院内業務の生産性向上や省人化を図る
「今まで別々のプラットフォームで構成されていた予約管理・WEB問診・オンライン診療・決済などのシステムを1つに集約。患者様とクリニック様の作業を1つにつなげる仕組みをプラットフォーム化することで、双方にとっての利便性を向上させたい」
こう語るのは、GMOヘルステック社長の福留理氏。
セブン&アイが社名変更へ、コンビニ事業に経営資源を集中
GMOインターネットグループ傘下のGMOヘルステックが、医療プラットフォームの無料提供を始める。一般的に、予約管理や電子カルテ、会計など、医療現場で導入されているツールは、個々の機能に特化した複数のシステムで構成されていることが多い。同社のサービスは、これらのシステムを一元管理することでデータ連携をスムーズにし、院内業務の生産性向上や省人化を図るというものだ。
例えば、患者にとっては、病院の検索や診療予約、事前記入で待ち時間を短縮できるWEB問診などの機能をワンストップで完結できるようになり、病院側も予約管理や決済業務などを一元管理できるようになる。
また、音声入力で患者と医師の会話をAIが自動で記録してくれる上、患者のカルテをもとに診断書や主治医意見書などの書類を自動で作成。書類作成などの負担が軽減されるため、医師は診療に集中できるという。
このシステムの特徴は、主に診療所と呼ばれるクリニックを対象に、無料でサービスを提供すること。極力多くのクリニックに導入してもらうことで、将来的なWEB広告の配信や医療ビッグデータの提供などを考えたビジネスモデルだ。
「1つは調剤。オンラインで受診した方が、その処方箋をGMOヘルスケアが運営する薬局に送り、それを自宅で受け取ることで売上がたつと。もう1つは広告。医療機関でシステムを沢山導入していただくと、製薬会社や医療機器の会社からマーケティング支援のような形で広告を受注して、それを掲載するビジネスができる」(福留氏)
産業界で続く深刻な人手不足。リクルートの調査によると、医療分野では、2030年に18・6万人、2040年には81・6万人の医療従事者(医師・看護師・薬剤師などを含む)が不足すると予測されており、デジタル技術の活用による生産性向上は喫緊の課題となっている。
「新紙幣発行がキャッシュレス化を後押し」リクルートが進めるキャッシュレス戦略
現在、日本に歯科を除いた医科診療所(クリニック)の数は全国で約10万カ所。このうち毎年、7千~9千の新規開業がある。同社が狙うのは大規模病院ではなく、こうした新規開業を中心とした町のクリニック。新規開業であれば、同社が提供する全てのシステムを導入してもらえる可能性が高いからだ。
もっとも、医療プラットフォームを巡っては、オンライン診療支援を手掛けるメドレーやエムスリーの他、日立製作所や富士通、NECなどの大企業が独自のサービスを展開している。
そうした中、GMOの特徴について、福留氏は「最近はクラウド電子カルテが主流になってきているので、われわれGMOインターネットグループの提供するサービスとの適合性も高いかなと。今後は大量の情報を電子カルテ上で扱う必要性が出てくるので、これまで金融事業で培ってきた堅牢なセキュリティ技術やAIに関する知見を活かすことができる」と語る。
『AIで未来を創る』
GMOインターネットグループは、1991年に現グループ代表の熊谷正寿氏が設立。その後、95年にインターネット事業に本格参入し、ドメイン(インターネット上の住所)管理などのインターネットインフラや広告・メディア、金融、暗号資産、サイバーセキュリティなど、様々な事業を展開。現在、グループの上場企業は本体を含めて10社となった。
個々の事業が権限と責任を明確化することでスピード感を持って成長できるよう、子会社をどんどん設立して、グループ全体の成長を図るのが熊谷流。
GMOヘルステックは今年1月、GMOインターネットグループとGMOフィナンシャルホールディングス(FH)が共同出資して設立したばかり。GMO(FH)会長の高島秀行氏は「IT・AIを最大限に活用することによって、省力化・自動化を図り、医師が診療に専念できる環境をつくりたい」と語る。
また、6月にはGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)を設立。AIやロボット・ドローンの導入・活用支援を行う総合商社として、企業のAI活用を促すことが目的だ。
GMOインターネットグループでは、これまでパートナー(従業員)に生成AI活用を促したところ、パートナー一人あたりの業務削減時間は毎月27・2時間。グループ全体で2024年の合計業務削減時間が推定100万時間を突破し、AIやロボットを人口減少・人手不足に悩む日本の課題解決に活かそうと考えている。
熊谷氏が目指すのは『AIで未来を創るNo.1企業グループ』。その過程の中にあるのが、GMO AIRやGMOヘルステックの設立である。 「グループ全体のノウハウを結集し、患者様・クリニック様双方の利便性を追求した信頼性の高い医療プラットフォームを提供していく。医療業界のプラットフォーマーとして、5年後にはどの開業医の方も当社のサービスのどれかは使っているような状態にしたい」と語る福留氏。
生成AIの活用によって、グループで培った生産性向上のノウハウをいかに医療業界の生産性向上をつなげていくか。福留氏の挑戦は続く。
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎の提言「ポスト岸田の経済課題」
