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【農林水産省】牛肉の低関税枠7割が消化 輸出拡大にブレーキ

財界オンライン 2023年4月3日 11時30分

米国が日本やブラジル、オランダなどの輸入牛肉を対象に導入する低関税枠のうち7割が既に消化されたことが、米税関・国境警備局の調べで判明した。

 割安なブラジル産の流入が続いていることが背景にあるとみられる。今月にも枠が満杯になる見通しで、昨年に続き和牛の輸出が伸び悩みそうだ。

 日本など複数国を一括として対象とした低関税枠の上限は、6万5005トンで、関税は1キロ当たり4.4セントにとどまる。枠を超過した場合、26.4%の高関税がかかる。枠は国別の上限はなく、いわば早い者勝ちなのが特徴だ。BSE(牛海綿状脳症)発生に伴い、行き場を失ったブラジル産が米国に大量に出荷されたため、昨年の低関税枠は年初から僅か3カ月で満杯になっていた。

 農林水産省によると、昨年の農林水産物・食品の輸出額は前年比14.3%増の1兆4148億円と10年連続で過去最高を更新。日本酒やリンゴ、ホタテなどが好調な一方、和牛を中心とした牛肉は4%減の520億円と不振だった。低関税枠がすぐに埋まったことや、米国内の物価高などが響いた形だ。

 政府は今年も枠が早期に消化された場合、米国に対し改めて是正を要請する方針。ただ、「いくら米国にお願いしても見直しにつながらない」(日本政府関係者)との見方が支配的で、展望が見えない。このままの状態が続けば、生産者が輸出促進に取り組む意欲がそがれる懸念がある。自民党農林族議員は「米国で和牛が必要だという機運を盛り上げるためにも、食肉団体などへの働き掛けを強める必要がある」と指摘している。

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