「3年のコロナ禍が会社に与えた影響、ダメージは相当大きい」─日本生命保険社長の清水氏はこう振り返る。5万人の営業職員を擁し、「対面」を軸に事業展開をしてきたが、コロナ禍でデジタルも組み入れた活動への転換を進めてきた。「今は過渡期にある」としながら、ゆくゆくはデジタルを活用して成果を上げる営業職員の登場を期待。人々のニーズが多様化する中、これからの生保の役割は─。
米国のインフレが収まらない中で
─ 米国のインフレ、中国の景気悪化など、世界経済を巡る状況は非常に不透明ですが、現状と今後をどう見ていますか。
清水 インフレが思った以上に強く、例えばFRB(米連邦準備制度理事会)の対応するタイミングがよかったのかどうかという議論があります。
その後、段階的に、これまでなかった以上に政策金利を上げて、インフレを退治にしにいっていますが、いわゆる「スティッキー・インフレ」(Sticky Inflation=しつこいインフレ)で、なかなか収まらないと。
ただ、景気は後退することなく、軟着陸するのではないだろうか?という見方が強いですが、多くの人がそう思っている時は、少し慎重にならなければいけないなという形で心配するのが、我々保険会社の役割でもあると思います。
FRBの金融政策が効果を与えて、インフレが収まり、アメリカの景気が軟着陸するかどうかが世界経済にとって一番大きいポイントではないでしょうか。
─ 中国は、1978年の改革開放以来、初めてと言っていいくらいの景気悪化に直面していますが。
清水 ええ。当然、足元の中国の景気、先行きの問題、不良債権の問題など、様々な不透明な要素がありますので、多方面にわたって予断を許さない、そういう情勢だと思います。
─ そうした状況下、日本銀行は総裁が植田和男氏に交代して以降、YCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)政策の変更などで動いてきています。金利の動向は生保経営にも影響を与えるものだと思いますが、どう見ますか。
清水 金融政策自体は日銀の専管事項ですので、これがいいか悪いかについてはコメントできません。
ただ、植田総裁が就任されて以降、物価上昇が一定程度安定的に続いて、経済成長と賃上げが継続的に行われるような経済にしていく、それまでは金融緩和は続けていかなくてはいけないというはっきりとした方針が打ち出されました。YCCの柔軟化は行われましたが、基本的には金融緩和を維持されています。
その上で、YCCの柔軟化は、債券市場が低金利のままですと、需給バランスで、なかなか市場が機能しません。ですから、この市場機能の回復を狙ったものであろうということで、これは機関投資家としては歓迎すべきことだと思っています。
今後は、この市場機能の回復と、緩和的な金融政策が、どのように方向転換されるのか。これに注目したいと思います。
─ 一般論ですが「金利がつく時代」は、日本経済にとっていいことだと言えますね。
清水 間違いなくいいと思います。ただ、それに対して、日本生命を含めた経営者が、継続的な賃上げを行わなければ、実質的な賃金が下がりますので、収益力を背景にした継続的な賃上げができるような経営に、それぞれの経営者が持っていくこと。これが重要なキーの1つだと思います。
─ 日本企業、日本経済が成長していくことが大事だと。
清水 そうです。この春闘で多くの企業が賃上げに踏み切ったことは、これまでの流れを変えて、次の成長に向かったという第一歩です。これが第一歩だけで終わらずに、二の手、三の手、継続的な賃上げを打ち、第一歩だけで終わらせてはいけないと思います。
─ 企業の中には賃金を40%上げるところも出るなど、様々な工夫が出ていますね。
清水 企業ごとに、企業の状況に応じた賃上げの仕方があって然るべきだと思います。
顧客が望む加入経路に柔軟に対応する
─ 日本は大企業と中小企業の二重構造になっていますね。企業数で言えば中小企業が99%を占めますが、賃上げができるところ、人材獲得のために必要だから賃上げするところ、全く賃上げできないところと状況は様々です。どう対応すればいいと考えますか。
