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【財務省】「サラリーマン増税」否定も防衛費増額の財源は見通せず

財界オンライン 2023年9月6日 11時30分

2024年度当初予算の編成は、長期政権を目指す岸田文雄首相にとって正念場となりそうだ。首相が得意と自負する外交政策は「ウクライナ頼み」(閣僚経験者)で目立った成果に乏しい一方、内政はマイナンバーを巡る不信も続き、低迷する支持率の打開は見通せない。

 8月15日の閣議後会見で、今後5年間の防衛費増額に伴う1兆円程度の財源不足について、鈴木俊一財務相は「23年度で2100億円程度を確保した。2100億円×5年分を想定している」と語った。

 だが、具体的な財源については相変わらず言及を避けている。6月の政府税制調査会の答申に給与所得控除や退職所得控除など、会社員に欠かせない控除制度の見直しを示唆する内容が記載された点に関し、鈴木氏は「何か特定のところに着目し、狙い撃ちをして税収を上げていこうということではない」と述べ、〝サラリーマン増税〟を改めて否定した。

 だが、政府税調の宮沢洋一会長は首相の最側近だ。答申に盛り込まれれば、増税が議論の俎上に乗ったとみられても不思議ではない。厳しい安全保障環境を踏まえて防衛費の大幅増を決めた一方、財政規律を重視すれば負担増は避けられず、その点を国民に丁寧に説明を尽くす責任があるが、鈴木氏は「中立、公平、簡素という税制の3つの原則により近づけることが必要だ」と述べただけだ。

 重要政策の財政のかじ取りを行う鈴木氏は「相変わらずの官僚答弁」(与党幹部)を続けていることもあり、今秋の内閣改造・自民党役員人事での交代観測がくすぶっている。

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