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【森ビルの思想】人口減、物価上昇、働き方改革が進む中、時代の転換期の都市づくりとは?

財界オンライン 2023年6月19日 7時0分

「東京にはグローバルプレーヤーが求める様々な都市機能が徒歩圏内に集約されたコンパクトシティが必要だ」─。これは森ビルが都市づくりを進める上で、一貫して追求してきた経営ポリシー。

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「オフィスがあって、住宅があって、文化施設やホテルがあって、というコンパクトに複合した街をつくるというのが森ビルの発想」と森ビル社長・辻慎吾氏は語る。

 働いてよし、住んでよし、そして散策や安らぎの場として心が落ち着くところ─。森ビル創業者・森泰吉郎氏の次男で、『六本木ヒルズ』(2003年竣工)など同社の主要プロジェクトを推進した森稔氏は人を生き生きとさせる街づくりを志向。

 六本木ヒルズに続き虎ノ門ヒルズ、そしてこの秋、開業予定の麻布台ヒルズなどのプロジェクトを見ても、その思想が貫かれている。

 東京都心部は働く場所で、住む場所ではないと長らく思われていた「職住分離」の概念を、森ビルは変革、実践してきた。

「何より『絆』を大事にしたい」─。辻氏は「人と人のつながりが大事」と語り、「多くの人がリピートで訪れてくれる街にしたい」と強調。

「オフィスワーカーは毎日通うから絆も深まりますが、街を訪れる人もたくさんいるということが大事」という都市哲学。

 そうした街づくりで嬉しかったこととは何か。「例えば六本木ヒルズがオープンした最初の頃は、30代、40代が多いというターゲットで見ていた。しかし開けてみると、世代の幅が広かった。例えば、ベビーカーは想定しておらず、慌ててベビーカー置き場やレンタルベビーカーを置いたくらいです」

 人を惹き付けるにはイベントも不可欠。盆踊りなどの地域的・文化的な行事や、六本木ヒルズでの田植えは外国籍の子供達も大喜びだという。

 コロナ禍3年を体験して、改めてオフィスの役割、存在意義が問われている。「例えば森ビルのオフィスには多くの外資系IT企業が入居しています。コロナ禍のピークの時は100%リモートワークでしたが、オフィスを全く減らしていない」と辻氏は語り、「入居企業はどうやったら社員がオフィスに集まってくるかを一生懸命に考えています」と語る。

 リモートワークとリアル勤務の関係は、今後どうなるか?

「人間の『会いたい』という気持ちとか、人間の本質は変わらない。その人達が生活をする、働くこと、そして受け入れる側の都市の本質も今後、おそらく変わらない。選ばれる都市というのも、おそらく変わらない。今回のコロナで、一番そういうことを感じました」と辻氏。

 同社は今秋、麻布台ヒルズを開業する。「グリーン&ウェルネス」をコンセプトに2.4ヘクタールもの緑地を確保。働きやすい、住みやすい街づくりへの思いを辻氏に直撃した。

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