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苦境続く楽天、増資で一息つくもモバイル事業の好転は見えず

財界オンライン 2023年6月28日 18時0分

携帯電話事業の不振で苦境が続く楽天グループ(三木谷浩史会長兼社長)が第三者割当増資と公募増資で最大約3300億円の資金調達に踏み切った。

 4期連続の最終赤字を計上した上、自己資本比率は「危機的な状況」(金融筋)まで低下。格付けも投機的等級に引き下げられ、社債の新規発行や銀行からの追加借り入れもままならない中、大規模増資は資金調達の「最後の切り札」とも言えた。

 ただし、今後1年間の社債償還費用や携帯事業の基地局投資の資金手当てに目途が付いただけ。24年以降も社債の大量償還を控える中、大規模増資も「一時しのぎに過ぎない」(アナリスト)というのが実情。

 楽天は携帯投資の圧縮にも乗り出し、自社回線でカバーできていないエリアについて、ライバルであるKDDIの回線を借りる新たなローミング契約も締結。しかし、肝心の楽天モバイルの契約数が一向に伸びず、赤字体質からの脱却が見えないままでは対症療法でしかない。

 今回の資本増強の内訳を見ると、第三者割当増資については三木谷氏の資産管理会社「三木谷興産」などが約300億円、サイバーエージェントが100億円、東急が20億円をそれぞれ引き受け、残る2800億円強は国内外の投資家から一般公募。調達した資金は23年末までに期限が到来する社債の償還(780億円)に充てるほか、楽天モバイルの投資資金などに回す計画。

 24年に3300億円超、25年には4700億円超と社債の大量償還が控える。増資カードまで使い果たした楽天は今後どうやって経営立て直しを図るのか。

 市場では「スポンサー探しが必須」との声が上り、出資を受けた実績のある日本郵政やみずほFGを含む複数の候補が取り沙汰されている。さらにはリクルートホールディングスやKDDIとの再編観測すら浮上。

 増資で手にした1年間の猶予で苦境脱出に道筋を付けられなければ、楽天に市場からの再編圧力が強まりそうだ。

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