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【厚生労働省】パート「年収の壁」対策 抜本改革は次期改定で

財界オンライン 2023年11月8日 11時30分

政府は、パート従業員らの収入が一定額を超えると年金などの社会保険料の負担で手取りが減る「年収の壁」対策として、新たな支援強化パッケージを策定した。賃上げに取り組む企業に助成金を支給する制度の導入が柱で10月から導入。壁を意識せずに働ける環境を整え、就労促進や人材確保を目指す。

 政府がまとめた支援策は税や社会保険料の負担発生に応じた「103万円」「106万円」「130万円」といった複数の壁に応じて対策を打ち出したのが特徴だ。

 このうち、従業員101人以上の企業で社会保険料の納付が必要になる「106万円の壁」対策として、手取りが減らないよう賃上げした企業に従業員1人当たり最大50万円を助成する制度を整備。企業が手取りの減少を補う手当を従業員に支給できる仕組みも新設した。

 一方、配偶者の扶養から外れ、社会保険料を負担する必要がある「130万円の壁」では、残業の増加などで年収が一時的に130万円を超えた場合でも、健康保険組合など保険者の判断で連続2年までは扶養にとどまれるようにした。

 ただ、助成金制度に関して厚生労働省内では当初から「負担能力に応じて保険料を支払う原則に反し、他の被保険者との公平性が保てない」といった慎重論が強く、ある官房幹部も「あくまで暫定的な措置」と強調。

 25年の年金制度改革に向け、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会でも「年収の壁」解消に向けた議論が始まっているが、自営業者らとの公平性確保を求める声が相次いだ。

 年収の壁の問題解消には、サラリーマンらの配偶者が一定の年収まで保険料納付を免除される「第3号被保険者制度」そのものの見直しが不可欠との指摘も根強い。制度を廃止し、新たに保険料の負担を求めることは与党内でも反対が多く、どこまで見直しに踏み込めるかは不透明だ。

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