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〈人手不足が課題の警備業界にあって〉吉田保幸・セコム社長「人への投資を続けていく!」

財界オンライン 2024年10月28日 7時0分

人への投資が大事!

 ─ 人手不足が続く警備業界ですが、近年はルフィ事件のような強盗事件を受けて、世の中の安全・安心に対するニーズが高まっていると思います。まずは、警備業界の現状をどのように受け止めていますか。

 吉田 近年は統計的に見ましても、刑法犯の認知件数は2002年をピークに減少傾向にあります。警察の取り締まり強化などあって20年間は減り続けたのですが、この2~3年急激に上昇し、体感治安も悪化しています。犯罪の凶悪化と言いますか、非常に荒っぽい事件が多いですよね。

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 それと直接的な関係があるかどうか定かではありませんが、当社のホームセキュリティーに関する問い合わせは増え続けています。

 特に当社ではAGCさんと開発している防犯ガラスがありまして、やはり、空き巣は窓ガラスを破って泥棒に入ることが多いんです。そこでAGCさんと一緒になって、かなりの力で叩いても破れないようなガラスを開発しまして、これへの問い合わせも増えていますね。

 ─ 窓ガラスの開発まで行っているのは面白いですね。

 吉田 そうなんです。AGCさんとはディスプレイ一体型ミラーで、AI(人工知能)を活用して警戒監視や受付業務などを行う『バーチャル警備システム』の開発も行いまして、いろいろな連携をさせていただいております。

 やはり、この業界でも人手不足が課題で、いかに省人化していくかが成長のカギとなります。現在、国内では約270万、海外を含めると約375万のお客様がいらっしゃいます。その中で、国内270万のお客様の警備を全部人手で対応するには、1300万人くらいの人出が必要という試算もあるのですが、セコムは約6千万個のセンサーを使った機械警備によって、少人数で効率的に高品質な警備を提供しています。

 これからもAIをはじめ、使えるテクノロジーはどんどん活用して行こうと考えています。

 ─ 社員は今どれくらいですか。

 吉田 国内のセコム単体で約1万5千人、世界全部で約7万人です。

 ─ それでも足りないと。

 吉田 そうですね。われわれの仕事は24時間365日ですが、夜勤は避けたい、土日は休みたいと考える人は多いので採用は大変です。

 しかし、現場の社員というのは当社のサービスそのものなんです。現場の社員のクオリティーがサービスのクオリティーとイコールなんですよね。ですから、社員がこの仕事を選んで良かったと思ってもらえるよう、この春に警備員の賃金を8~10%引き上げました。賃金が上がれば社員の満足度も上がり、サービスの品質にもつながるわけですから、人への投資は大事だと思っています。

続きは本誌で

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