「石破ショック」は一時的な動きに
まず、アメリカの株価を左右する動きとしては、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが続くか、インフレが収まって景気が「ソフトランディング」するかどうかです。
前回、解説したように、前回のFOMC(米連邦公開市場委員会)では予想を上回る0.5%という大幅な利下げが決定されました。これによって、ニューヨーク株が俄然強くなったわけですが、ここに来て再びインフレ懸念も出てきています。
アメリカの長期金利は10月初旬、久方ぶりに4%台に乗ってきましたから、おそらくFRBも警戒していると思います。次のFOMCでは、連続しての利下げはないかもしれません。そうなると、アメリカ株は波乱の展開が予想されます。
日本を見ると先日、〝逆転〟の形で石破茂・首相が誕生し、9月27日から30日にかけて株価の暴落、「石破ショック」がありました。石破首相が就任前、資産所得課税の強化など、増税路線と思われる発信をしており、市場がネガティブに反応したことが要因でした。
ただ、どうやらショックは一時的だったようです。石破首相は総裁選での勝利は〝薄氷を踏む〟思いの僅差でした。本命視された小泉進次郎氏が失速、人気が高かった高市早苗氏を逆転しての総裁就任だったわけですが、これを実現したのは岸田文雄・前首相でした。
岸田派の票がなければ当選できなかったこともあり、石破首相は就任後、持論を封印して岸田路線を踏襲しているのだと見られます。
その意味で、懸念された「石破ショック」は一時的で、株価に織り込まれたものと見ています。むしろ、石破政権は「第2の岸田政権」で、岸田路線を引き継いで、デフレからの完全脱却、資産運用立国の推進も所信表明の中で言及しています。このことは株価にプラスです。
しかも、10月27日には総選挙が行われますが、経験法則から「選挙は買い」ですから、株価はこの後、上昇する可能性が高まっています。
ただ、一部に選挙結果を悲観的に見る人もおり、中には与党の過半数割れを懸念する声もあります。こればかりは結果を見なければわかりませんが、現時点の予想では、議員数は減らしたとしても過半数割れはないのではないかと見ています。
石破政権の発足直後の支持率は50%を超えており、岸田政権の発足時よりは低いものの、政権末期よりは高く、国民の支持があります。いわゆる〝裏金〟に関係した議員を非公認にしたことなどは、この件で政権を批判していた国民には支持されるでしょう。
石破政権が選挙で勝つと、年後半、米大統領選を終えた後くらいから、はっきりした株高になることが予想されます。
ただ、米大統領選が11月5日ですから、10月下旬にかけては株価が下落する可能性があります。大統領が決まるまでの不安心理で、現金化比率を高める動きがあるからです。ただ、ここでの下落は、日本株の絶好の買い場となるでしょう。
足元で日本国内は日米の選挙前で不安材料があります。日本では石破政権に対する信頼は確立されていませんから、選挙で見極めることになります。前述のように、選挙で石破政権が勝利すれば、株価は歓迎して上昇するものと見ています。
もう1つ、日米の株価が不安定なのは、中東での戦火拡大が懸念されているからです。アメリカ株の不安材料は、それに加えてインフレ、金利です。中東情勢はロシア・ウクライナ戦争より深刻ですから、これがさらに広がったり、FRBが利下げを行えないような状況になれば、アメリカ株は急落局面もあると思います。その時には一緒に日本株も下げることになります。
石破政権が選挙に勝ち、順風にスタートすることができれば、昨年4月から始まった「資産インフレ相場」、「バリュー株底上げ相場」の第2ステージがやってくることになります。
その時、日経平均は現在の3万5000円から4万円というゾーンから、4万円から4万5000円というゾーンに入っていくものと予想します。
そうなると為替も、強い円高にはならず、おそらく140円から150円のゾーンで揉み合うか、アメリカが利下げしなければ150円を突破する瞬間もあるのではないでしょうか。
「資産インフレ相場」、「バリュー株底上げ相場」の第2ステージが始まると同時に、石破政権になってから株式市場の新しいテーマは「内需関連」です。この場合、円高になっても株価は上がることになります。「地方創生」関連の銘柄が第1の狙い目で、建設、不動産、運輸などが該当します。
もう1つが「防衛関連」です。すでに三菱重工業(7011 東証PRM)の株価は上がっています。この2つが、石破政権下での狙い目の投資セクターではないかと思います。
日本銀行の利上げの行方ですが、極めて慎重に行われるだろうと見ています。上げ幅はできるだけ小さく、上げる時期も時間をかけて、景気や株価に影響がない形で配慮して行われるのだと思います。石破政権も日銀に対して、そうした姿勢を望んでいるでしょう。
9月2日、石破首相は日銀の植田和男総裁と会談しましたが、その後に石破首相は「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言しています。このことから、年内の利上げは行われない可能性も高いですし、行われてもマーケットに影響がない水準になるかもしれません。
例えば、年末に4万5000円に迫るような株高局面であれば、利上げをしても影響は限定的でしょう。株高、インフレがやや過熱気味であれば利上げすると思いますが、そうでなければ実施しないでしょうし、あっても小幅ではないかという見通しです。
以上のことから、日銀の利上げは政権の意向に沿って行われるでしょうから、株式市場では懸念する必要はなくなっていると言えます。ですから株価は年末高の可能性が高まっています。
