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携帯事業の投資負担続く中、財務基盤の強化を急ぐ【楽天】

財界オンライン 2023年5月25日 15時0分

前期(22年12月期)まで、4期連続で最終赤字が続く楽天グループ。前期の自己資本比率は3.9%。会社経営の安定性を表す自己資本比率は、30%が一定の目安とされるだけに、生き残りをかけて財務基盤の強化を急いでいる─。

「まだまだ高止まりしている携帯料金を安くしたいと考えており、全ての国民に最強のプランを提供したい」

 こう語るのは、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏。

 楽天グループ傘下の楽天モバイルが、高速データ通信が無制限の新プラン『Rakuten最強プラン』を発表。KDDIと新たなローミング(相互乗り入れ)協定を締結し、楽天の回線エリアと合わせた人口カバー率は99.9%となり、大手3社と遜色ないカバー率を実現できるようになるという。

 2020年4月に携帯通信事業に本格参入した楽天だが、〝つながりやすさ〟で競合他社に見劣り、契約が伸び悩む一因になっていると指摘されてきた。それがKDDIとの提携により、つながるエリアが広がることで「可及的速やかに自分のネットワークだけを構築する必要がなくなってきた」(三木谷氏)。

 今回のKDDIとの提携については、基地局への投資負担を減らせる効果が大きいと見る向きが多い。主力の電子商取引(EC)は堅調な楽天グループだが、携帯電話の基地局整備にかかる投資負担が重くのしかかっているからだ。

 楽天は4月に傘下の楽天銀行の新規上場に伴い、楽天銀行の株式を一部売却することで717億円を市場から調達。また、楽天は保有する西友ホールディングス(HD)の株式をKKRに売却することで合意。譲渡額は約220億円。今後は傘下の楽天証券HDの新規上場も視野に入れている他、最大3322億円の増資を行い、財務基盤の強化を急いでいる。

 国内の携帯電話市場は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で8~9割を占める寡占化状態にあるだけに、〝第4のキャリア〟として市場に風穴を開けることには大きな意味がある。苦境が続く中、果たして三木谷氏はこうした状況をどう乗り越えていくのか。

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