やっとプロパーが育ってきた
─ 日本電産は1973年の創業以来、今年で50周年の節目を迎えます。この50年という足取りについて、永守さんはどのように総括していますか。
永守 最近は、去年ぐらいから後継者問題でいろいろ書かれたりもしているんですが、改めて分かったことは、世の中には自分が期待しているような経営者はいないなと。よく見たら、社内に人材がちゃんと育っていたということです。わたしは外部から人材を連れてこようとしていた、この10年間ぐらいは、時間を棒に振ったような気がします。
─ 社内に人材がいるということは、ある意味で救われる話ですね。
永守 それが良かったわけです。10年間、人を探して歩いているうちに、何のことはない。その間に内から人材が育っていたというのは、救われる話です。混乱の間にこんないい人材が育っていたということが分かったということで、この4月にはいよいよ5人の副社長を選任し、本格的な後継者を決めていこうと考えています(編集部注・3月13日に5人を決定)。
─ 現在は世界45カ国で事業を展開し、従業員も13万人のグループになっているわけですが、きちんと人材が育っているということですね。
永守 そうです。よそから人を迎えるのは、一時的には必要です。だけど、自分のところで育成してきた人材が中枢に立たないと、日本の企業は強くなりません。
最近では副社長を置いていませんでした。来年度からは5人の副社長を置いて、事業ごとに責任を持つ体制に切り替えます。ということは、将来的に若い社長が出てきても、事業ごとに責任者がいますからね。創業者であるわたしのように、1人で全部を見る必要はありません。
─ それは集団指導体制と言っていいんですか。
永守 集団指導体制です。ただ、われわれもすぐに身を引くわけではないので、副社長ができて、次の社長ができたら、わたしは名誉会長あたりになって、ちゃんとやってくれるかどうかを見ながら、だんだん手を離していきます。
今のところ、2030年度(2031年3月期)に売上高10兆円を達成するまで、わたしは関与するつもりです。
『カシオ』次期社長に増田専務 創業家以外から初のトップ
─ 永守さんから見て、伸びる人材の条件があるとすれば、どういうタイプの人ですか。
永守 いちばん強いのは、責任感のある人です。わたしは〝3P人材〟と言っているんですが、今は昔と違ってただ頑張るだけではダメで、まずはプロアクティブ。指示を受ける前にバーッと動く人でないといけませんし、生産性が高いプロダクティブでなければなりません。
そして、もう一つ必要なことはプロフェッショナルです。経営というのは、チームワークだけではダメなんですよ。何か強い専門能力をもっていなければならない。例えば、英語が堪能であるとか、何かの技術にものすごく強いものを持っているとか、そういうものを持っている人間の集団に変えないといけないと思います。
─ そういう人材を、この50年で育ててきたということですね。
永守 そうです。やっとプロパーが育ってきました。日本電産が好き、創業者が好き、日本電産の仕事が好き、そういう人が育ってきたことに手応えを感じています。
AGC・島村琢哉会長 「ポジションによって待遇、報酬を変える『日本型ジョブ型制度』も一つの道」
─ 日本電産は1973年の創業以来、今年で50周年の節目を迎えます。この50年という足取りについて、永守さんはどのように総括していますか。
永守 最近は、去年ぐらいから後継者問題でいろいろ書かれたりもしているんですが、改めて分かったことは、世の中には自分が期待しているような経営者はいないなと。よく見たら、社内に人材がちゃんと育っていたということです。わたしは外部から人材を連れてこようとしていた、この10年間ぐらいは、時間を棒に振ったような気がします。
─ 社内に人材がいるということは、ある意味で救われる話ですね。
永守 それが良かったわけです。10年間、人を探して歩いているうちに、何のことはない。その間に内から人材が育っていたというのは、救われる話です。混乱の間にこんないい人材が育っていたということが分かったということで、この4月にはいよいよ5人の副社長を選任し、本格的な後継者を決めていこうと考えています(編集部注・3月13日に5人を決定)。
─ 現在は世界45カ国で事業を展開し、従業員も13万人のグループになっているわけですが、きちんと人材が育っているということですね。
永守 そうです。よそから人を迎えるのは、一時的には必要です。だけど、自分のところで育成してきた人材が中枢に立たないと、日本の企業は強くなりません。
最近では副社長を置いていませんでした。来年度からは5人の副社長を置いて、事業ごとに責任を持つ体制に切り替えます。ということは、将来的に若い社長が出てきても、事業ごとに責任者がいますからね。創業者であるわたしのように、1人で全部を見る必要はありません。
─ それは集団指導体制と言っていいんですか。
永守 集団指導体制です。ただ、われわれもすぐに身を引くわけではないので、副社長ができて、次の社長ができたら、わたしは名誉会長あたりになって、ちゃんとやってくれるかどうかを見ながら、だんだん手を離していきます。
今のところ、2030年度(2031年3月期)に売上高10兆円を達成するまで、わたしは関与するつもりです。
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─ 永守さんから見て、伸びる人材の条件があるとすれば、どういうタイプの人ですか。
永守 いちばん強いのは、責任感のある人です。わたしは〝3P人材〟と言っているんですが、今は昔と違ってただ頑張るだけではダメで、まずはプロアクティブ。指示を受ける前にバーッと動く人でないといけませんし、生産性が高いプロダクティブでなければなりません。
そして、もう一つ必要なことはプロフェッショナルです。経営というのは、チームワークだけではダメなんですよ。何か強い専門能力をもっていなければならない。例えば、英語が堪能であるとか、何かの技術にものすごく強いものを持っているとか、そういうものを持っている人間の集団に変えないといけないと思います。
─ そういう人材を、この50年で育ててきたということですね。
永守 そうです。やっとプロパーが育ってきました。日本電産が好き、創業者が好き、日本電産の仕事が好き、そういう人が育ってきたことに手応えを感じています。
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