今期二度目の上方修正
─ 現在、日本のエネルギー自給率は約12%。エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている現状を改善するには、再エネを増やすことが必要です。
龍 日本はもともと資源の無い国ですよね。しかし、神様は全世界に平等に太陽を降り注いでくれています。ですから、わざわざ海外から化石燃料を輸入するよりも、神様から与えられた恵みを享受して活かす方が日本にとって自然だと思うんですね。
世界は今、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)に向かって動き出しました。足元ではウクライナのような問題もありますけど、太陽光などの再生可能エネルギーの需要は高まる一方です。
われわれは原子力を敵だとは思っていません。ですが、これだけ安全面での不安が払しょくできないわけで、また、化石燃料にいつまでも頼っていては地球温暖化が止まることもありません。そうなったら、再エネを増やすしかないんです。
ただ、太陽光にしてもコストがかかりますから、国内にこだわっていればコストを安くすることはできません。太陽光パネルは日本でつくるとコストが高くなる。日本でつくると、中国から輸入するよりも1.5倍ほどのコストがかかります。
だから、われわれは海外でパネルをつくるしかないと。それで現在はベトナムに投資し、現地で太陽光パネルを製造している。自社工場で太陽光パネルを製造することにより、グリーンエネルギーの普及を推進しているということですね。
─ ベトナムの工場もフル稼働ですか。
龍 はい。現在はベトナムに4つの工場がありまして、5つ目の工場(セル工場)を建設中です。ベトナムは政府の支援が手厚くて、税制の優遇があったり、非常に地元の方々が応援してくれるのが大きい。この他、インドネシアや米国にも工場を建設しようか検討しているところです。
すでに、ベトナムの太陽光パネル製造会社「Vietnam Sunergy Joint Stock Company(VSUN)」が2020年から連結入りしまして、一気に売上と利益がアップ。現在も欧米向けのパネル販売が想定以上に伸びていまして、今期(2023年6月期)は二度目の上方修正を行い、売上高は1750億円、営業利益は70億円となる見通しです。
【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅
─ そう考えると、まだまだ成長の余地はありますね。
龍 もちろんです。わたしは2007年に帰化しまして、今は日本国籍です。だから、海外で事業をする時はいつも、自分が勝手に日本を代表しているような感覚があるんですね。
日本は他の先進国と比べると、まだまだ再エネの普及が進んでいません。日本は国土が小さいのが弱点ですが、それでも現在使っていない山間部や遊休地が沢山あって、太陽光の普及という観点で考えたら、おそらく今は10分の1も活かされていない。まだ90%以上は開発の余地があると思います。
─ 遊休地ということは、農地をもっと活用するということですか。
龍 ええ。日本には休耕地が沢山ありますし、山間部でも太陽光に適している場所はいろいろあります。
われわれはソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)と言いまして、営農をしながら、太陽光発電を行っています。すでに千葉県匝瑳市で創エネと農業の融合が行われています。
エネルギー同様、農業も食糧自給率が低いことが問題になっていますが、今の日本では一般的な農家が農業をやっても儲かりません。だから兼業農家になったり、別の仕事をして生計を立てているわけですね。
しかし、太陽光で発電した電気を売電することで、匝瑳市の事例では一反分の土地では毎月10万円以上の収入になっているところも出ています。これは農家にとっては大きな収入ですし、農業との共生ということで、大きな意味があることだと思います。
─ なるほど。創エネをしながら、農業との共生ができるわけですね。
龍 そうなんです。わたしは今の日本の最も大きな課題はエネルギー問題と食糧問題だと考えています。太陽光を普及させることでCO2(二酸化炭素)削減と脱炭素化に貢献し、農家の収入増にも貢献しながら、食糧自給率の改善に寄与していく。今はそんな農業振興、地方創生のあり方があってもいいのではないかと考えているところです。
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龍 日本はもともと資源の無い国ですよね。しかし、神様は全世界に平等に太陽を降り注いでくれています。ですから、わざわざ海外から化石燃料を輸入するよりも、神様から与えられた恵みを享受して活かす方が日本にとって自然だと思うんですね。
世界は今、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)に向かって動き出しました。足元ではウクライナのような問題もありますけど、太陽光などの再生可能エネルギーの需要は高まる一方です。
われわれは原子力を敵だとは思っていません。ですが、これだけ安全面での不安が払しょくできないわけで、また、化石燃料にいつまでも頼っていては地球温暖化が止まることもありません。そうなったら、再エネを増やすしかないんです。
ただ、太陽光にしてもコストがかかりますから、国内にこだわっていればコストを安くすることはできません。太陽光パネルは日本でつくるとコストが高くなる。日本でつくると、中国から輸入するよりも1.5倍ほどのコストがかかります。
だから、われわれは海外でパネルをつくるしかないと。それで現在はベトナムに投資し、現地で太陽光パネルを製造している。自社工場で太陽光パネルを製造することにより、グリーンエネルギーの普及を推進しているということですね。
─ ベトナムの工場もフル稼働ですか。
龍 はい。現在はベトナムに4つの工場がありまして、5つ目の工場(セル工場)を建設中です。ベトナムは政府の支援が手厚くて、税制の優遇があったり、非常に地元の方々が応援してくれるのが大きい。この他、インドネシアや米国にも工場を建設しようか検討しているところです。
すでに、ベトナムの太陽光パネル製造会社「Vietnam Sunergy Joint Stock Company(VSUN)」が2020年から連結入りしまして、一気に売上と利益がアップ。現在も欧米向けのパネル販売が想定以上に伸びていまして、今期(2023年6月期)は二度目の上方修正を行い、売上高は1750億円、営業利益は70億円となる見通しです。
【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅
─ そう考えると、まだまだ成長の余地はありますね。
龍 もちろんです。わたしは2007年に帰化しまして、今は日本国籍です。だから、海外で事業をする時はいつも、自分が勝手に日本を代表しているような感覚があるんですね。
日本は他の先進国と比べると、まだまだ再エネの普及が進んでいません。日本は国土が小さいのが弱点ですが、それでも現在使っていない山間部や遊休地が沢山あって、太陽光の普及という観点で考えたら、おそらく今は10分の1も活かされていない。まだ90%以上は開発の余地があると思います。
─ 遊休地ということは、農地をもっと活用するということですか。
龍 ええ。日本には休耕地が沢山ありますし、山間部でも太陽光に適している場所はいろいろあります。
われわれはソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)と言いまして、営農をしながら、太陽光発電を行っています。すでに千葉県匝瑳市で創エネと農業の融合が行われています。
エネルギー同様、農業も食糧自給率が低いことが問題になっていますが、今の日本では一般的な農家が農業をやっても儲かりません。だから兼業農家になったり、別の仕事をして生計を立てているわけですね。
しかし、太陽光で発電した電気を売電することで、匝瑳市の事例では一反分の土地では毎月10万円以上の収入になっているところも出ています。これは農家にとっては大きな収入ですし、農業との共生ということで、大きな意味があることだと思います。
─ なるほど。創エネをしながら、農業との共生ができるわけですね。
龍 そうなんです。わたしは今の日本の最も大きな課題はエネルギー問題と食糧問題だと考えています。太陽光を普及させることでCO2(二酸化炭素)削減と脱炭素化に貢献し、農家の収入増にも貢献しながら、食糧自給率の改善に寄与していく。今はそんな農業振興、地方創生のあり方があってもいいのではないかと考えているところです。
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