約40年にわたる4回目の挑戦
「研究開始から約40年を経て、ついにアルツハイマー病の根本病理に関わる治療薬を開発し、まず米国で認知症の当事者に届けることができるのは大きな喜びだ」─。こう語るのはエーザイCEOの内藤晴夫氏だ。
【認知症薬の正式承認へ】エーザイCEO・内藤晴夫氏に直撃!新薬は家族の介護負担や家族の就労機会にどう影響?
米食品医薬品局(FDA)が今年1月に仮免許に当たる迅速承認をしていたエーザイと米製薬企業バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認した。
エーザイが設定したレカネマブの米国での販売価格は患者1人当たり年2万6500㌦(約380万円)だが、正式承認によってレカネマブは米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」の適用になる。エーザイは来年3月末までに米国で1万人以上が使用すると見込んでいる。
レカネマブはアルツハイマー病の原因とみられる物質を除去することで、病状の進行を抑制する効果が認められた初の薬。レカネマブを投与することで「(アルツハイマー病患者は)2~3年にわたって病気の早期段階に留めることが示されている」(同)。これによって患者を持つ家族による無償の介護や介護休職による就労機会の損失などが軽減されることにつながる。
エーザイは米国のほか、日本やEU、中国、カナダ、英国、韓国でも承認申請をしている。日本では「9月末までに取得できるのではないか」(同社幹部)と見ており、承認されれば保険診療の中で使用されるとみられる。同社は2030年度にはレカネマブが世界で売上高1兆円規模の大型薬になると見込む。
エーザイでは、患者とその家族との言葉にならない憂慮に共感するため、社員のビジネス時間の約1%を当事者と一緒に過ごすようにしてきた。それが抗認知症薬のアリセプト以来、4回目となるレカネマブの誕生につながっている。
薬剤費はもちろん、薬の投与対象かどうかを判断する診断方法の保険収載など乗り越えなければならない課題もあるが、アルツハイマー病患者とその家族にとって朗報であることに間違いはない。普及に向けた体制づくりが急務になる中、エーザイの認知症治療薬は次のステージに進むことになる。
「研究開始から約40年を経て、ついにアルツハイマー病の根本病理に関わる治療薬を開発し、まず米国で認知症の当事者に届けることができるのは大きな喜びだ」─。こう語るのはエーザイCEOの内藤晴夫氏だ。
【認知症薬の正式承認へ】エーザイCEO・内藤晴夫氏に直撃!新薬は家族の介護負担や家族の就労機会にどう影響?
米食品医薬品局(FDA)が今年1月に仮免許に当たる迅速承認をしていたエーザイと米製薬企業バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認した。
エーザイが設定したレカネマブの米国での販売価格は患者1人当たり年2万6500㌦(約380万円)だが、正式承認によってレカネマブは米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」の適用になる。エーザイは来年3月末までに米国で1万人以上が使用すると見込んでいる。
レカネマブはアルツハイマー病の原因とみられる物質を除去することで、病状の進行を抑制する効果が認められた初の薬。レカネマブを投与することで「(アルツハイマー病患者は)2~3年にわたって病気の早期段階に留めることが示されている」(同)。これによって患者を持つ家族による無償の介護や介護休職による就労機会の損失などが軽減されることにつながる。
エーザイは米国のほか、日本やEU、中国、カナダ、英国、韓国でも承認申請をしている。日本では「9月末までに取得できるのではないか」(同社幹部)と見ており、承認されれば保険診療の中で使用されるとみられる。同社は2030年度にはレカネマブが世界で売上高1兆円規模の大型薬になると見込む。
エーザイでは、患者とその家族との言葉にならない憂慮に共感するため、社員のビジネス時間の約1%を当事者と一緒に過ごすようにしてきた。それが抗認知症薬のアリセプト以来、4回目となるレカネマブの誕生につながっている。
薬剤費はもちろん、薬の投与対象かどうかを判断する診断方法の保険収載など乗り越えなければならない課題もあるが、アルツハイマー病患者とその家族にとって朗報であることに間違いはない。普及に向けた体制づくりが急務になる中、エーザイの認知症治療薬は次のステージに進むことになる。