Infoseek 楽天

【Visaの責任者との出会い】鷹取真一・Kyash社長の転機とは?

財界オンライン 2023年7月2日 11時30分

当社はデジタルウォレットアプリ『Kyash(キャッシュ)』を開発しています。個人間送金やネットショッピング、スマートフォン決済が誰でも、すぐに始めることができるのが最大の特徴。決済や送金など、あらゆるお金の移動を、より安価で便利なものへ進化させていきたいと考えています。

 わたしは大学卒業後、三井住友銀行に入行。ここで5年間、銀行のビジネスモデルを学んだ後、もっとビジネスに近い立場で新たな事業を立ち上げたり、そのサポートを行いたいと考え、米系戦略コンサルファームで2年間お世話になりました。

 この間感じていたのは、スマホ1つでいつでも、どこでもお金を動かせるサービスが出てきているのに、なぜ日本の既存の金融システムは、自分のお金を動かすだけなのにこんなにも燃費が悪いのだろうか? ということ。わたしは以前から多くの人に喜んでもらえる新しいものを生み出し、世に送り出したいと考えており、2015年に起業することを決めたのです。

 たった1人、マンションの1室での創業。「もくもく会」と呼ばれ、黙々と開発に没頭するエンジニアたちが集まる都内のフリースペースなどに潜りこみ、協力してくれる人たちを集めて、何とか個人間送金サービスを立ち上げました。友人と食事に行った時、お店での割り勘をスムーズに行い、手数料が無料で送金することができるのです。

 ところが、当時の法規制下においては、送金された残高を現金にするには大掛かりな業登録と組織が必要でした。そこで、現金のようにどこでも使えるプリペイドカードの残高を送金するプラットフォームを構築することで、送金と決済の双方を実現する仕組みの構築を目指したのです。プリペイドカードといえば当時Visaが最大手でしたが、創業間もない当社がカード会社になるにはそれも大きなハードルでした。

 そんな時、シンガポールからVisaのプロダクト責任者が来日すると知人から紹介されました。わたしはここで彼にピッチし、決済も送金も価値をA地点からB地点に動かす点で同じであるが、決済は人とお店の価値移動のみを対象にしている、送金によって人から人への価値移動も実現できる当社のインフラの希望を語りました。大変ありがたいことに、Visaも当時、同様の必要性を感じており、当社との提携を進めていただくことになりました。

 現在はアプリからVisaのプリペイドカードを発行することができ、Visaの加盟店であれば、すぐにお買い物ができるようになっています。まだ創業間もなく、何の実績もない当社を信じていただけたことは当社にとって意義深いものであり、この方には本当に感謝しています。

 われわれは、お金に関する不安や不満を当社の仕組みをきっかけに解消することができれば、大きな意義があると考えています。今後も中立的で、ユーザーの暮らしの豊かさに貢献できるサービスをつくりたいと考えています。

『かっこ社長』岩井裕之 「不正検知の需要は確実に増加、今まで以上に高精度の不正検知を実現していく!」

この記事の関連ニュース