清水 賃上げだけが人的資本を伸ばす方法ではないのだと思います。「リスキリング」という言葉に代表されるように、賃金の上昇は一定程度抑えられても、従業員の能力の再活用、あるいはさらに教育を含めてどう伸ばしていくか。
つまり、教育や人の成長にお金を使うこともあるでしょうから、これはそれぞれの企業の考え方、懐具合、人の状況を見て、企業それぞれが判断をしていくことだと思います。
いずれにしても、人的資本の成長というのは、各企業が考えなければいけません。
─ 様々な懸念要素がある時ではありますが、こういう時代の生保の役割をどう考えていますか。
清水 生命保険の元々の事業は「安心・安全を提供する」ことです。当然、これまで業界としては140年近くにわたって生命保険商品、サービスを提供してきました。このことによって、日本は世界に冠たる保険大国になったわけです。
一方で、子細に見れば、若者の加入率が減っている、死亡保障から医療や所得保障、資産形成などへとニーズが多様化していますから、その対応はしてきていますが、それが十分なのかどうかは自らに問わなければいけないと思っています。
さらにその上で、お客様自身が、ご自身にとって最もふさわしいチャネルを選ばれます。営業職員の場合もあれば、金融機関や保険ショップなど代理店の場合もあり、ネットもありますから、各社が自分達はこのチャネルでいくというよりは、お客様が望む加入経路、アプローチに機動的に対応できるような会社になっていくことが大事だと思います。
─ 時代の変化に合わせて変化した契約者のニーズにどう対応するかが問われるのだと。
清水 ええ。安心・安全を提供するのが生命保険の役割だとすると、社会課題がどんどん多様化して、複雑になってきています。例えば地球環境、脱炭素、生物多様性、加えて地域社会の活性化、その中における子育ての問題、少子化の問題など、こうした社会課題に生保業界として貢献をしていく。これらの社会課題の解決を通じて安心・安全を提供する役割が、重要になってきていると思います。
社内に「デジタル化」への抵抗もあった中で…
─ 清水さんは社長に就任して6年目に入っていますが、嬉しかったこと、つらかったことも含め、振り返ってどんなことを感じますか。
清水 私は社長に就任する時に3つのテーマを掲げました。1つ目は収益力の強化です。この実現には保険の販売力、運用力、リスク管理体制の強化が重要だと考えて取り組みました。
2つ目は変革の推進です。これはとりわけデジタライゼーション、新規事業への取り組みです。3つ目はグループ強化です。
この3つのテーマに沿って5年間、運営してきたということです。それぞれに手は打てているとは思いますが、3年のコロナ禍が会社に与えた影響、ダメージは相当大きいなと感じています。とりわけ、対面を中心とする営業職員チャネルに対して、この3年間、与えられた影響は大きいと思います。
─ 営業職員が顧客に会えない時期が続いたわけですが、どう対応してきましたか。
清水 もちろん、それを克服すべく、3年間で一気にデジタル化を進めてきました。今や、当社の5万名の営業職員はデジタルを使いこなす集団になっています。ただ、まだまだコロナの後遺症のような形で、お客様と対面でお会いする機会が減少したままです。
一方で、最初から契約締結までデジタルで完結するようには、まだ我々の試行錯誤が必要です。その意味で過渡期にありますから、対面の機会をより増やすと同時にデジタルのスキルを高めていく。対面にデジタルをプラスアルファしていくことで、従来以上に販売力が強まっているという形にできるだけ早く持っていくことが、今の課題です。
─ この間、営業職員の人達の働く意識、働きがいに変化はありましたか。
清水 コロナ前から従業員の意識実態調査をやっています。例えば、「日本生命はお客様にとって重要な事業をしている」、「意味のある商品、サービスを提供している」といった問いに対して、従業員が「本当にそう思う」と答える割合は、コロナ前から高かったのです。
おそらく、コロナによっても営業職員は同じように、生命保険事業に携わることの重要性は、より強く確認したことは間違いないと思いますから、これが我々の依って立つところです。
なかなか簡単な仕事ではありません。しかし、生命保険事業の意義や、お客様に対して保険の重要性をお伝えする使命感が我々の力となり、商品、サービスをお届けし続ける活動を支えています。
