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【金融庁】 大手損保の「価格調整」疑惑 実態解明に向け徹底調査

財界オンライン 2023年7月10日 11時30分

東京海上日動火災保険など、メガ損保4社が企業向けの火災保険料を事前調整した疑いで、金融庁が保険業に基づく報告徴求命令を発動したことが分かり、波紋を広げている。関係筋によると、4社の担当者が事前に情報を共有、過去の契約実績からかけ離れた水準の高い保険料を私鉄大手の東急に提示した疑いがあるという。事実なら、独占禁止法に違反するカルテルに相当する可能性がある。

 損保業界は再編で2014年に「4メガ体制」が固まり、企業向け保険の市場シェアは9割超の寡占状態。金融庁は「寡占化を背景に、カルテル紛いの行為が蔓延っていた疑いも否定できない」(監督局幹部)と見て、数カ月以上かけて実態調査する方針。

 関係筋によると、各社の担当者が事前に東急側に提示する保険料の水準を調整した疑いがあるという。東急側が疑義を呈したところ、改めて提示された保険料は逆に実勢よりも割安だったといい、事実なら保険料の割引を禁じた保険業法の「特別利益の提供」に当たる疑いもある。

 金融界では、1990年代前半のバブル崩壊後、経営基盤強化を狙いにした大型再編が相次ぎ、当局も金融安定化の観点からこの動きを後押し。損保各社とも再編の大義として、経営・財務基盤の強化に加え、顧客サービスの向上もアピールしてきただけに、顧客に不利益を及ぼす行為が広く行われていたのなら「重大な背信」(市場筋)。

 金融庁は「不適切な事案がほかにもないか徹底的に調査し、厳正に対処する」(監督局筋)としている。

 ただ、問題事案が次々と炙り出される事態となれば、当局も監督責任を問われそうだ。

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