2030年に644万人の人手不足が予想される中で…
「少しだけ空いているスキマ時間を生かして、人手不足を解消するサービスがつくれないか」
「林業の人手不足をどのように解消していくか」
こうした意見が飛び出すのは、パーソルイノベーションの新規事業開発プログラム『Drit(ドリット)』。同プログラムでは年に2回、パーソルグループ全社員の中から新規事業のアイデアを募集。毎回70~80件ほどの応募があり、そこから起業経験を持つ有識者や経営層を巻き込みながら、事業検証を行っていく。見込みがあると判断した3~4つのアイデアを絞り込み、事業計画や予算を考えながら、新たな事業化に結び付けようという取り組みだ。
【賃上げ問題をどう考えますか?】答える人 立教大学経済学部・首藤若菜教授
開始から3年半が経った23年3月時点で、すでに14の案が事業化。そのうち、8事業は投資フェーズに移行しており、関連の雇用数は500名を超えた。
「目的は社員が自ら考えて事業化を目指し、たとえ成功しても、失敗してもゼロからイチをつくりあげた経験を大事にし、チャレンジした社員を称賛していけるような雰囲気を醸成しようと。まだ道半ばだが、法人化した会社では売上3ケタ億円(100億円超)が見えてきたものもあり、手応えを感じている。パーソルグループのブランドや販路を通じて、自分たちでできることはまだまだあると思う」
こう語るのは、パーソルホールディングス(HD)執行役員で、パーソルデジタルベンチャーズ(以下、PDGV)社長の長井利仁氏。
人材派遣サービス『テンプスタッフ』や転職サービス『doda(デューダ)』など、総合人材サービスを展開するパーソルHD。PDGVはHD傘下で、今年5月に設立されたばかり。前述したパーソルイノベーションの持株会社で、既存の組織の枠やポジションを越え、パーソルグループの経営資源を活用しながら、新事業の探索や創造を目指すR&D機能の中核会社である。
ユニークな事業の一つが、法人向けリスキリング(学び直し)支援サービス『学びのコーチ』。21年7月のサービス開始から、リスキリング支援者の数は1千人を突破し、学習継続率99%と高い評価を得ている。
また、すでに別法人として事業展開をしているスキマバイトアプリ『シェアフル』は、累計ダウンロード数が350万を突破。短時間の仕事に特化し、柔軟な働き方を望む個人と、必要な時に必要な分だけ人手を確保したい企業をマッチングするサービスだ。
「当社はデジタルを活用して、これからの労働マーケットや雇用問題を解決していこうという会社。これだけデジタル技術が発達すれば、マッチングの要素も変わってくるし、求職者の仕事探しももっと簡単にできると思うので、既存の事業やサービスとは違った手法で、労働市場の新たな機会創出につなげることができれば」(長井氏)
コロナ禍の3年を経て、個人や企業の働き方は大きく変わった。オンライン会議やテレワークが普及し、社会的にも仕事とプライベートの両立が今まで以上に求められるようになった。
一方で、日本は少子化・人口減少の時代に入り、産業界の人手不足が深刻化。パーソル総合研究所の調査では、2030年に7073万人の労働需要があるのに対し、供給の見通しは6429万人と、644万人の人手不足に陥ると予想している。
このため、企業にはデジタル活用を含めた社員の生産性向上や学びの機会の提供、多様な働き方を認める風土の醸成が求められるようになる。
「いわゆる仕事探しという外部労働市場においては、前述したように、テクノロジーの活用で仕事探しのやり方が変わっていく。一方、個人の能力アップなどの内部労働市場に関しては、生産性向上や学び直しの機会を提供するだけでなく、社員の退職率を下げるためにこういう人事制度が必要だとか、今後は人事コンサルのような分野にも入っていきたい」(長井氏)
人口減少・人手不足が続く中で、既存の事業のみにこだわっていてはジリ貧。新事業の創出で生き残りを図るパーソルグループである。
【株価はどう動く?】今年秋の企業業績、政局によって株価の上昇波動につながるか?
