防衛財源の確保策として政府保有のNTT株売却が現実味を帯びてきた。自民党の甘利明・前幹事長が8月6日、テレビ番組でNTT株売却に関し「相当長期の安定財源になる」と言及したためだ。
NTT法は発行株式総数の3分の1以上を政府が保有することを義務付けているが、甘利氏はこの規定を「今の時代にとても合わない」と明言した。防衛財源を巡っては自民の萩生田光一・政調会長らが、増税回避に向けてNTT株の売却益を充てるよう求めた経緯もあり、今後、政府・与党内で議論が活発化しそうだ。
甘利氏の発言に先立つ8月1日、鈴木俊一・財務相は記者会見で、自民内で浮上しているNTT株売却に関して聞かれると「NTTを所管する総務省でどうしたらいいのかという判断を一義的にしてもらわなければならない」とした上で「今ここで防衛財源にふさわしいとか、ふさわしくないとかを申し上げる段階ではない」と述べた。
記者から「売ってしまえばなくなる。安定財源として国有財産の売却の有効性は」と畳みかけられると「それも含めて総合的に判断しなければならない」と語った。甘利氏の6日のテレビ発言は事実上、一連の鈴木氏の慎重姿勢を修正した形で、鈴木氏が政権の経済政策で「蚊帳の外」(閣僚経験者)なのが改めて露呈した形だ。
とはいえ、NTT株売却が防衛費増額の安定財源としてふさわしいのかは議論の余地がありそうだ。
政府保有のNTT株を20年間かけて売却した場合、現在の時価総額で換算すると年2千億円程度の財源確保が期待できるとされるが、少子高齢化と低成長が続く日本経済の先行きは決して楽観視できない。
そもそも甘利氏はかつて少子化対策の財源確保策として消費税増税に言及し、その直後に発言撤回に追い込まれた経緯がある。今回も、政権支持率低迷が続き「サラリーマン増税」などと岸田文雄首相への批判がくすぶる中での発言だけに、近く行われる内閣改造・自民党役員人事次第では、NTT株売却の是非自体が政局の火種になるおそれもある。
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NTT法は発行株式総数の3分の1以上を政府が保有することを義務付けているが、甘利氏はこの規定を「今の時代にとても合わない」と明言した。防衛財源を巡っては自民の萩生田光一・政調会長らが、増税回避に向けてNTT株の売却益を充てるよう求めた経緯もあり、今後、政府・与党内で議論が活発化しそうだ。
甘利氏の発言に先立つ8月1日、鈴木俊一・財務相は記者会見で、自民内で浮上しているNTT株売却に関して聞かれると「NTTを所管する総務省でどうしたらいいのかという判断を一義的にしてもらわなければならない」とした上で「今ここで防衛財源にふさわしいとか、ふさわしくないとかを申し上げる段階ではない」と述べた。
記者から「売ってしまえばなくなる。安定財源として国有財産の売却の有効性は」と畳みかけられると「それも含めて総合的に判断しなければならない」と語った。甘利氏の6日のテレビ発言は事実上、一連の鈴木氏の慎重姿勢を修正した形で、鈴木氏が政権の経済政策で「蚊帳の外」(閣僚経験者)なのが改めて露呈した形だ。
とはいえ、NTT株売却が防衛費増額の安定財源としてふさわしいのかは議論の余地がありそうだ。
政府保有のNTT株を20年間かけて売却した場合、現在の時価総額で換算すると年2千億円程度の財源確保が期待できるとされるが、少子高齢化と低成長が続く日本経済の先行きは決して楽観視できない。
そもそも甘利氏はかつて少子化対策の財源確保策として消費税増税に言及し、その直後に発言撤回に追い込まれた経緯がある。今回も、政権支持率低迷が続き「サラリーマン増税」などと岸田文雄首相への批判がくすぶる中での発言だけに、近く行われる内閣改造・自民党役員人事次第では、NTT株売却の是非自体が政局の火種になるおそれもある。
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