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重い投資負担続く中、楽天がプラチナバンド獲得に意欲

財界オンライン 2023年5月11日 15時0分

「プラチナバンドを割り当ていただいた場合には、効率的な基地局設置を行い、安定的かつ高品質なサービスを提供していきたい」─。楽天モバイルは4月19日に発表した声明で、電波のつながりやすいプラチナバンドの早期獲得に意欲を示した。

 プラチナバンドは700メガ―900メガヘルツの周波数帯。屋内や地下でも電波が届きやすい特性があり、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクには割り当てられている。20年4月に携帯通信事業に本格参入した楽天モバイルは〝つながりやすさ〟の面で競合他社に見劣り、契約が伸び悩む一因になっていると指摘されてきた。

 同社への追い風になったのは、総務省が4月18日にまとめた報告書案だ。プラチナバンドのうち、地上デジタルテレビ放送などへの干渉を防ぐ目的で設けていた未利用帯域を携帯電話向けに活用することが技術的に可能だと判断。今秋にも希望する事業者へ割り当てる方針を示した。通信業界では、総務省が市場競争を促進する観点で楽天モバイルに割り当てる可能性が高いとみる向きが多い。

 ただ、対象の帯域は3メガヘルツ幅の2カ所にすぎず、ドコモなどが使用中のプラチナバンドの帯域幅には及ばない。楽天モバイルは割り当てを受ければ通信基地局の整備も必要になり、プラチナバンドの恩恵をいつから、どの程度得られるかは未知数とも言える。

 親会社の楽天グループの業績は厳しい。22年12月期連結決算は当期損益が3728億円の赤字で、赤字幅は過去最大だった。主力の電子商取引(EC)は堅調であるものの、モバイル関連の先行投資が重くのしかかる状況が続いている。

 4月21日には傘下の楽天銀行が東京証券取引所に株式を上場した。楽天グループは楽天銀株式の一部売却で717億円を調達する。財務状況の改善を図る格好だが、モバイル事業の反転時期は不透明なままだ。三木谷浩史会長兼社長の胆力と指導力が問われ続ける。

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