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19年ぶりに【松竹】が社長交代へ 新社長に髙橋敏弘氏

財界オンライン 2023年5月19日 15時0分

松竹が19年ぶりの社長交代を発表した。社長の迫本淳一氏(70)の後任に、専務取締役の髙橋敏弘氏(55)が就く。迫本氏は代表権のある会長に就き、松竹創業者の一人である大谷竹次郎氏の孫・現会長の大谷信義氏は取締役名誉会長に就く。

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 コロナ禍で打撃を受けていた同社だったが、足元の業績は回復基調にある。23年2月期連結決算では売上高が前期から増加しただけでなく、経常利益と当期純利益でも3期ぶりに黒字に浮上。「未来に向けてステージアップしていく」(迫本氏)ことを狙っての社長交代だ。

 髙橋氏は経理部門が長く、経営企画部を経て近年は映像事業を手掛けてきた。中でもジャニーズ事務所と手を組んだ舞台「滝沢歌舞伎」を実現させるなど、数字に明るい一方で演劇と舞台の融合にも取り組んだ。

 迫本氏は松竹映画の黄金時代を築いた城戸四郎・元会長の孫として1998年に弁護士から松竹副社長に転じ、大船撮影所を売却するなど、経営難だった松竹の立て直しに奔走。2004年から社長となって「新宿ピカデリー」の再開発に加え、「歌舞伎座」の建て替えに着手。

 様々な計画が浮上した中、オフィスビルを併設する現在の形での再開発を決断。今や「歌舞伎座タワー」をはじめとする不動産事業が安定収益源として確立し、その先にヒット作品に恵まれる好循環が生まれている。

 ただ、手放しで喜べる状況というわけではない。今期の黒字化も歌舞伎座タワーや「銀座松竹スクエア」などの不動産事業が50億円超の営業利益を稼いだことで達成できている。映画を中心とした映像事業や演劇事業は赤字という状況だ。

 新体制下で迫本氏と髙橋氏の役割分担をどうしていくかがポイントになるが、その中でも興行を一手に担う歌舞伎はインバウンドによって化ける可能性もあり、映画もアニメは堅調だ。これらの勢いを自社の成長につなげられるかが勝負所となる。

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