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【財務省】少子化対策の財源議論が錯綜 家計への負担増に懸念

財界オンライン 2023年5月31日 11時30分

岸田文雄首相の少子化対策に伴う財源確保を巡る議論が錯綜し始めた。政府は6月にとりまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に財源確保に向けた方向性を盛り込む考えだが、報道各社の世論調査では少子化対策の強化には賛成が多い一方、強化のための負担増には反対が多い。物価高が続く中で、さらに家計への負担が増せば政権運営に影響するのは必至で、官邸・自民党・財務省の駆け引きは激しくなりそうだ。

 鈴木俊一財務相は4月28日の記者会見で、消費税増税による財源ねん出について、具体的な言及は避けつつ「恒久的な施策には恒久的な財源が必要だ」と述べた。消費税増税については首相が「再三再四否定している」のを踏まえた。

 一方で、財源の検討に向けては「さまざまな社会保険との関係、国と地方の役割分担なども踏まえて」議論するとした。政府内で医療、年金、雇用、介護といった社会保険料に上乗せする形で少子化対策の財源を賄おうという官邸の考えをにじませたものだ。

 ところが、岸田首相はここにきて、「歳出改革」を強調し始めた。5月9日の参院厚生労働委員会で首相は「徹底した歳出の見直しが大前提だ」と踏み込んだ。

 その背景には、日本維新の会の躍進がありそうだ。先の衆参5補欠選挙や統一地方選で維新は躍進し、中央政界での存在感は確実に高まった。維新は選挙戦で行財政改革を公約の一つとして訴えており、「今後少子化対策の財源論で、具体策を示していない自民に攻勢をかけてくるのは必至」(財務省幹部)というわけだ。

 とはいえ、数兆円単位が必要とされる財源に見合う「歳出改革」の具体策を示すのは容易ではない。鈴木氏の手腕が試されそうだ。

【政界】維新の伸長で高まる改憲の機運 岸田首相は指導力を発揮できるか

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