鉄道と非鉄道の比率を5対5へ
「(交通系ICカードの)Suicaは他の様々なカードやサービス、ポイントと連携していくことがテーマだ」─。JR東日本(東日本旅客鉄道)の首脳はSuicaの可能性を語る。
望月晴文・元経済産業事務次官 「日本にはヒト・モノ・カネの要素が全部揃っている」
JR東日本が金融事業に参入する。同社と傘下のビューカードがJR東日本グループブランドのデジタル金融サービス「JRE BANK」を開始。インターネットで開設できる専用口座を使って預金や住宅ローンなどが利用できる一方、鉄道や駅ビルの商業施設などで使える無料券や割引といった特典がつく。
新サービスの仕組みはビューカードを銀行代理業者とし、楽天銀行の金融システムを活用。ただし、楽天ポイントは貯まらない。それでも「鉄道会社ならではの特典は魅力だろう」と民鉄関係者。例えば、JR東日本の片道運賃・料金が4割引になる優待割引券はビューカードの利用代金の引き落としを条件に、資産50万円以上で1枚、300万円以上で2枚配布。仮に給与などの受け取りがあれば、これがさらに増え、年間最大で10枚が提供される形となっている。
また、JRE BANK口座の残高の現金引き出しは駅のATMで上限回数なく無制限で手数料無料で行うことができる。前出の民鉄関係者は「コンビニで現金引き出しをしている顧客を引っ張り込むこともできるだろう」と話す。
こういったことができるのもSuicaの発行枚数が累計で1億枚を超え、「生活インフラになりつつある」(JR東関係者)からだ。
「我々は鉄道、駅ビル・駅ナカ、ホテルといったリアルの場で勝負して発展してきた。しかし、デジタルにはあまり力を入れてこなかった。一方でバーチャルの世界でビジネスをしているプレイヤーにとっては、リアルとの接点をどうつくるかが重要になっている」と冒頭の首脳。
JR東は鉄道事業と非鉄道事業の収益比率をかつての9対1(現在は6対4)から5対5にする目標を掲げる。25年には高輪の大規模再開発がまちびらきするなど、ハードとソフトの両面で〝脱鉄道〟を進める同社。鉄道の利用者が〝蒸発〟したコロナ禍の教訓を生かし、新たな経営基盤づくりが進む。
「(交通系ICカードの)Suicaは他の様々なカードやサービス、ポイントと連携していくことがテーマだ」─。JR東日本(東日本旅客鉄道)の首脳はSuicaの可能性を語る。
望月晴文・元経済産業事務次官 「日本にはヒト・モノ・カネの要素が全部揃っている」
JR東日本が金融事業に参入する。同社と傘下のビューカードがJR東日本グループブランドのデジタル金融サービス「JRE BANK」を開始。インターネットで開設できる専用口座を使って預金や住宅ローンなどが利用できる一方、鉄道や駅ビルの商業施設などで使える無料券や割引といった特典がつく。
新サービスの仕組みはビューカードを銀行代理業者とし、楽天銀行の金融システムを活用。ただし、楽天ポイントは貯まらない。それでも「鉄道会社ならではの特典は魅力だろう」と民鉄関係者。例えば、JR東日本の片道運賃・料金が4割引になる優待割引券はビューカードの利用代金の引き落としを条件に、資産50万円以上で1枚、300万円以上で2枚配布。仮に給与などの受け取りがあれば、これがさらに増え、年間最大で10枚が提供される形となっている。
また、JRE BANK口座の残高の現金引き出しは駅のATMで上限回数なく無制限で手数料無料で行うことができる。前出の民鉄関係者は「コンビニで現金引き出しをしている顧客を引っ張り込むこともできるだろう」と話す。
こういったことができるのもSuicaの発行枚数が累計で1億枚を超え、「生活インフラになりつつある」(JR東関係者)からだ。
「我々は鉄道、駅ビル・駅ナカ、ホテルといったリアルの場で勝負して発展してきた。しかし、デジタルにはあまり力を入れてこなかった。一方でバーチャルの世界でビジネスをしているプレイヤーにとっては、リアルとの接点をどうつくるかが重要になっている」と冒頭の首脳。
JR東は鉄道事業と非鉄道事業の収益比率をかつての9対1(現在は6対4)から5対5にする目標を掲げる。25年には高輪の大規模再開発がまちびらきするなど、ハードとソフトの両面で〝脱鉄道〟を進める同社。鉄道の利用者が〝蒸発〟したコロナ禍の教訓を生かし、新たな経営基盤づくりが進む。