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【所沢が今、熱い!】西武HDの「エミテラス所沢」が開業

財界オンライン 2024年10月19日 11時30分

「不動産事業を核とする成長戦略をスタートさせて大きく舵を切った。『エミテラス所沢』の開業はその試金石であり、スタートラインだ」─。西武ホールディングス(HD)会長兼CEOの後藤高志氏は力を込める。

 西武HDが注力してきた拠点・所沢(埼玉県)の大改造が完了する。西武鉄道の車両工場跡地に大型商業施設「エミテラス所沢」を開業。

 主に西武鉄道沿線や東京都の多摩地域などからも来場を見込む「広域集客型商業施設」という位置づけだ。

 事業費は約295億円で西武HDの不動産事業を担う西武リアルティソリューションズと住友商事が事業主となる。同グループは鉄道沿線の地盤が固いという地理的優位性を生かしつつ、池袋線と新宿線の結節点となっている所沢の再開発に注力。これまでのベッドタウンから「暮らす」「働く」「学ぶ」「遊ぶ」機能を盛り込んだリビングタウンとして進化させてきた。

 18年に駅直上の商業施設「グランエミオ所沢」が開業し、「西武園ゆうえんち」のリニューアル、「ベルーナドーム」のボールパーク化など「総額1000億円を投資してきた」(同)。同駅の1日の乗降客数は約10.1万人。JR東日本の藤沢駅や東急東横線の菊名駅、小田急線の下北沢駅と肩を並べる。

 後藤氏はエミテラス所沢の流動化の可能性にも言及。「今のところは何とも言えないが、少なくとも価値を高めていき、その先に流動化、キャピタルリサイクル(資本の組み換え)という発想がある」と語る。同社は不動産に価値を上乗せして売却する「回転型ビジネス」への参入を明言しており、エミテラス所沢は最初の大型案件となる。

 他にも流動化の対象として24年内に「東京ガーデンテラス紀尾井町」の売買契約の締結を目指しており、本社が入居している「ダイヤゲート池袋」なども流動化の検討対象のようだ。その後は流動化で得た資金を再開発に投じていく。

 具体的な計画は未定だが、高輪や芝公園などの都心再開発や地方リゾート開発がその対象になる見込み。

 人口減少が共通課題となる中、いかに沿線に定住人口を増やすか。また、鉄道だけに頼らない成長戦略をどう描くか。西武HDにとって、この2つの課題に対する処方箋になるか。エミテラス所沢の役割は重い。

西武HDが進める〝第4の柱〟ビジネス 「駅にあるロッカーを物流ハブにする!」

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