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こうした意見が飛び出すのは、パーソルイノベーションの新規事業開発プログラム『Drit(ドリット)』。同プログラムでは年に2回、パーソルグループ全社員の中から新規事業のアイデアを募集。毎回70~80件ほどの応募があり、そこから起業経験を持つ有識者や経営層を巻き込みながら、事業検証を行っていく。見込みがあると判断した3~4つのアイデアを絞り込み、事業計画や予算を考えながら、新たな事業化に結び付けようという取り組みだ。
【賃上げ問題をどう考えますか?】答える人 立教大学経済学部・首藤若菜教授
開始から3年半が経った23年3月時点で、すでに14の案が事業化。そのうち、8事業は投資フェーズに移行しており、関連の雇用数は500名を超えた。
「目的は社員が自ら考えて事業化を目指し、たとえ成功しても、失敗してもゼロからイチをつくりあげた経験を大事にし、チャレンジした社員を称賛していけるような雰囲気を醸成しようと。まだ道半ばだが、法人化した会社では売上3ケタ億円(100億円超)が見えてきたものもあり、手応えを感じている。パーソルグループのブランドや販路を通じて、自分たちでできることはまだまだあると思う」
こう語るのは、パーソルホールディングス(HD)執行役員で、パーソルデジタルベンチャーズ(以下、PDGV)社長の長井利仁氏。
人材派遣サービス『テンプスタッフ』や転職サービス『doda(デューダ)』など、総合人材サービスを展開するパーソルHD。PDGVはHD傘下で、今年5月に設立されたばかり。前述したパーソルイノベーションの持株会社で、既存の組織の枠やポジションを越え、パーソルグループの経営資源を活用しながら、新事業の探索や創造を目指すR&D機能の中核会社である。
ユニークな事業の一つが、法人向けリスキリング(学び直し)支援サービス『学びのコーチ』。21年7月のサービス開始から、リスキリング支援者の数は1千人を突破し、学習継続率99%と高い評価を得ている。
また、すでに別法人として事業展開をしているスキマバイトアプリ『シェアフル』は、累計ダウンロード数が350万を突破。短時間の仕事に特化し、柔軟な働き方を望む個人と、必要な時に必要な分だけ人手を確保したい企業をマッチングするサービスだ。
「当社はデジタルを活用して、これからの労働マーケットや雇用問題を解決していこうという会社。これだけデジタル技術が発達すれば、マッチングの要素も変わってくるし、求職者の仕事探しももっと簡単にできると思うので、既存の事業やサービスとは違った手法で、労働市場の新たな機会創出につなげることができれば」(長井氏)
コロナ禍の3年を経て、個人や企業の働き方は大きく変わった。オンライン会議やテレワークが普及し、社会的にも仕事とプライベートの両立が今まで以上に求められるようになった。
一方で、日本は少子化・人口減少の時代に入り、産業界の人手不足が深刻化。パーソル総合研究所の調査では、2030年に7073万人の労働需要があるのに対し、供給の見通しは6429万人と、644万人の人手不足に陥ると予想している。
このため、企業にはデジタル活用を含めた社員の生産性向上や学びの機会の提供、多様な働き方を認める風土の醸成が求められるようになる。
「いわゆる仕事探しという外部労働市場においては、前述したように、テクノロジーの活用で仕事探しのやり方が変わっていく。一方、個人の能力アップなどの内部労働市場に関しては、生産性向上や学び直しの機会を提供するだけでなく、社員の退職率を下げるためにこういう人事制度が必要だとか、今後は人事コンサルのような分野にも入っていきたい」(長井氏)
人口減少・人手不足が続く中で、既存の事業のみにこだわっていてはジリ貧。新事業の創出で生き残りを図るパーソルグループである。
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