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ビールから健康関連事業に注力 キリンHDのファンケルTOBが成立

財界オンライン 2024年10月24日 7時0分

3度の延期、買収価格の引き上げ

 9月11日、キリンホールディングス(HD)のファンケル完全子会社化を目的としたTOB(株式公開買い付け)が成立した。6月17日の開始から3度の延期を経て、ようやく決着した。

 延長した背景には香港の投資ファンド、エムワイ・アルファ・マネジメントがTOB価格を上回る水準でファンケル株をさらに取得し、主要株主になったことによる。エムワイがTOB価格より高水準で買い増しをしたことで期間延長を重ね、株価が吊り上げられた。結果的には当初の1株2690円から2800円となったため、キリンHDが投じるファンケルの買収コストは当初予定の2200億円から100億円上昇した約2300億円となった。

 8月末時点、専門家たちの間では「TOB不成立の場合、キリンは別の海外アセット取得や(豪州の健康食品企業の)ブラックモアズの投資強化等、様々な選択肢を検討すると聞いている」「9月11日には成立する可能性は高い。エムワイ・アルファの動きはTOB価格をつり上げるための戦略で、ファンドとしては一般的。TOBが不成立になると株価が下がってしまうので、成立を見込んで動いているとみえる」と様々な情報が飛び交っていた。

 キリンHD社長COOの南方健志氏は以前、ファンケルとの資本提携について「キリングループとファンケルグループは、健康課題の解決を通じ世の中に貢献するというビジョンを共有しており、お互いにとって未来に向けて成長戦略を実行するための最重要パートナーだ」とコメント。ファンケル社長CEOの島田和幸氏も、「本件が成立することで、グループとしてのシナジー効果をより短期間で最大化できると考えている」としており、今回のTOB成立はやっと両社の思いが実った形。

 キリンHDは今回のファンケル完全子会社化により健康関連事業に舵を切ることになる。若年層を中心としたアルコール離れの中で、毎年ビール会社大手はパイを奪い合う厳しい競争が強いられ、別基軸での成長が共通課題になっている。キリンHDは将来的には同事業の売上を1000億円から5000億円に成長させるとしている。

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