カナダ企業は買収価格を1兆円上乗せして再提案
「各事業における潜在的な価値を最大限に発揮するためには、グループ構造の最適化をスピードを持って着実に実行していく必要がある」
こう語るのは、セブン&アイ・ホールディングス社長の井阪隆一氏。
カナダのコンビニエンスストア大手・アリマンタシォン・クシュタール(ACT)からの買収提案に揺れるセブンが、大胆なグループ再編に踏み切った。
社名を『セブン-イレブン・コーポレーション(仮)』に変更し、イトーヨーカ堂やヨークベニマル、ロフトなどを含めた中間持ち株会社『ヨーク・ホールディングス』を設立。上場子会社・セブン銀行についても最適な資本関係を探っていく方針。グループ再編でコンビニ以外の事業を本体から遠ざけ、コンビニ事業に経営資源を集中させることで、企業価値の向上を目指す考えだ。
ACTは当初6兆円規模での買収を持ちかけたが、セブン側は9月に「企業価値を著しく過小評価している」としてこれを拒否。その後、ACTは7兆円規模で再度買収を提案したことが明らかになっており、セブン側の対応が焦点になっていた。
ただ、構造改革と同時に発表した通期(2025年2月期)業績予想では、日米で主力のコンビニ事業の成長が鈍化しており、純利益を1630億円(従来は2930億円)に下方修正。10月16日時点の株式時価総額は約5.8兆円で、ACTの再提案を拒否するためには、自力でさらなる企業価値向上策を市場に示さなければならない。
あるアナリストは「ACTによる買収が成立せずとも、株主利益を追求した行動が財務健全性を妨げる可能性もある。セブン&アイの信用力は引き続き安定的とみるものの、従来よりも安定性が揺らいでいる」と指摘。既存の株主や市場の声にセブンはどう応えていくのか。
これまで外資による日本企業買収は経営不振の企業が対象となることが多かったが、今回は日本を代表する小売業への買収提案。セブンはどう企業価値を高め、自らの正当性を証明していくか。今回の買収提案が注目される理由はそこにある。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト・矢嶋康次の提言「岸田政権が残した光と影」
「各事業における潜在的な価値を最大限に発揮するためには、グループ構造の最適化をスピードを持って着実に実行していく必要がある」
こう語るのは、セブン&アイ・ホールディングス社長の井阪隆一氏。
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社名を『セブン-イレブン・コーポレーション(仮)』に変更し、イトーヨーカ堂やヨークベニマル、ロフトなどを含めた中間持ち株会社『ヨーク・ホールディングス』を設立。上場子会社・セブン銀行についても最適な資本関係を探っていく方針。グループ再編でコンビニ以外の事業を本体から遠ざけ、コンビニ事業に経営資源を集中させることで、企業価値の向上を目指す考えだ。
ACTは当初6兆円規模での買収を持ちかけたが、セブン側は9月に「企業価値を著しく過小評価している」としてこれを拒否。その後、ACTは7兆円規模で再度買収を提案したことが明らかになっており、セブン側の対応が焦点になっていた。
ただ、構造改革と同時に発表した通期(2025年2月期)業績予想では、日米で主力のコンビニ事業の成長が鈍化しており、純利益を1630億円(従来は2930億円)に下方修正。10月16日時点の株式時価総額は約5.8兆円で、ACTの再提案を拒否するためには、自力でさらなる企業価値向上策を市場に示さなければならない。
あるアナリストは「ACTによる買収が成立せずとも、株主利益を追求した行動が財務健全性を妨げる可能性もある。セブン&アイの信用力は引き続き安定的とみるものの、従来よりも安定性が揺らいでいる」と指摘。既存の株主や市場の声にセブンはどう応えていくのか。
これまで外資による日本企業買収は経営不振の企業が対象となることが多かったが、今回は日本を代表する小売業への買収提案。セブンはどう企業価値を高め、自らの正当性を証明していくか。今回の買収提案が注目される理由はそこにある。
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