─ 実際に現場を回って、営業職員などと接する中で、感じたことはありますか。
清水 正直に言えば、これまで130年以上、営業職員に対して対面でお客様にお会いすることの重要性を言い続けてきました。ですから、その中にデジタルを組み込んでいくということへの抵抗、様々な意見が社内であったことは事実です。
しかし、その議論を尽くした上でデジタルを入れなければいけないという形で踏み切ったわけです。ただ、当初は心配しましたが、営業職員から「デジタルを入れてくれてありがたい、助かった」という声が多く出てきています。
─ 実際、デジタルがあったことで、顧客との新たな接点を持つことができたということは言えそうですね。
清水 とりわけ年齢に関係なく、新しく入社してくる方々はデジタル、スマートフォンを使いこなす人が増えています。「これがなければ仕事ができない」とはっきりと言われていますから、そこは心配することはなかったなと。
これによって、これまで対面で素晴らしい業績を上げてきた営業職員は、今後も対面での活動を中心に活躍し続けてもらうとともに、ゆくゆくはデジタルだけで対面の成果を超えられるような営業職員が出てきて欲しいということを、至るところで言っています。
─ 24年から「新NISA」が始まります。運用への関心がこれまで以上に高まっている中、資産形成向けの商品を取り扱っている生命保険会社に対する期待もあろうかと思いますが、どう対応しますか。
清水 新NISAは相当盛り上がっていますから、資産形成手段として間違いなく、相当なスピードで拡大すると思うんです。そうすると短期的には、これまで生命保険商品で資産形成を行ってきた方々が、生命保険ではなくNISAの方で資産形成をする動きになると思いますから、おそらく短期的には我々も影響を受けると思うんです。
ただ、長期的に見れば、間違いなく資産形成に対するニーズや裾野、関心は広がりますから、NISAに限らず、生命保険で資産形成をしていく方向に目が向いていくことは間違いありません。
ですから、その中長期的にプラスとなる面を捉えて、生命保険会社としても資産形成ニーズに応えられるような商品ラインナップを増やしていかなければなりません。これが重要な課題です。
米国のインフレが収まらない中で
─ 米国のインフレ、中国の景気悪化など、世界経済を巡る状況は非常に不透明ですが、現状と今後をどう見ていますか。
清水 インフレが思った以上に強く、例えばFRB(米連邦準備制度理事会)の対応するタイミングがよかったのかどうかという議論があります。
その後、段階的に、これまでなかった以上に政策金利を上げて、インフレを退治にしにいっていますが、いわゆる「スティッキー・インフレ」(Sticky Inflation=しつこいインフレ)で、なかなか収まらないと。
ただ、景気は後退することなく、軟着陸するのではないだろうか?という見方が強いですが、多くの人がそう思っている時は、少し慎重にならなければいけないなという形で心配するのが、我々保険会社の役割でもあると思います。
FRBの金融政策が効果を与えて、インフレが収まり、アメリカの景気が軟着陸するかどうかが世界経済にとって一番大きいポイントではないでしょうか。
─ 中国は、1978年の改革開放以来、初めてと言っていいくらいの景気悪化に直面していますが。
清水 ええ。当然、足元の中国の景気、先行きの問題、不良債権の問題など、様々な不透明な要素がありますので、多方面にわたって予断を許さない、そういう情勢だと思います。
─ そうした状況下、日本銀行は総裁が植田和男氏に交代して以降、YCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)政策の変更などで動いてきています。金利の動向は生保経営にも影響を与えるものだと思いますが、どう見ますか。
清水 金融政策自体は日銀の専管事項ですので、これがいいか悪いかについてはコメントできません。
