「部品が著しく減るだけに大きな問題」と危機感を見せるのは、JFEホールディングス社長の柿木厚司氏。同氏が着目しているのは電気自動車(EV)製造時の新たな手法「ギガキャスト」。大型の鋳造設備を使って複数の部品を一体成形するが、ここで使用されるのは「アルミ部品」。
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これが本格的に活用されると、EV製造時の部品、工程は大きく削減される。100近い部品、30ほどの工程が、1つの部品、1つの工程になる可能性があるのだ。
米テスラが既に同様の製造方法の開発で先行しているほか、トヨタ自動車が2026年から投入予定の次世代EVで採用する考えを示している。
これまで自動車の構造部を構成する主要部材は鉄で、アルミは一部の高級車などに使用されるにとどまってきた。大量生産ができ、成形がしやすく、さらには「ハイテン」(高張力鋼板)など、安全性に優れた部材を数多く開発してきたから。
だが、アルミを活用して部品、工程を削減できるとなれば、その構図が崩れる可能性が出てくる。ただ、柿木氏は「一体成形をした場合の補修の問題、衝突安全性の問題もあり、自動車の『守るべき部分』を鉄に変える可能性が出てくる。鉄の特性を生かした部品を、もっと自動車の中に組み入れていく」と話す。
鉄鋼業界は50年の脱炭素に向けて「水素還元製鉄」や「カーボンリサイクル高炉」などの新たな製鉄法や「グリーン鋼材」の開発に取り組む時期に新たな難題が突きつけられた形。素材力、コスト競争力が生き残りに向けたカギを握っている。
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これまで自動車の構造部を構成する主要部材は鉄で、アルミは一部の高級車などに使用されるにとどまってきた。大量生産ができ、成形がしやすく、さらには「ハイテン」(高張力鋼板)など、安全性に優れた部材を数多く開発してきたから。
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