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更なる新規事業の創出を 『ソニーグループ』新社長に十時裕樹CFOが昇格へ

財界オンライン 2023年2月24日 7時0分

「グループ全体としての価値向上には、キャピタルアロケーション(資本配分)、事業間連携、事業ポートフォリオマネジメントの3つを着実に実行していく必要がある。そのため、新しい経営体制で、ソニーの更なる成長と進化を目指す」

 こう語るのは、ソニーグループ(G)会長兼社長CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎氏。ソニーGは4月1日付で副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏が社長COO(最高執行責任者)兼CFOに就任する人事を発表。グループ経営体制の強化を目的としたもので、吉田氏は会長CEOとなる。

 前社長・平井一夫氏の〝懐刀〟として経営再建を果してきた吉田氏が社長を引き継いだのと同様、吉田氏の懐刀である十時氏が次期社長に就任することにサプライズはない。傍目には実質的に2人の役割分担に変わりはないように見えるが、「グループ全体という視点で各事業のオペレーションを確認し、新しい方向にリードしていくことを期待している」(吉田氏)。

 十時氏は1964年生まれ。87年のソニー(現ソニーG)入社後は、財務部やロンドン駐在を経て、ソニー銀行の立ち上げに携わり、2002年にソニー銀行代表取締役就任。

 その後は、ソネットエンタテインメント(現ソニーネットワークコミュニケーションズ)副社長CFOやソニーモバイルコミュニケーションズ社長兼CEOを歴任。新規事業創出や子会社の社長経験などを買われての社長抜擢となった。

 これまで自らの経営経験から導き出したのは、『経営の要諦は勇気と忍耐にあり』という信条。十時氏は「リスクを見極めた上で決める勇気が必要だし、時には逆風も吹くけど、それを耐え抜く忍耐力の重要性を感じている」と話す。

 リーマンショック後に4期連続で最終赤字に苦しんだ時代は完全に過去のものとなった。平井・吉田体制でエレクトロニクス事業中心のビジネスモデルから脱却し、ゲームや映画、音楽を中心としたリカーリング(継続課金)ビジネスに注力。吉田・十時体制では同ビジネスモデルを強固にし、営業利益は1兆円を超えるまで成長した。

「成長にこだわって、お客さんに選ばれ、社員を元気にするポジティブスパイラルを作りあげていきたい」と語る十時氏。

 今後はホンダと共同開発を進める電気自動車(EV)などの事業を育成し、更なる新規事業の創出を図ることが十時氏の課題になりそうだ。

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