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【令和5年度 財界賞・経営者賞 贈呈式から】混沌の中、「志」と「覚悟」を持って進むリーダーたち

財界オンライン 2024年3月3日 11時30分

本誌恒例の令和5年度『財界賞経営者賞』贈呈式が1月19日、東京・丸の内のパレスホテル東京「葵の間」で行われた。

 当日は年明け早々の慌ただしい中にもかかわらず、『財界賞』の野本弘文氏(東急会長)をはじめ、会場に駆け付けた8名の受賞者をお祝いしようと、会場には産業界を中心に全国から約1000人が詰め掛けた。

 なお、『財界賞』は第68回目、『経営者賞』は第66回目を数える。本誌主幹で財界研究所社長の村田博文が今回の受賞者に対する授賞理由を説明。「ウクライナ・イスラエル2つの戦争、そして、年明けの能登半島地震と、いま世界は多くの試練に見舞われています。これらの試練を克服するためには、リーダーには覚悟が求められます。日本には共生の思想、他者を〝つなぐ〟という思想があります。今回の受賞者の方々は皆さん、基本軸をしっかりと持たれた方ばかりです。こうした志のある皆さんと共に力を合わせ、『財界』誌はこの1年を乗り切っていきたいと考えています」と挨拶した。

 今年度の花束贈呈プレゼンターは2024ミス・インターナショナル日本代表の植田明依さんが務め、野本氏をはじめとした受賞者の方々に花束を授与。続いて昨年度の『財界賞』受賞者である経団連会長の十倉雅和氏が祝辞の挨拶。受賞者の功績をたたえると共に、さらなる活躍と併せて日本経済の発展を祈念した。




財界賞

野本 弘文氏
東急会長

 この度は歴史ある素晴らしい賞をありがとうございます。身に余る光栄に存じます。

 メディア事業の社長時代に「ネットワーク」「オープン」「コンビネーション」、つまりは〝つなぐ〟思想が重要だと考え、それをまちづくりにも生かしてきました。

 2007年から東急電鉄社長(現東急)に就任し、「日本一住みたい沿線 東急沿線」「日本一働きたい街 二子玉川」「日本一訪れたい街 渋谷」という「3つの日本一」と「1つの東急」を掲げました。渋谷駅が地下化した際、通過駅になるとも言われましたが、渋谷ならではの街になりました。

 まちづくりは5年、10年でできません。五島慶太翁や五島昇翁の抱いた思いを諸先輩方や社員、関係者の方々が受け継ぎ、今に至っています。これを次の世代にもつないでいきます。

「楽しさ」「豊かさ」「美しさ」を提供し、皆様に少しでもお役に立てればと思っています。




財界賞特別賞

長 隆氏
監査法人長隆事務所代表

 この度はありがとうございます。わたしのような人間が選ばれるとは想定外のことです。

 わたしの医療改革の原点は16年前に財政破綻した北海道夕張市の再建でした。「このままでは人が住めなくなる。そうならないためにも町に病院を残さなければならない」。そう考えたわたしは政府からの要請を受けて医療改革に尽力し、何とか病院を残し、町を残すことができました。

 全国の公立病院の経営は厳しいものがあります。それでも岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を掲げました。わたしも夕張市で実行してきたことを全国の公立病院の改革に向けて助言していきたいと思っています。

 当監査法人は基本理念に「すべての人に健康と福祉を 住み続けられる町づくりに貢献する」を掲げています。監査業務だけではなく、誰もが安心して住み続ける町づくりに貢献していきたいと思っています。



財界賞特別賞

モンテ・カセム氏
国際教養大学理事長兼学長

 この賞は、私へではなく、私を支えてくれた周りのすべての人々のおかげであると心から感謝しております。

 秋田との縁は47年前でして、その頃わたしは白神山地に憧れ何度も旅をしている青年でした。一目惚れしたこの地で今回の名誉ある賞を受賞できたことはこの上ない喜びです。

 これまでのわたしの活動を改めて見返すと、わたしはずっと仲間たちと〝垣根を低くすること〟に取り組んできました。それは学問の垣根であり、職業的な垣根であり、課題を生んでいる高い壁となっているものを低くすることを諦めずにやってきました。あらゆる垣根を低くすれば、視野が広くなって遠くを見つめることができ、より多くの人が様々な活動をしやすくなるとわたしは信じています。

 今日の受賞を励みに、秋田での今後の活動に活かしていきたいと思います。




経営者賞

小路 明善氏
アサヒグループホールディングス会長

 この度は栄誉ある賞をいただきまして、改めて御礼申し上げます。

「企業経営は人なり」を視点とする財界誌主催の賞をいただき、弊社グループで力を入れている「人への投資」というものを改めて考え直しました。

 わたしは、人の成長というのが企業の成長をつくり、また、企業の成長の総和が日本経済の発展の源泉となると思っています。そしてその発展の内容が、人々のウェルビーイングに繋がると考えています。今後もこういった人的資本経営を軸に、経営者・いち経済人として力を注いで参ります。




経営者賞

峰岸 真澄氏
リクルートホールディングス会長

 リクルートグループは、データとテクノロジーを活用して、圧倒的に企業の採用プロセスを効率化すること、求職者が仕事を探す期間を圧倒的に短くすることを目指しています。また、業務・経営支援サービスの『Air ビジネスツールズ』を通じて、日本企業の生産性向上に貢献することを目指しています。

 また、われわれが大切にしている『個の尊重』という価値観があります。個の情熱を開放して、個人と個人が創発し合う中で生み出される新たな価値やイノベーションを通じて、一人ひとりが輝く豊かな世界を目指していきたいと考えています。




経営者賞

山下 良則氏
リコー会長

 当社はコピー機のリコーから、個の生き方・働き方変革へ役に立つデジタルサービスの会社へ転換の途上です。今回の受賞は、生みの苦しみとも言えるくらいのチャレンジを毎日行っている社員へのエールだと受け止めており、一段と嬉しい気持ちです。

 人はコストではなく資本、企業の最大の宝は社員のモチベーションであり、モチベーションの総和が企業の力を左右すると思います。どんなに不確実な時代であろうと、経営は10年、20年先を見据えて信念と覚悟で行うべきもの。これからも社会に少しでも役立てるよう頑張ってまいりたいと考えています。




経営者賞

鈴木 与平氏
鈴与会長

 この度は名誉ある賞をいただき感激しています。当社は1801年に静岡県清水市で創業しました。地方で仕事をしていて感じるのは東京がいかに大きいかということです。

 地方創生や地方活性化と言われていますが、実現はなかなか難しい。それでも地方のお役に立ちたいとエアラインを始め、今では16機体制で地方と地方を結んでいます。地域間の交流をより一層盛んにしたいからです。

 このような取り組みを通じて若い人たちが少しでも地方に住める環境を整えていく。そんなお手伝いをしていきたいと思っています。




経営者賞

清明 祐子氏
マネックスグループ社長CEO

 この度は歴史ある賞をいただき、大変光栄です。私は昨年6月に創業者から引き継ぐ形で持ち株会社のCEOに就任しました。創業者からのサクセッションは非常に難しいと言われます。私の活力の源、覚悟の支えになっているのは頼れる仲間がいることです。そんなみんながいたから、今回のありがたい賞をいただいたと思っています。人生100年時代、資産形成は生活にとって重要なサービスになってきます。これからも人々のウェルビーイングに貢献できるようなサービスを創っていきたいと思います。次の50年企業、100年企業につないでいきます。



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