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【新しい法制下での不動産ビジネス】所有者不明土地関連法について

財界オンライン 2023年5月22日 18時0分

(不動産会社開発事業部長Q氏) 弊社は、都内とその周辺地域にオフィスビルや住宅のための用地の取得を推進しており、特に空き家の土地建物を広く取得していきたいと考えています。困るのは、空き家の土地建物が相続人の共有で、その中に行方不明の人がいたりして、売却が困難なことです。こうした場合でも、売却してもらえるよう法整備されたとの話を聞きましたが、どのような法整備でしょうか。

(弁護士A氏) 空き家の土地建物の共有者に行方不明者がいる場合、その人の意思を無視して土地建物を売却することは原則として認められません。便法として、行方不明者=不在者の財産管理人制度を利用する方法もありますが、行方不明者の財産の「管理」が主眼で、財産の「処分」には家庭裁判所の許可を要し、その許可を得ることは困難です。また、他の共有者全員を被告とする共有物分割の訴訟という方法も、手間暇がかかります。こうした不都合が、所有者不明土地関連法の新設で改善されました。

 昨今、都市部への人口移動や人口減少、更には高齢化などにより、土地所有意識も希薄化し、相続登記もなされないままに代を重ねる土地が増えている状況の中、「所有者不明の土地」=土地の登記簿により所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明しても所在が不明で連絡が付かない土地の解消を目指して、法務省の法案提出により令和3年4月に所有者不明土地関連法が新設され、令和5年4月以降に施行となります。

 第1は、「所有者不明の土地」の管理やその共有地の利用の円滑化などでその売却処分の可能性を含むもの、第2は、財産的価値の乏しい「負動産」を処分しやすくする国庫帰属の制度の創設で、これらは令和5年4月から施行されます。その他に、相続登記申請を義務化する法制ができ、令和6年4月からの施行となります。

 貴社のご関心は、所在不明者のいる空き屋の処分であり、第1の法制が関係します。この法制では、相続人間で遺産分割を経て共有しているか又は相続開始から10年経過している場合であれば、共有者がA、B、そして行方不明者Cだとして、貴社は、A、Bと売却の話を煮詰めていき、AまたはBから、裁判所に申立てをしてもらい、裁判所の決定によって所在不明のC氏の共有持分ともども共有不動産を一体として貴社に売却してもらうことが可能です。詳細は次回にて解説します。

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