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スコラ・コンサルト代表取締役・簑原麻穂が語る「企業の『変わりたい』という意志を支える『伴走役』として」

財界オンライン 2024年8月14日 7時0分

当社は『なぜ会社は変われないのか』(日経BP)等のベストセラーでも知られる柴田昌治が1986年、日本企業の風土・体質改革を専門に行うコンサルティング会社として創業しました。

 当時は、柴田の著書を読んだ企業から「当社に当てはまるのではないか」、「会社を何とかしたい」という思いを持ってお問い合わせいただき、お仕事につながることがほとんどでした。

 裏返して言えば、企業に思いがなければ、我々は応えられません。企業風土改革を推進する上で何よりも大事なのは、経営トップに「変えたい」という意志があるかです。ここがずれると改革はうまくいきません。

 トップ1人でできることには限りがありますから、経営チームとして取り組む必要があります。現在の「企業風土」は、従来の「経営の価値観」が反映しています。組織に本質的な変化をもたらそうとするならば、まず経営メンバーから、経営の価値観を問い直す必要があるのです。現場の改革も必要ですが、変化は現場と経営の相互作用で進むので、まずは経営自らが変わろうとする当事者だと示すことが重要です。企業のビジネスモデルが安定した時期が長いほど、成功体験や伝統が壁になり改革に苦しむというケースも多くあります。

 当社は風土・体質改革で、役員・社員が心理的安全性を担保しながら自分の想いや、モヤモヤ感じていることを本音で話し合う関係性をつくるための「オフサイトミーティングⓇ」をツールとして活用しています。

 なぜ我々がこれを大事にしているかというと、今の時代はすぐには答えが出ません。拓かれた「問い」と向き合い、新しい価値を生むために本当に大事なことを話し合うことが必要です。特に、経営メンバーが自分達で事実、実態を掴みながら、未来を考える際に、従来の価値観を問い直し、転換するために必要だと考えているからです。これを基に我々は「経営チームビルディング」を行っています。

「オフサイトミーティングⓇ」では、最初は皆さん、「何の意味があるのか?」と混乱されるケースは多いのです。当たり前だと思っていた前提をあえて問い直す作業だからです。

 近年、企業の不祥事が相次ぐ中「大事なのは風土改革」と言われますが、コミュニケーション活動になっていることが多いのが実態です。コミュニケーションは必要な条件ではありますが、それだけで会社が大きく変わるかというと変わりません。

 組織風土は、会社独特の思考、行動様式ですから、現状を理解し、どう変えていくかという深い洞察と腹落ちに行き着かなければ、変わることができません。風土改革は言葉としては身近になりましたが、どう取り組めばいいかという会社が多いのではないでしょうか。我々にとっては、そこが入口になります。

 氷山に例えると、水面上に制度、戦略、ビジョンがあり、水面下に思考、行動様式があります。会社の「今」を形づくるのが水面下部分だとすると、そこにフォーカスし、なぜそのような思考、行動様式になっているのか、ありたい姿を実現するにはどう変えていけばいいのか、水面上の制度、戦略と統合的にアプローチをしながら改革を進めることが大事です。

 多くの会社が、水面上からアプローチして制度や戦略を変えようとしますが、上滑りの施策に終わっています。「あり方」の変化を伴わない「やり方」だけの変更は本質的な問題解決に至らないということです。

 今後も会社の「変わりたい」という意志を支える伴走役として共に走りたいと思います。

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