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アース製薬社長CEO・川端克宜「お客様に二度の感動を与えることができる商品づくりを!」

財界オンライン 2023年8月24日 7時0分

値付けと新商品開発の関係は?


 ─ 今は巣ごもり需要も一巡し、昨年からロシアによるウクライナ侵攻もあって、あらゆる原材料価格が上昇しています。商品の値上げができるかどうかも含めて、この辺の影響はいかがですか。

 川端 われわれもいくつかの商品を値上げしましたが、価格転嫁していなかったら、結構厳しい状況だったと思います。

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 なぜなら、価格転嫁をしないと利益が伸びないからです。今のご時世、多少は賃上げがあったかもしれませんが、コスト上昇分を上回る賃上げをしている企業はほんのわずかで、実質的な可処分所得が上がっていませんから、お客様の財布の紐はどうしても固くなります。

 そんな中で価格転嫁をせずに、うちはその分、売上を伸ばすから大丈夫なんて言っていたら、とてももたないと思います。

 ─ なるほど。価格転嫁が功を奏したと。

 川端 それはあります。価格転嫁ができたから、まずまずの状態にあるということですね。

 ─ 産業界の中には価格転嫁できている企業とできていない企業が混在しているんですが、アース製薬の場合は値上げできたということですね。

 川端 大事なことは、価格転嫁をしてもお客様に受け入れられるのか、受け入れられないのか。お客様が必要としていれば値上げしても受け入れられる商品なのか、もしくは値上げするなら買わなくていいと言われるような商品なのか、その見極めが必要です。

 例えば、東京ディズニーランドやUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が入場料金を値上げしても、全然来場者数は落ちませんよね。お客様にしてみれば、実質賃金が低下している中でも、ディズニーランドやUSJには行こうと思うわけじゃないですか。

 だから、われわれの商品も例え、賃金が減ったとしても、買おうと思ってもらえるような商品にできるかどうかなんです。

 ─ 価格が変わっても買ってもらえるような商品づくりが大事であると。

 川端 はい。自分たちの給料が変わらない中でも、必要なものであったり、何か楽しいものであったりすれば、お金は使います。

 だから、何かでお金を使ったら、他のどこかを削るしかない。極端な話をすれば、今まで1日3食食べていたのを、1日2食にするのか、あるいは3食食べるけどお惣菜を削ろうかとか、お客様は考えるわけですよ。

 その時に、われわれは削られないような商品づくりを目指すのか、削られても仕方ないよねと考えるのか、削られないようにしようと考えるのか、そこを判断しないといけないんです。



 ─ 結局は削られない商品をつくれるかどうか。

 川端 はい。わたしがコロナ前から言い続けてきたのは、お客様に一度商品を手に取って、買ってもらうまでは何でもできると。新商品が出れば、お客様も一度くらい試してみようと思うからです。

 しかし、大事なことは、それがリピートされるかどうか。それを分けるのは、一度使ってもらった時に感動するか、失望するか。結局、この二つしかないんですよ。

 ─ 人を感動させる商品をつくれるかどうかだと。

 川端 もちろん、感動と言っても、衝撃的で涙するような感動まではいきませんよ(笑)。また買ってみようかと思えるような感動があったり、逆に失望も「がっかり」とまではならないけど、もう二度と買わなくていいやという失望ですよね。

 わたしはここが大事なポイントだと思っていて、二度の感動を与えることができるかどうか。一度目の感動は最初に選んでもらう時の感動です。ここまでは営業の頑張りが大事で、二度目の感動は実際に商品を使ってもらった後に感動してもらえるかどうか。これは研究開発の頑張りが大事で、これが続くようになれば会社は大丈夫です。

 だから、目指すべきは感動の積み重ね。それを実現させるには、どんどんお客様の目線に入っていくしかありませんし、絶えず改善、改善、改善ということですね。

続きは本誌で

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