三菱UFJフィナンシャル・グループ(亀澤宏規社長)がネット証券の「テコ入れ」に乗り出す。
25年1月末には現在、三菱UFJ51%、KDDI49%で共同出資しているauカブコム証券の全株を取得し、完全子会社化する方針。一方で、やはりKDDIとの合弁で、三菱UFJが22%を出資するネット銀行・auじぶん銀行の株式はKDDIが全株を取得する。出資関係は解消するが、KDDIの顧客向けのサービスは維持する方針。
背景にあるのが、24年から「新NISA(少額投資非課税制度)」の開始もあって資産形成が話題となる中、他のネット証券が口座数を伸ばしていること。最大手のSBI証券が約1300万口座、楽天証券が約1100万口座となる中、auカブコム証券は約175万口座。
また、グループの証券会社として三菱UFJモルガン・スタンレー証券があるが、色合いとしては富裕層の割合が多く、やはり若者や気軽に運用をしたいという人を取り込みたい時には、グループとしてネット証券を強化することが不可欠だった。
全株取得後の来年2月にも、auカブコム証券から社名を「三菱UFJeスマート証券」に変更して再出発を図る。
現在、三菱UFJでは、新たなスマートフォンアプリを開発中。この中にはグループの個人向けの金融機能を集約し、顧客利便性を高めることを目指す。
その中では、24年3月に持分法適用会社とした資産運用ベンチャー・ウェルスナビと共同でMAP(Money Advisory Platform)というプラットフォームを開発。グループで得たデータを活用して、顧客1人ひとりに合った提案をしていく考え。
楽天証券が自社グループの経済圏やみずほフィナンシャルグループ、SBI証券が三井住友フィナンシャルグループ、マネックスグループがNTTドコモと、各社が連携策を図る中、三菱UFJ単独で、いかにネット証券を成長させられるかが問われる。