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【株価はどう動く?】日米の金融政策の動向に注意、10月は「荒れる相場」に?

財界オンライン 2023年10月26日 12時0分

世界の投資マネーは「中国売り、日本買い」

 日本時間の9月20日、21日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に、日米の株価は弱い展開が続きました。実際、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長の発言は、インフレに対して強い警戒感のあるメッセージでした。年内にあと1回の利上げを示唆して、2024年も引き続き利上げ、金融引き締めのスタンスを堅持するというような内容でしたので、その後日米の株価は下落しました。

 ただ、そんな市場の状況にも関わらず、引き続き海運、鉄鋼、商社といった銘柄の株価は、一部で新高値を付けるなど強い動きが続きました。それ以外に、最近では自動車株が強い動きを見せています。

 大きな流れとしては、以前から指摘してきたように、脱デフレ、円安、資産インフレ関連株は非常に底堅い動きが続いています。しかも、9月は中間配当の権利月になっていますから、最終日間際までしっかりした動きになるかどうかが、当面の株価の行方を左右しそうです。

 それだけでなく、例えばホンダ(東証PRM 7267)などは、9月30日を基準日に1対3の株式分割権利付きです。

 また、海運3社のうち商船三井(東証PRM 9104)の動きが強いのですが、配当額が3社の中で最も大きいのです。

 9月21日、22日には日本銀行の金融政策決定会合も行われましたが、株式市場にネガティブな発言はありませんでした。

 なので、日米の当面の金融政策の方向性が出揃った後、大したマイナス材料が出なかったということになれば、株価は再び上昇していくことになります。

 これは短期の動きですが、今後も引き続き、高配当の海運、鉄鋼、商社、それに続いて円安の恩恵を受けた自動車などの上昇が予想されます。トヨタ自動車(東証PRM 7203)の株価も強い動きになっています。

 さらにインバウンド(訪日外国人観光客)関連、食品など消費関連銘柄の株価は底上げの動きになるものと見ています。

 また、日本時間9月21日の国連総会に出席するためにニューヨークを訪れた岸田文雄首相は、この機会に投資家向けの講演も行いましたが、その中では構造改革の断行を表明しました。

 今、世界の投資マネーは、それ以前の中国への投資から、日本にシフトされつつあります。「中国売り、日本買い」の流れになっているのです。岸田首相の発言は、その流れを後押しすることになるでしょう。

 大局観としては、30年続いたデフレのトンネルを、日本経済が抜けようとしています。それを織り込む資産インフレ相場が、今すでに始まっています。

 ただ、米国はインフレに直面して金融が引き締まっており、まだ利上げの可能性も残っています。そのことから、2024年の米国の景気が悪化するという見方もあります。ですから日米の株価の波乱要因としては、やはり米国の景気、金融政策のリスクが残ります。

 不動産バブルの崩壊による、中国経済の悪化もリスク要因ですが、今はグローバルマーケットからの「中国切り離し」の動きになりつつあります。ですから、中国経済悪化の世界への影響は次第に軽減されていくのではないかと見ています。

 むしろ今後は米国の金利とインフレがどうなるか、それ次第で米国の株価や景気に影響が出ますし、その影響は日本にも及びます。

 日本単体で見れば、大きなマイナス材料、リスク要因はないのではないかと言えます。現在、岡三証券グローバルリサーチセンター特別顧問を務める嶋中雄二氏が指摘している「ゴールデンサイクル」がすでに始まっていて、日本経済が予想外によくなるかもしれません。

 以前も指摘しましたが、日本の設備投資は23年度、24年度と2年連続で100兆円を超える見通しです。100兆円超えはバブル期以来、2年連続は史上始めてのことです。これが現実のものとなれば、24年は久方ぶりの好況到来、株高となることが予想されます。早ければ24年の年央には、バブルの最高値3万8915円に接近、奪回する可能性が出てきています。

 以上のことから、デフレで業績が低迷していた企業が立ち上がってきて、引き続き株価の底上げが続き、少なくともPBR(株価純資産倍率)1倍台から2倍を目指すような相場がやってくるのではないかと見ています。

 しかし、一方今後の株価や景気の先行きについて、強い懸念を持つ人が多い状態が続いています。ただ、私はこれは株価にとってはプラスだと見ています。悲観論が多ければ多いほど株価は上がるからです。むしろ、世の中の多くの人が楽観論を言うようになったら気をつけなければいけません。

 私は、今年の日経平均の高値は3万5000円プラスマイナス1000円と見ています。リスク要因としては、米国の金融引き締めで株価の頭が抑えられていること、そして日本経済の指針がはっきりしないことです。

 安倍政権時には「アベノミクス」というはっきりした「旗」が掲げられましたが、岸田政権では、まだ見えていません。株価が上に抜けてくるためには、この「旗印」を鮮明にすることが必要になります。

 また10月は要注意の月です。過去の大きなショックは10月に起きていることが多いのです。また、相場の始まりが10月2日ですが相場の格言に「2日新甫は荒れる」というものがあります。何か波乱要因が出て、10月相場は、一時的に荒れるかもしれません。

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