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脱中国依存へ、双日が日本で初めてレアアース権益を獲得

財界オンライン 2023年3月29日 15時0分

双日(藤本昌義社長)が、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との共同設立会社を通じて、豪ライナス社へ約2億豪ドル(約180億円)を出資する。これにより、電気自動車(EV)のモーター用磁石に不可欠なレアアースの権益を日本で初めて獲得したことになる─。

 双日は11年にライナス社が生産するレアアース製品の日本市場における独占販売契約を締結。ライナス社は豪州のマウント・ウェルド鉱山でレアアース鉱石を採掘しており、現在、日本へ供給される軽希土類は、モーター用磁石の主原料として使用されている。

 レアアースは軽希土類と重希土類に大別され、EVや風力発電のモーター用磁石を中心に、様々な産業で使用される金属鉱物資源。今後、ライナス社は、磁石に耐熱性を付与する重希土類である「ジスプロシウム」と「テルビウム」の生産を開始する予定で、双日は生産量の最大65%の権益を獲得した。

 現在、これらを生産しているのは中国のみ。今回の出資によって、軽希土類に加え、重希土類を日本市場向けに供給することが可能になり、「中国以外のサプライソースが加わることで、日本へのジスプロシウムおよびテルビウムの安定供給に寄与する」(同社)としている。

 脱炭素化の実現に向け、EV製造に不可欠な磁石は今後も需要拡大が見込まれている。〝産業のビタミン〟とも称されるレアアースは、そのほとんどが中国で生産されており、かねてから「中国政府がいきなりレアアースの日本輸出を止めるなどと言い出したらどうするのか?」という声は根強い。

 経済安全保障という観点から考えても、レアアースの長期的な安定調達は日本の課題。その意味で、中国への依存度を下げ、今回の出資により、調達手段を多様化することは大きな意味がある。

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