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日比谷パーク法律事務所代表・ 久保利英明弁護士の訴え「ガバナンスを形式論にしてはいけない」

財界オンライン 2023年8月8日 7時0分

最近のガバナンス論は形式論に陥っている

 ─ 近年、コーポレートガバナンス(企業統治)の重要性が叫ばれて久しいですが、日本企業のガバナンス改革の現状をどのように見ていますか。

 久保利 わたしは最近、江頭憲治郎・東京大学名誉教授が書いた『続・会社法の基本問題』という本を読みました。

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 江頭さんは日本のコーポレートガバナンスはおかしいと。そもそも株主利益のための経営者監督がコーポレートガバナンスであることを考えず、「会社の機関」一般をコーポレートガバナンスと呼ぶのは誤りなのではないかと。そういう仕組みにばかり関心があって、本質的な議論が欠けているのではないかと言っています。

 わたしはこの本を読んで、なるほどなと思っていて、近年、東京証券取引所や経済産業省がやたらとガイドラインをつくっていますが、そもそもの出発点が間違っていると思います。

 彼らは良いコーポレートガバナンスとは「起業家精神を発揮して、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ること……」なんて言うんだけれども、そんなのは結局、トップがどう動くかということになってくるので、トップを監督することが一番大事なのに、その視点が抜けています。

 ─ 原点が抜けている。

 久保利 ええ。何かガバナンスというと、社外取締役にお任せのようになっていて、今は何人いるかとか、女性や外国人がいるかなど、どんどん形式論に傾いている。

 当然ですが、やはり、企業は何のためにあるかという大義名分やサステナビリティー(持続可能性)を考えて、我が社のパーパス(存在意義)は何なのか。

 そして、それに反していないかということを経営者に考えさせ、規律づけることが大事なのです。最近のガバナンス論は何だか形式論になっていることに疑問を感じます。

続きは本誌で

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