気には当面期待ができせん。
比較すると、日本株の今後には期待ができます。日本はインフレではなく、エネルギーコストが上がっているだけです。米国株式市場は当分低迷、波乱相場が続くでしょうし、欧州は「戦場」になっていますから、長期停滞に陥る可能性があります。
ですから、先進国の中で唯一投資できる市場は日本ということになります。なので、やがて日本経済、日本株を見直す「バイ・ジャパン」(日本買い)の時代がやってきます。すでに海外から日本の株、不動産に投資する動きが出ています。
相場の波動で見ると日経平均の22年の安値、3月9日の2万4681円を底に「逆三尊」、「トリプルボトム」が入っています。酒田五法でいう「底入れ」のサインです。
それに加えて、22年6月20日の安値は2万5520円、22年10月3日の安値が2万5621円、23年1月4日の安値が2万5661円と、わずかながら安値が切り上がっている展開です。
22年11月24日の戻り高値、2万8502円が当面の目標値ですが、23年1月4日までの下げ幅が2841円で、この半値戻しが2万7000円です。当面ここが壁になりますが、もし突破してくると短期サイクルでは上昇サインです。突破できなければ当面底値模索になります。
今のところ、年初1月4日の大発会が安値という皮肉な展開ですが、ここから「3月またがり60日」がいつかというと3月4日です。ここまでに2万7000円を突破して、22年11月の高値である2万8000円を奪回する可能性が高いと見ます。
23年第1四半期が、日本経済、日本の株価の底となり、第2四半期以降は上昇してくると見ています。これは以前から指摘しているように23年3月期の日本企業の決算が、いい数字が出てくる可能性があるからです。
しかも、円安によって海外マネーが入ってくること、入国規制の緩和でインバウンドによるメリットを受ける企業が出てきます。これを織り込んで4月以降株価が上昇し、ゴールデンウィーク、5月中旬まで高値を付けて、21年の高値である3万円台を奪回、あるいは接近する可能性があると予想しています。
同時期、米国のインフレがピークアウトすることで、株価が再び上昇を始める可能性があり、日米共に株高が予想されますが、米国は二番天井ですから、投資家は気をつける必要があります。つまり日米の株価が、いずれ近い将来デカップリングになるということです。
日本のウィークポイントは政治のリーダーシップの欠如です。支持率の低迷が今後も続くようであれば、5月の広島サミットの後、解散総選挙の可能性が出てきます。この場合「禊選挙」となり、選挙後には体制を一新することで、株価上昇となることが期待されます。