価格の競争ではなく知恵を使った競争を!
─ 日本はGDPで世界第3位から第4位に転落しました。キッコーマン名誉会長の茂木友三郎さんから日本再生への提言を聞かせてください。
茂木 日本は経済を活性化しながら、同時に分配なども考えなければなりません。ところが過去30年間、日本は全く成長していません。経済が伸びておらず、活性化していないのです。この大きな原因の1つに価格原理主義があると思います。
日本では消費者のためにという名分で価格を上げない方が良いという考え方が染み付いています。原材料の高騰などに対して日本は我慢をしてしまったのです。そうすると、値段は上がりませんし、そのしわ寄せで賃金も少し減らすといった方向に向かってしまいます。
値段を上げる、その結果、賃金が上がる、またそれによってコストが上がった分、値段を上げて賃金も上げる。そういう方向にもっていかなければなりません。大事なのは、単に価格を下げる競争ではなく、知恵を使った競争をすることです。
─ 値段を上げる時に新製品を作るといった工夫が求められますね。その際に日本人の強さとはどんな点ですか。
茂木 日本人は真面目で勤勉です。この真面目さや勤勉さを生かしていくことを考えなければなりません。高度経済成長期はその勤勉さがそのまま生産性の向上に結びついていました。しかし今は経済が複雑になってきていますから、デジタル化などにその勤勉さをうまく生かしていくことを真剣に考えていく必要があると思いますね。
─ 23年はキッコーマンの米国工場のグランドオープニング50周年でした。
茂木 ええ。私が35歳の時にプロジェクトが始まり、38歳のときにウィスコンシンの工場がグランドオープニングしました。当初の私の肩書はグループ長。スタッフも私を含めて2人だけでした。当時は若かったですから、私も怖いもの知らずで張り切っていましたね。米国のビジネススクールに留学していましたから日本人の中でも米国のことはある程度知っている方だという意識はありました。
─ 今ではキッコーマンの営業利益のうち、半分超を北米が占めていますからグローバル化に大きく寄与したと言えますね。その経験を踏まえ、どんな人が伸びると思いますか。
茂木 人に言われなくても自分の仕事は何かを自覚して動ける人ですね。リーダーシップは教えられて身に付くものではありません。ですから経営者も「これだ」と思う人にはできるだけ早くリーダーシップを持てるような場を与えることが必要です。自ら育つ、そして企業がそれを助けることが求められます。
─ 日本はGDPで世界第3位から第4位に転落しました。キッコーマン名誉会長の茂木友三郎さんから日本再生への提言を聞かせてください。
茂木 日本は経済を活性化しながら、同時に分配なども考えなければなりません。ところが過去30年間、日本は全く成長していません。経済が伸びておらず、活性化していないのです。この大きな原因の1つに価格原理主義があると思います。
日本では消費者のためにという名分で価格を上げない方が良いという考え方が染み付いています。原材料の高騰などに対して日本は我慢をしてしまったのです。そうすると、値段は上がりませんし、そのしわ寄せで賃金も少し減らすといった方向に向かってしまいます。
値段を上げる、その結果、賃金が上がる、またそれによってコストが上がった分、値段を上げて賃金も上げる。そういう方向にもっていかなければなりません。大事なのは、単に価格を下げる競争ではなく、知恵を使った競争をすることです。
─ 値段を上げる時に新製品を作るといった工夫が求められますね。その際に日本人の強さとはどんな点ですか。
茂木 日本人は真面目で勤勉です。この真面目さや勤勉さを生かしていくことを考えなければなりません。高度経済成長期はその勤勉さがそのまま生産性の向上に結びついていました。しかし今は経済が複雑になってきていますから、デジタル化などにその勤勉さをうまく生かしていくことを真剣に考えていく必要があると思いますね。
─ 23年はキッコーマンの米国工場のグランドオープニング50周年でした。
茂木 ええ。私が35歳の時にプロジェクトが始まり、38歳のときにウィスコンシンの工場がグランドオープニングしました。当初の私の肩書はグループ長。スタッフも私を含めて2人だけでした。当時は若かったですから、私も怖いもの知らずで張り切っていましたね。米国のビジネススクールに留学していましたから日本人の中でも米国のことはある程度知っている方だという意識はありました。
─ 今ではキッコーマンの営業利益のうち、半分超を北米が占めていますからグローバル化に大きく寄与したと言えますね。その経験を踏まえ、どんな人が伸びると思いますか。
茂木 人に言われなくても自分の仕事は何かを自覚して動ける人ですね。リーダーシップは教えられて身に付くものではありません。ですから経営者も「これだ」と思う人にはできるだけ早くリーダーシップを持てるような場を与えることが必要です。自ら育つ、そして企業がそれを助けることが求められます。