ただ、植田総裁が就任されて以降、物価上昇が一定程度安定的に続いて、経済成長と賃上げが継続的に行われるような経済にしていく、それまでは金融緩和は続けていかなくてはいけないというはっきりとした方針が打ち出されました。YCCの柔軟化は行われましたが、基本的には金融緩和を維持されています。
その上で、YCCの柔軟化は、債券市場が低金利のままですと、需給バランスで、なかなか市場が機能しません。ですから、この市場機能の回復を狙ったものであろうということで、これは機関投資家としては歓迎すべきことだと思っています。
今後は、この市場機能の回復と、緩和的な金融政策が、どのように方向転換されるのか。これに注目したいと思います。
─ 一般論ですが「金利がつく時代」は、日本経済にとっていいことだと言えますね。
清水 間違いなくいいと思います。ただ、それに対して、日本生命を含めた経営者が、継続的な賃上げを行わなければ、実質的な賃金が下がりますので、収益力を背景にした継続的な賃上げができるような経営に、それぞれの経営者が持っていくこと。これが重要なキーの1つだと思います。
─ 日本企業、日本経済が成長していくことが大事だと。
清水 そうです。この春闘で多くの企業が賃上げに踏み切ったことは、これまでの流れを変えて、次の成長に向かったという第一歩です。これが第一歩だけで終わらずに、二の手、三の手、継続的な賃上げを打ち、第一歩だけで終わらせてはいけないと思います。
─ 企業の中には賃金を40%上げるところも出るなど、様々な工夫が出ていますね。
清水 企業ごとに、企業の状況に応じた賃上げの仕方があって然るべきだと思います。
顧客が望む加入経路に柔軟に対応する
─ 日本は大企業と中小企業の二重構造になっていますね。企業数で言えば中小企業が99%を占めますが、賃上げができるところ、人材獲得のために必要だから賃上げするところ、全く賃上げできないところと状況は様々です。どう対応すればいいと考えますか。
清水 賃上げだけが人的資本を伸ばす方法ではないのだと思います。「リスキリング」という言葉に代表されるように、賃金の上昇は一定程度抑えられても、従業員の能力の再活用、あるいはさらに教育を含めてどう伸ばしていくか。
つまり、教育や人の成長にお金を使うこともあるでしょうから、これはそれぞれの企業の考え方、懐具合、人の状況を見て、企業それぞれが判断をしていくことだと思います。
いずれにしても、人的資本の成長というのは、各企業が考えなければいけません。
─ 様々な懸念要素がある時ではありますが、こういう時代の生保の役割をどう考えていますか。
清水 生命保険の元々の事業は「安心・安全を提供する」ことです。当然、これまで業界としては140年近くにわたって生命保険商品、サービスを提供してきました。このことによって、日本は世界に冠たる保険大国になったわけです。
一方で、子細に見れば、若者の加入率が減っている、死亡保障から医療や所得保障、資産形成などへとニーズが多様化していますから、その対応はしてきていますが、それが十分なのかどうかは自らに問わなければいけないと思っています。
さらにその上で、お客様自身が、ご自身にとって最もふさわしいチャネルを選ばれます。営業職員の場合もあれば、金融機関や保険ショップなど代理店の場合もあり、ネットもありますから、各社が自分達はこのチャネルでいくというよりは、お客様が望む加入経路、アプローチに機動的に対応できるような会社になっていくことが大事だと思います。
─ 時代の変化に合わせて変化した契約者のニーズにどう対応するかが問われるのだと。
清水 ええ。安心・安全を提供するのが生命保険の役割だとすると、社会課題がどんどん多様化して、複雑になってきています。例えば地球環境、脱炭素、生物多様性、加えて地域社会の活性化、その中における子育ての問題、少子化の問題など、こうした社会課題に生保業界として貢献をしていく。これらの社会課題の解決を通じて安心・安全を提供する役割が、重要になってきていると思います。
社内に「デジタル化」への抵抗もあった中で…
─ 清水さんは社長に就任して6年目に入っていますが、嬉しかったこと、つらかったことも含め、振り返ってどんなことを感じますか。
清水 私は社長に就任する時に3つのテーマを掲げました。1つ目は収益力の強化です。この実現には保険の販売力、運用力、リスク管理体制の強化が重要だと考えて取り組みました。
