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【経済産業省】G7貿易相会合で日本産水産物禁輸の撤廃を要求

財界オンライン 2023年11月14日 18時0分

10月29日に閉幕した先進7カ国(G7)貿易相会合で、G7は中国による日本産水産物の禁輸を念頭に、「不必要に貿易を制限するいかなる措置も直ちに撤廃されることを強く求める」と明記した閣僚声明を採択した。議長国の日本が議論をリードし、G7各国の合意を取り付けて声明に反映することに成功した格好だ。規制撤廃に向け一歩前進した形だが、中国が応じるかは見通せない。

「(禁輸は)全く受け入れられないという日本の考え方を明確に伝え、各国から幅広く支持を得た」。西村康稔経済産業相は会合の成果をこう強調した。

 中国は東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出開始を受け、日本産水産物の輸入を全面停止。ロシアもこれに同調している。中国は、オーストラリア産のワインや小麦、石炭などに輸出規制や追加関税をかけるなど、経済力を武器に貿易相手国に圧力をかける「経済的威圧」を行っている。

 G7閣僚声明では、経済的威圧が拡大していることへの憂慮を表明。経済的威圧を抑止し、対抗するために協力することや、被害を受けた国を支援するため、損害を緩和する方法を検討することなどを盛り込んだ。

 今回の日本産水産物の輸入全面停止も、経済的威圧に該当する可能性がある。本来、こうした行為を受けた場合の解決方法として、紛争解決手続きの役割を担う世界貿易機関(WTO)に提訴する方法があるが、WTOでは紛争処理の最終審に当たる上級審が機能不全に陥っている。さらに、結論が出るまでに数年かかることもあり、日本政府関係者の一人は、「訴訟はどう転ぶか分からず、WTOへの提訴はあくまで手段のひとつ」と指摘するなど、提訴に慎重な意見も根強い。

 閣僚声明には、WTO改革に取り組むことも盛り込まれたものの、機能不全がただちに解消されるかも不透明だ。

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