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いかなる状況下でも「志」と「使命感」を持って生き抜く【私の雑記帳】

財界オンライン 2023年2月20日 7時0分

3年振りのリアル式典に

 いかなる状況下でも、志と使命感を失わず、しっかりと生き抜く─。今年度(2022年度)の『財界賞・経営者賞』授賞式典が1月20日(金)夕、東京・丸の内のパレスホテル『葵の間』で開かれ、約900人の方々が出席。会場では、互いに「頑張ろう」と声を掛け合う姿が見られた。

 受賞者の方々から、「自分の仕事に全力投球していきたい」という声を頂戴し、コロナ禍、ウクライナ危機などの厳しい環境下でも、前向きな力強いメッセージをいただいた。

 この式典の様子は、本誌グラビアで掲載している。ご参照いただきたい。過去2回はコロナ禍のため、WEB形式での開催。今回、3年ぶりにリアルの式典となったが、出席の皆さんからは、「こうやって顔と顔を合わせてやる新年の式典はやはりいいね」という言葉を多数いただいた。

 コロナ禍にあっても、皆さまのご協力をいただきましたこと、改めて、感謝申し上げます。


十倉雅和さんの決意

 混沌とする国際状況下、日本の立ち位置をどう取るか、また原材料価格上昇などコストプッシュインフレでの中で製品の価格体系をどう構築するか。そして、働く人の賃金引き上げを含めて、生き方・働き方改革をどう進めていくかという課題をわたしたちは今抱えている。

『財界賞』受賞の経団連会長・十倉雅和さんは、『サステナブル資本主義』の追求と、何より『人への投資』を敢然と進めていく決意を示された。

「人の潜在力の掘り起こしが日本の再生にもつながる。力を合わせてやっていきたい」という十倉さんの言葉に会場の皆さんもうなずいておられた。

 共感、連携の輪が広がっていることが感じられる式典であった。


中満泉さんの志に

『財界賞特別賞』受賞の国連事務次長・中満泉さんはニューヨークでの仕事の都合で、ビデオメッセージでの参加となった。

 中満さんはこの中で、戦争、テロ、地域紛争が続き、そして環境破壊もある中でも、決して希望を失わず、「世界の人々との連携で、課題を1つずつ解決していきましょう。わたしもこの仕事に懸命に取り組んでいきます」と決意を新たにしておられた。

 日本人としては9人目の国連事務次長、日本人女性としては初めてのこと。軍縮担当上級代表として世界中を飛び回っておられる。大学、大学院で学んだ後、国連難民高等弁務官事務所に入り、今日に至る中満さんの活動である。

 恩師・緒方貞子さんも1991年度(平成3年度)の『財界賞特別賞』を受賞されている。

 国家間の対立、社会分断を超えて、『人間の安全保障』、つまり世界中の1人ひとりが生きていく上での安全を掴めるようにしていこうという中満さんの考え。

 わたしたちも自分のできる範囲で世界平和の実現に努力していきたいものだ。


『人の可能性』を追求

 もう1人の『財界賞特別賞』の受賞者、栗谷義樹さん(地方独立行政法人『山形県・酒田市病院機構理事長』)。地域の医療崩壊を防ごうと、旧酒田市病院長時代の2008年に、旧山形県立病院との統合実現に努力され、『日本海総合病院』の設立に尽力。

 自分たちの手で課題解決へ向かっていく。そうした決意と実践・実行がまた国や自治体をも動かしていく。医学の道に入って半世紀、「全国に共感の和が広がっています」と語られる栗谷さんの笑顔がまた素晴らしい。

 また、『経営者賞』受賞の方々からも、それぞれ力強く、素晴らしいスピーチをしていただいた。

 それぞれの本業に取り組む志と使命感を聞かせていただいた。そして、自分の仕事に打ち込むことが社会貢献につながるということ。経営者賞の受賞者5人に共通するのは、「人の可能性」の掘り起こしである。

 問題を起こすのも「人」だが、課題を解決するのもやはり「人」である。「人」の可能性、潜在力を追求していきたい。


柳井正さんの志と決意

 危機感は人を新たなステージへと導く原動力になる─。このコロナ禍とウクライナ危機という混沌とした状況下にあって、頑張り抜く人たちが確かにいる。このことが、周囲の人たちを奮起させて、1つの大きなムーブメント(運動)に高まっていく。

『ユニクロ』を展開するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんがそうだ。2022年8月期も増収増益を果たし、今期(23年8月期)も過去最高益の実現を目指す。

『ユニクロ』は完全なグローバル企業。海外の売上比率は6割になる。波瀾続きの国際情勢、米中対立の中で、米国、中国双方に積極出店し、それぞれの国の消費者に支持される商品を提供している。

 経済安全保障だとか、国の分断ばかりが強調されがちな昨今の風潮。そうした中にあって、柳井さんは「国家間の分断はよくない。経済人は国の枠を超えて活動していく。経済人は世界をつなぐ役割と使命を担っています」と語る。


原理原則は世界中一緒

 1949年(昭和24年)2月7日生まれの柳井さんは74歳。ファッション、カジュアルウェアの道に入って半世紀。自分が経営を引き受けた時と今も経営理念は変わらない。

『ライフウェア』(LifeWear)─。究極の普段着を世界中の人々に、という気持ちで柳井さんは出発。「わたしはかつて炭鉱の街だった山口県宇部市の出身。何も無いところからスタートし、いろいろな出来事、失敗も体験してやってきました」と述懐する。

 とにかく挑戦し続ける。自分の思いを実現するために、失敗したからといって諦めず、目標に向かっていく。大事なのは志と使命感という柳井さんの経営観であり、人生観である。

「失敗したから、それで止めるというのではなく、失敗を次の成長の糧にする」という柳井さんの生き方。

 柳井さんが東京・原宿に『ユニクロ』を出店したのは1998年、日本がデフレになったとき。その前には大阪『アメリカ村』に出店したが、失敗に終わった。そこでくじけず、次の成長へ向かって、新しい事を始めようという意志・意欲が『ユニクロ』の成長につながっていった。

「できない、できないと思うから、何もできない。できると思うことから、仕事は始まります」

 そして柳井さんは次の言葉を強調する。

「僕は、経営の原理原則というのは、古今東西、全部一緒だと思うんですよ。全部一緒なので、それは中国でも日本でも、どこの国に行っても通用すると。そう思ってわたしたちは行動しています」

 志、使命感が世界を変えていく。

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