まず、アメリカの株価を左右する動きとしては、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが続くか、インフレが収まって景気が「ソフトランディング」するかどうかです。
前回、解説したように、前回のFOMC(米連邦公開市場委員会)では予想を上回る0.5%という大幅な利下げが決定されました。これによって、ニューヨーク株が俄然強くなったわけですが、ここに来て再びインフレ懸念も出てきています。
アメリカの長期金利は10月初旬、久方ぶりに4%台に乗ってきましたから、おそらくFRBも警戒していると思います。次のFOMCでは、連続しての利下げはないかもしれません。そうなると、アメリカ株は波乱の展開が予想されます。
日本を見ると先日、〝逆転〟の形で石破茂・首相が誕生し、9月27日から30日にかけて株価の暴落、「石破ショック」がありました。石破首相が就任前、資産所得課税の強化など、増税路線と思われる発信をしており、市場がネガティブに反応したことが要因でした。
ただ、どうやらショックは一時的だったようです。石破首相は総裁選での勝利は〝薄氷を踏む〟思いの僅差でした。本命視された小泉進次郎氏が失速、人気が高かった高市早苗氏を逆転しての総裁就任だったわけですが、これを実現したのは岸田文雄・前首相でした。
岸田派の票がなければ当選できなかったこともあり、石破首相は就任後、持論を封印して岸田路線を踏襲しているのだと見られます。
その意味で、懸念された「石破ショック」は一時的で、株価に織り込まれたものと見ています。むしろ、石破政権は「第2の岸田政権」で、岸田路線を引き継いで、デフレからの完全脱却、資産運用立国の推進も所信表明の中で言及しています。このことは株価にプラスです。
しかも、10月27日には総選挙が行われますが、経験法則から「選挙は買い」ですから、株価はこの後、上昇する可能性が高まっています。
ただ、一部に選挙結果を悲観的に見る人もおり、中には与党の過半数割れを懸念する声もあります。こればかりは結果を見なければわかりませんが、現時点の予想では、議員数は減らしたとしても過半数割れはないのではないかと見ています。
石破政権の発足直後の支持率は50%を超えており、岸田政権の発足時よりは低いものの、政権末期よりは高く、国民の支持があります。いわゆる〝裏金〟に関係した議員を非公認にしたことなどは、この件で政権を批判していた国民には支持されるでしょう。
石破政権が選挙で勝つと、年後半、米大統領選を終えた後くらいから、はっきりした株高になることが予想されます。
ただ、米大統領選が11月5日ですから、10月下旬にかけては株価が下落する可能性があります。大統領が決まるまでの不安心理で、現金化比率を高める動きがあるからです。ただ、ここでの下落は、日本株の絶好の買い場となるでしょう。
足元で日本国内は日米の選挙前で不安材料があります。日本では石破政権に対する信頼は確立されていませんから、選挙で見極めることになります。前述のように、選挙で石破政権が勝利すれば、株価は歓迎して上昇するものと見ています。
もう1つ、日米の株価が不安定なのは、中東での戦火拡大が懸念されているからです。アメリカ株の不安材料は、それに加えてインフレ、金利です。中東情勢はロシア・ウクライナ戦争より深刻ですから、これがさらに広がったり、FRBが利下げを行えないような状況になれば、アメリカ株は急落局面もあると思います。その時には一緒に日本株も下げることになります。
石破政権が選挙に勝ち、順風にスタートすることができれば、昨年4月から始まった「資産インフレ相場」、「バリュー株底上げ相場」の第2ステージがやってくることになります。
その時、日経平均は現在の3万5000円から4万円というゾーンから、4万円から4万5000円というゾーンに入っていくものと予想します。
そうなると為替も、強い円高にはならず、おそらく140円から150円のゾーンで揉み合うか、アメリカが利下げしなければ150円を突破する瞬間もあるのではないでしょうか。
「資産インフレ相場」、「バリュー株底上げ相場」の第2ステージが始まると同時に、石破政権になってから株式市場の新しいテーマは「内需関連」です。この場合、円高になっても株価は上がることになります。「地方創生」関連の銘柄が第1の狙い目で、建設、不動産、運輸などが該当します。
もう1つが「防衛関連」です。すでに三菱重工業(7011 東証PRM)の株価は上がっています。この2つが、石破政権下での狙い目の投資セクターではないかと思います。
日本銀行の利上げの行方ですが、極めて慎重に行われるだろうと見ています。上げ幅はできるだけ小さく、上げる時期も時間をかけて、景気や株価に影響がない形で配慮して行われるのだと思います。石破政権も日銀に対して、そうした姿勢を望んでいるでしょう。
9月2日、石破首相は日銀の植田和男総裁と会談しましたが、その後に石破首相は「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言しています。このことから、年内の利上げは行われない可能性も高いですし、行われてもマーケットに影響がない水準になるかもしれません。
例えば、年末に4万5000円に迫るような株高局面であれば、利上げをしても影響は限定的でしょう。株高、インフレがやや過熱気味であれば利上げすると思いますが、そうでなければ実施しないでしょうし、あっても小幅ではないかという見通しです。
以上のことから、日銀の利上げは政権の意向に沿って行われるでしょうから、株式市場では懸念する必要はなくなっていると言えます。ですから株価は年末高の可能性が高まっています。