2つ目は変革の推進です。これはとりわけデジタライゼーション、新規事業への取り組みです。3つ目はグループ強化です。
この3つのテーマに沿って5年間、運営してきたということです。それぞれに手は打てているとは思いますが、3年のコロナ禍が会社に与えた影響、ダメージは相当大きいなと感じています。とりわけ、対面を中心とする営業職員チャネルに対して、この3年間、与えられた影響は大きいと思います。
─ 営業職員が顧客に会えない時期が続いたわけですが、どう対応してきましたか。
清水 もちろん、それを克服すべく、3年間で一気にデジタル化を進めてきました。今や、当社の5万名の営業職員はデジタルを使いこなす集団になっています。ただ、まだまだコロナの後遺症のような形で、お客様と対面でお会いする機会が減少したままです。
一方で、最初から契約締結までデジタルで完結するようには、まだ我々の試行錯誤が必要です。その意味で過渡期にありますから、対面の機会をより増やすと同時にデジタルのスキルを高めていく。対面にデジタルをプラスアルファしていくことで、従来以上に販売力が強まっているという形にできるだけ早く持っていくことが、今の課題です。
─ この間、営業職員の人達の働く意識、働きがいに変化はありましたか。
清水 コロナ前から従業員の意識実態調査をやっています。例えば、「日本生命はお客様にとって重要な事業をしている」、「意味のある商品、サービスを提供している」といった問いに対して、従業員が「本当にそう思う」と答える割合は、コロナ前から高かったのです。
おそらく、コロナによっても営業職員は同じように、生命保険事業に携わることの重要性は、より強く確認したことは間違いないと思いますから、これが我々の依って立つところです。
なかなか簡単な仕事ではありません。しかし、生命保険事業の意義や、お客様に対して保険の重要性をお伝えする使命感が我々の力となり、商品、サービスをお届けし続ける活動を支えています。
─ 実際に現場を回って、営業職員などと接する中で、感じたことはありますか。
清水 正直に言えば、これまで130年以上、営業職員に対して対面でお客様にお会いすることの重要性を言い続けてきました。ですから、その中にデジタルを組み込んでいくということへの抵抗、様々な意見が社内であったことは事実です。
しかし、その議論を尽くした上でデジタルを入れなければいけないという形で踏み切ったわけです。ただ、当初は心配しましたが、営業職員から「デジタルを入れてくれてありがたい、助かった」という声が多く出てきています。
─ 実際、デジタルがあったことで、顧客との新たな接点を持つことができたということは言えそうですね。
清水 とりわけ年齢に関係なく、新しく入社してくる方々はデジタル、スマートフォンを使いこなす人が増えています。「これがなければ仕事ができない」とはっきりと言われていますから、そこは心配することはなかったなと。
これによって、これまで対面で素晴らしい業績を上げてきた営業職員は、今後も対面での活動を中心に活躍し続けてもらうとともに、ゆくゆくはデジタルだけで対面の成果を超えられるような営業職員が出てきて欲しいということを、至るところで言っています。
─ 24年から「新NISA」が始まります。運用への関心がこれまで以上に高まっている中、資産形成向けの商品を取り扱っている生命保険会社に対する期待もあろうかと思いますが、どう対応しますか。
清水 新NISAは相当盛り上がっていますから、資産形成手段として間違いなく、相当なスピードで拡大すると思うんです。そうすると短期的には、これまで生命保険商品で資産形成を行ってきた方々が、生命保険ではなくNISAの方で資産形成をする動きになると思いますから、おそらく短期的には我々も影響を受けると思うんです。
ただ、長期的に見れば、間違いなく資産形成に対するニーズや裾野、関心は広がりますから、NISAに限らず、生命保険で資産形成をしていく方向に目が向いていくことは間違いありません。
ですから、その中長期的にプラスとなる面を捉えて、生命保険会社としても資産形成ニーズに応えられるような商品ラインナップを増やしていかなければなりません。これが重要な課題です。