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【農林水産省】内閣府の世論調査 値上げ許容も実際は節約

財界オンライン 2024年2月20日 15時0分

食品の値上げを一定程度許容する意識はあるものの、実際の買い物では節約─。

 内閣府が公表した世論調査で、食品価格の高騰に対する消費者のこんな反応が浮かび上がった。坂本哲志農林水産相は記者会見で「消費者に実際に行動を変容してもらうことが適切な価格形成に必要であると考えており、関係者の理解醸成を促したい」と語った。

 内閣府の調査によると、「食品の値上げについて何割まで許容できるか」との設問に対し、「1割高まで」が37.5%、「1割から2割高」が29.8%となった。「2割から3割高」(6.1%)と「3割超高」(2.2%)を合わせると計75.5%が「許容できる」と回答しており、農水省は「高い数字」と受け止めている。

 一方で「ここ2年間の食品価格高騰にどう対応したか」という設問(複数回答)に対しては、「価格の安いものに切り替えた」(59.5%)「外食の機会を減らした」(42.2%)「購入量を減らした」(39.0%)「嗜好品を減らした」(29.7%)といった節約行動が上位を占めた。生活者としては当然とも言えるが、このずれを埋めることが価格転嫁のカギを握りそうだ。

 農水省は8月に設置した協議会で、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした肥料・飼料価格の高騰を受けて、生産コストの転嫁に向けた仕組み作りに取り組んでいる。生産者団体や自民党農林族からの強い要望を踏まえものだが、価格上昇による販売減を懸念する小売りや食品メーカーは「生産者に都合の良い議論」と警戒感を隠さない。

 制度設計を誤れば独占禁止法に抵触しかねないため、農水省としても慎重に議論を進めており、今通常国会での法制化は見送る方向だ。「三方よし」の理念で円満に収めるには、コストの透明化などを通じて消費者に丁寧に価格決定の背景を説明する努力が欠かせない。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の提言「消費は良いのか、悪いのか?」

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