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【国土交通省】物流にも値上げの波「2024年問題」対応が急務

財界オンライン 2023年3月2日 11時30分

値上げの波が物流業界にも押し寄せている。ヤマト運輸と佐川急便がそれぞれ、約5年半ぶりとなる宅配便の運賃引き上げを発表した。背景には、コスト上昇に加え、トラック運転手の残業時間が制限される「2024年問題」への対応が急務だという事情がある。

 値上げの理由は共通だ。物流業界では、電子商取引(EC)拡大で宅配荷物が急増。運転手の高齢化や過酷な労働環境も重なって慢性的な人手不足に陥り、賃金単価が上昇している。ここに燃料や資材価格の高騰が直撃した。

 さらに追い打ちを掛けるのが24年問題だ。来年4月からトラック運転手の時間外労働が法律で年960時間までに制限され、人手不足が深刻化する懸念がある。

 両社とも、デジタル化や鉄道・海上輸送への転換などで労働時間短縮を図り、「対応は進んでいる」と口をそろえる。しかし、より問題視されているのは、これら大手企業が配送を委託している下請け企業の運転手へのしわ寄せだ。

 公正取引委員会は昨年末、コスト高にあえぐ下請けと協議せずに取引価格を据え置いたとして、各種業界の計13社・団体を公表し、改善を迫った。佐川急便はこの名指し対象に含まれていた。放置すれば独占禁止法違反と認定されかねないだけに、対応は待ったなしとなっている。

 同社は今回、「公取委の動きとは関係ない」と説明したが、値上げ理由には「24年問題に対応したパートナー企業の労働環境改善」も挙げており、下請けとの協議を急ぐ考えだ。

 ただ、基本運賃の改定対象は、佐川急便の宅配便取り扱い個数全体のわずか2%程度。今後は大口の法人顧客との個別契約でも値上げできるかも焦点となる。

 同様に24年問題対応を値上げ理由に掲げるヤマトは「外部環境変化に伴う影響を適時適切に反映させる」として、来年度以降も基本運賃を毎年改定する方針を表明。これをベースに法人顧客との契約見直し交渉に臨む構えを見せるが、思惑通り、荷主側の理解を得られるかは不透明だ。

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