変化をチャンスに!
─ 2022年4月の社長就任から2年弱が経とうとしています。この間、中西さんは事業構造改革を進めてきたわけですが、改めて、この狙いを説明してもらえますか。
中西 わたしが2022年に社長に就任した時に、22年度から始まる3カ年の新しい経営の指針として「中期経営戦略2024」を出しました。この中で、循環型成長モデルという経営管理制度を掲げ、実践しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループ社長・亀澤宏規「分断の時代に『つなぐ』存在になっていく!」
これは前任者(垣内威彦・現会長)の時代から言っていることですが、要はどのように事業ポートフォリオの入れ替えをしていくかというところに重点を置いていまして、事業を入れ替えながら、どのように成長していくかという部分がこれからの課題になるのかなと思います。
─ 中西さんは成長戦略の象徴的な言葉として、EX(Energy Transformation)とDX(Digital Transformation)と言っていますね。
中西 はい。これは皆さんご認識のとおり、現在はエネルギーの転換点にきているということです。また、AI(人工知能)に代表されるように日々、デジタル技術が発達してきていると。こうして世の中が転換点を迎えているわけで、われわれは新しい変化をチャンスに変えたいと思っています。
三菱商事はこれまでずっとエネルギー事業でそれなりの実績を上げてきていますから、脱炭素に向けての変換点に立ち向かっていく、チャレンジしていくというのがEX戦略の骨子です。
─ これまでの知見も活かしながら、ですね。
中西 ええ。知見を活かしながら、変化をチャンスに変えたいということです。
EX、つまり、エネルギーの転換と言うと、水素や再生可能エネルギーの開発など、比較的分かりやすいと思うんですが、DX戦略には二つの意味合いがあります。
われわれはデジタル分野でもいろいろな事業を行っていますが、一つはデジタル技術を使って効率化することによって、コストをより抑えて競争力があるものにするというところ。もう一つは、AIに代表されるようにデータを学習して、次にどういうサービスに繋げていくかと。意味合いとしては二つあると思うんですね。
つまり、賢く効率化という部分と、データを使って新しいものをクリエイトする。この二つの側面を、DX戦略という言い方で両方カバーしていくということです。
「共創価値の創出」を!
─ 今は世界が混沌としていて、予測のつかない時代と言われます。こうした環境激変の中を、三菱商事はどういうスタンスで生き抜くのか。
中西 わたしが就任当初から言っているのは、共創価値の創出ということで、共に価値をつくると。正式には、「中期経営戦略2024」の中で、『MC Shared Value(共創価値)の創出』と言っているんですね。
究極は、グループの総合力強化による社会課題の解決を通じて、共創価値を継続的に創出することを目指しますと。まさに三菱商事を、いろいろな社会課題の解決策、ソリューションを提供できる会社にしたい。そういう意味で、共創価値の創出と申し上げています。
それを実現するためには、われわれ自身が変わらなければいけない。自分が社長の時にそうした変革をやりたいなと思っているところです。
─ 中西さんは、あまり商社という言葉を使いたくないと言っていますね。これから三菱商事はどういう会社になると言えますか。
中西 最近言っているのは、「バリュー・クリエイター」です。先ほど申し上げました『MC Shared Value(共創価値)』というのは、造語です。
MCはMitsubishi Corporation。また、共創価値の創出を英語で表すと、Create Shared Value、すなわちCSVであると。だから、CをかけてMCSVなんです。この価値を創出していきたいと考えています。要は、三菱商事がこれまで培ってきた多様性や総合力を掛け合わせるということです。
イノベーションという言葉は、日本語でいうと「新結合」です。今後は、われわれの持っている事業を掛け合わせて新しいものをつくる。これを新結合ということで、イノベーションを起こしたいと思っています。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の提言「消費は良いのか、悪いのか?」
─ 2022年4月の社長就任から2年弱が経とうとしています。この間、中西さんは事業構造改革を進めてきたわけですが、改めて、この狙いを説明してもらえますか。
中西 わたしが2022年に社長に就任した時に、22年度から始まる3カ年の新しい経営の指針として「中期経営戦略2024」を出しました。この中で、循環型成長モデルという経営管理制度を掲げ、実践しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループ社長・亀澤宏規「分断の時代に『つなぐ』存在になっていく!」
これは前任者(垣内威彦・現会長)の時代から言っていることですが、要はどのように事業ポートフォリオの入れ替えをしていくかというところに重点を置いていまして、事業を入れ替えながら、どのように成長していくかという部分がこれからの課題になるのかなと思います。
─ 中西さんは成長戦略の象徴的な言葉として、EX(Energy Transformation)とDX(Digital Transformation)と言っていますね。
中西 はい。これは皆さんご認識のとおり、現在はエネルギーの転換点にきているということです。また、AI(人工知能)に代表されるように日々、デジタル技術が発達してきていると。こうして世の中が転換点を迎えているわけで、われわれは新しい変化をチャンスに変えたいと思っています。
三菱商事はこれまでずっとエネルギー事業でそれなりの実績を上げてきていますから、脱炭素に向けての変換点に立ち向かっていく、チャレンジしていくというのがEX戦略の骨子です。
─ これまでの知見も活かしながら、ですね。
中西 ええ。知見を活かしながら、変化をチャンスに変えたいということです。
EX、つまり、エネルギーの転換と言うと、水素や再生可能エネルギーの開発など、比較的分かりやすいと思うんですが、DX戦略には二つの意味合いがあります。
われわれはデジタル分野でもいろいろな事業を行っていますが、一つはデジタル技術を使って効率化することによって、コストをより抑えて競争力があるものにするというところ。もう一つは、AIに代表されるようにデータを学習して、次にどういうサービスに繋げていくかと。意味合いとしては二つあると思うんですね。
つまり、賢く効率化という部分と、データを使って新しいものをクリエイトする。この二つの側面を、DX戦略という言い方で両方カバーしていくということです。
「共創価値の創出」を!
─ 今は世界が混沌としていて、予測のつかない時代と言われます。こうした環境激変の中を、三菱商事はどういうスタンスで生き抜くのか。
中西 わたしが就任当初から言っているのは、共創価値の創出ということで、共に価値をつくると。正式には、「中期経営戦略2024」の中で、『MC Shared Value(共創価値)の創出』と言っているんですね。
究極は、グループの総合力強化による社会課題の解決を通じて、共創価値を継続的に創出することを目指しますと。まさに三菱商事を、いろいろな社会課題の解決策、ソリューションを提供できる会社にしたい。そういう意味で、共創価値の創出と申し上げています。
それを実現するためには、われわれ自身が変わらなければいけない。自分が社長の時にそうした変革をやりたいなと思っているところです。
─ 中西さんは、あまり商社という言葉を使いたくないと言っていますね。これから三菱商事はどういう会社になると言えますか。
中西 最近言っているのは、「バリュー・クリエイター」です。先ほど申し上げました『MC Shared Value(共創価値)』というのは、造語です。
MCはMitsubishi Corporation。また、共創価値の創出を英語で表すと、Create Shared Value、すなわちCSVであると。だから、CをかけてMCSVなんです。この価値を創出していきたいと考えています。要は、三菱商事がこれまで培ってきた多様性や総合力を掛け合わせるということです。
イノベーションという言葉は、日本語でいうと「新結合」です。今後は、われわれの持っている事業を掛け合わせて新しいものをつくる。これを新結合ということで、イノベーションを起こしたいと思っています。
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