「今まで別々のプラットフォームで構成されていた予約管理・WEB問診・オンライン診療・決済などのシステムを1つに集約。患者様とクリニック様の作業を1つにつなげる仕組みをプラットフォーム化することで、双方にとっての利便性を向上させたい」
こう語るのは、GMOヘルステック社長の福留理氏。
セブン&アイが社名変更へ、コンビニ事業に経営資源を集中
GMOインターネットグループ傘下のGMOヘルステックが、医療プラットフォームの無料提供を始める。一般的に、予約管理や電子カルテ、会計など、医療現場で導入されているツールは、個々の機能に特化した複数のシステムで構成されていることが多い。同社のサービスは、これらのシステムを一元管理することでデータ連携をスムーズにし、院内業務の生産性向上や省人化を図るというものだ。
例えば、患者にとっては、病院の検索や診療予約、事前記入で待ち時間を短縮できるWEB問診などの機能をワンストップで完結できるようになり、病院側も予約管理や決済業務などを一元管理できるようになる。
また、音声入力で患者と医師の会話をAIが自動で記録してくれる上、患者のカルテをもとに診断書や主治医意見書などの書類を自動で作成。書類作成などの負担が軽減されるため、医師は診療に集中できるという。
このシステムの特徴は、主に診療所と呼ばれるクリニックを対象に、無料でサービスを提供すること。極力多くのクリニックに導入してもらうことで、将来的なWEB広告の配信や医療ビッグデータの提供などを考えたビジネスモデルだ。
「1つは調剤。オンラインで受診した方が、その処方箋をGMOヘルスケアが運営する薬局に送り、それを自宅で受け取ることで売上がたつと。もう1つは広告。医療機関でシステムを沢山導入していただくと、製薬会社や医療機器の会社からマーケティング支援のような形で広告を受注して、それを掲載するビジネスができる」(福留氏)
産業界で続く深刻な人手不足。リクルートの調査によると、医療分野では、2030年に18・6万人、2040年には81・6万人の医療従事者(医師・看護師・薬剤師などを含む)が不足すると予測されており、デジタル技術の活用による生産性向上は喫緊の課題となっている。
「新紙幣発行がキャッシュレス化を後押し」リクルートが進めるキャッシュレス戦略
現在、日本に歯科を除いた医科診療所(クリニック)の数は全国で約10万カ所。このうち毎年、7千~9千の新規開業がある。同社が狙うのは大規模病院ではなく、こうした新規開業を中心とした町のクリニック。新規開業であれば、同社が提供する全てのシステムを導入してもらえる可能性が高いからだ。
もっとも、医療プラットフォームを巡っては、オンライン診療支援を手掛けるメドレーやエムスリーの他、日立製作所や富士通、NECなどの大企業が独自のサービスを展開している。
そうした中、GMOの特徴について、福留氏は「最近はクラウド電子カルテが主流になってきているので、われわれGMOインターネットグループの提供するサービスとの適合性も高いかなと。今後は大量の情報を電子カルテ上で扱う必要性が出てくるので、これまで金融事業で培ってきた堅牢なセキュリティ技術やAIに関する知見を活かすことができる」と語る。
『AIで未来を創る』
GMOインターネットグループは、1991年に現グループ代表の熊谷正寿氏が設立。その後、95年にインターネット事業に本格参入し、ドメイン(インターネット上の住所)管理などのインターネットインフラや広告・メディア、金融、暗号資産、サイバーセキュリティなど、様々な事業を展開。現在、グループの上場企業は本体を含めて10社となった。
個々の事業が権限と責任を明確化することでスピード感を持って成長できるよう、子会社をどんどん設立して、グループ全体の成長を図るのが熊谷流。
GMOヘルステックは今年1月、GMOインターネットグループとGMOフィナンシャルホールディングス(FH)が共同出資して設立したばかり。GMO(FH)会長の高島秀行氏は「IT・AIを最大限に活用することによって、省力化・自動化を図り、医師が診療に専念できる環境をつくりたい」と語る。
また、6月にはGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)を設立。AIやロボット・ドローンの導入・活用支援を行う総合商社として、企業のAI活用を促すことが目的だ。
GMOインターネットグループでは、これまでパートナー(従業員)に生成AI活用を促したところ、パートナー一人あたりの業務削減時間は毎月27・2時間。グループ全体で2024年の合計業務削減時間が推定100万時間を突破し、AIやロボットを人口減少・人手不足に悩む日本の課題解決に活かそうと考えている。
熊谷氏が目指すのは『AIで未来を創るNo.1企業グループ』。その過程の中にあるのが、GMO AIRやGMOヘルステックの設立である。 「グループ全体のノウハウを結集し、患者様・クリニック様双方の利便性を追求した信頼性の高い医療プラットフォームを提供していく。医療業界のプラットフォーマーとして、5年後にはどの開業医の方も当社のサービスのどれかは使っているような状態にしたい」と語る福留氏。
生成AIの活用によって、グループで培った生産性向上のノウハウをいかに医療業界の生産性向上をつなげていくか。福留氏の挑戦は続く。
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎の提言「ポスト岸田の経済課題」