対立、矛盾の歴史にあって
人間社会とは、常に混乱・混沌や矛盾を抱え込みながら、前進していくものなのかもしれない。
米中対立、それから派生した中国とロシアの接近、新興国同士で結束を図ろうとBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が結成されるなど、世界情勢はまさに流動的だ。
先の大戦が終結(1945)して79年が経つ。戦後約80年の間に、世界は資本主義対社会主義の対立による冷戦構造が長く続いた。
しかし、その冷戦も崩壊。社会主義革命の本家・ロシアは革命後に周辺諸国を巻き込んで〝ソ連邦〟を結成したものの、社会主義そのものが力を失った。
その象徴が『ベルリンの壁崩壊』(1989)。翌年、東西ドイツが統合し、1991年にはソ連邦が崩壊。
かつては共にソ連邦を形成していたロシアとウクライナは今や2年以上にわたる戦争状態にある。
こうした混乱・混沌の中で、西欧諸国はEU(欧州連合)を1993年に結成(当初加盟国は12カ国、現在27カ国)。1999年には共通通貨・ユーロが発行された。
混乱・混沌は新しい秩序を生み出し、国と国、人と人をつなぐ動きを生み出すという側面もある。
国も人も変化し続ける
欧州は、歴史的にも数多くの戦乱を経験してきた。ドイツとフランスの国境にあるアルザス・ロレーヌ地方などは、戦争の度に、時にドイツ(当時はプロイセン)の領土になり、第1次世界大戦でドイツが敗戦国になると、フランス領に戻されるなど、戦争に翻弄される歴史をたどってきた。
国や人間社会には争いが付き物。第2次世界大戦時には、ドイツ・ヒットラーのナチズムによるユダヤ人大虐殺という悲惨な歴史が刻まれた。
国と国のつながりとは?
中国は毛沢東亡き後、最高実力者となった鄧小平が1978年、改革開放路線を採択。以来、中国は経済成長を遂げ、2010年にはGDP(国内総生産)で日本を抜いて、米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。
その改革開放路線から50年近くが経ち、日中間には様々な問題が生じている。〝台湾有事〟も囁かれる中、中国では日本のビジネスマンが当局に拘束され、日本人の小学生が刺殺されるなど痛ましい〝事件〟も発生。
緊張感の伴う中で、国と国のつながりをどう求めていくかという今日的命題である。
日本の政治で思うこと
そして今また、世界は新たなステージを迎えようとしている。
この稿を書いているのは、総選挙(10月27日)の行われる数日前のこと。米大統領選も2週間後という時点で、米大統領がトランプ、ハリス両氏のどちらになるかで、世界の行方も左右されるという緊張感のある状況にある。
トランプ氏が選ばれれば、ウクライナ戦争の行方は大きく変わる。ウクライナ支援に否定的なトランプ氏は、「ロシアのプーチン大統領を説得できるのは自分だ。すぐに停戦に持っていく」と公言している。
こうした氏の発言の裏には、「自分の国は自分の手で守れ」という考え方がある。主権のある国にとって当たり前のことを言っているわけで、この考え方に首肯する向きも少なくない。これは日米同盟の在り方にも影響してくる話である。
一方で、侵略を始めたのはロシアであり、ロシアを許すわけにはいかないという考えも根強い。
混乱・混沌の中で、国も人もどう生きていくかを考えなければいけない時だと思う。
それにしても、今回の日本の総選挙では、国のあり方、日本の針路についての根本的な政策議論が少なかったように思える。
野党は〝裏金問題〟で与党を追及し、与党側は反省の姿勢を見せながら、日本の経済再生などを訴えるが、〝骨太の政策〟を示したガップリ四つの論争にはなっていなかったと思う。
食料を含めた経済安全保障、日米同盟のあり方、対中国問題、人口減、少子化・高齢化の流れの中で、どうやって国の基本軸をつくり、日本に活力を取り戻すかという命題。日本国、および日本国民の真価が問われている。
淡路島に本社を移転して…
パソナグループは本社機能を東京・南青山から、兵庫県・淡路島に移転させるべく、着々と動いている。
「人間らしく、生き生きと」─。パソナグループの創業者・南部靖之さん(1952年=昭和27年1月生まれ)が本社移転計画を発表したのは2020年9月のこと。
以来4年が経ち、本社勤務の3分の2に当たる約2000人が淡路島北部の淡路市で働いている。
東京一極集中が進む中、地方への大胆な本社移転を実行したのは同社一社ぐらいであろう。
都会に居ると、医療から子供の教育、また娯楽のなどでも利便性が良いと言われるが、淡路ではどうか?
パソナグループの場合、社員の年齢が若く、子供の教育などをどうするかといったことに社員の関心が集まる。それらについても、同社は先手先手を打っている。
島内に保育所を数カ所つくり、また「教育も先進的なものを取り入れよう」と南部さんはすでに『淡路島インターナショナルスクール』を新設した。
教員はほとんど外国人で、朝から夕方まで、教室内は英語でのやり取りが続く。資質形成にとって大事な幼少期にバイリンガルになることは、複眼思考を育て、外国人教員との英語でのやり取りで自らの意見を堂々と述べる習慣がつくということで評判がいい。
今のところ、社員の子どもが対象だが、島内の住民から、「うちの子も入れてほしい」という要望が寄せられている。
ウェルビーイング事業で
インターネット社会になり、いつでも、どこでも世界とつながるようになった。「淡路で十分に仕事がこなせます」と南部さん。
すでに南部さんは北淡地区で廃校となった小学校を改築し、洒落たレストランや、アニメのキャラクターをコンセプトにしたリゾートを開拓、運営している。
「ワーケーションの実践です」と南部さんは語る。
ワーケーション。仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語だが、さらに言えば、ウェルビーイング(well-being)の追求ということ。心身の健康を図ると共に、生活環境を含めて、健康・健全を求めていくという生き方。
人材派遣など人材サービス業で成長してきた同社だが、これからの成長を「ウェルビーイング事業で実現していきたい」と南部さんは語る。
地元の行事やイベントにも積極的に参加。人と人のつながりを求めるパソナグループのウェルビーイング経営である。
人間社会とは、常に混乱・混沌や矛盾を抱え込みながら、前進していくものなのかもしれない。
米中対立、それから派生した中国とロシアの接近、新興国同士で結束を図ろうとBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が結成されるなど、世界情勢はまさに流動的だ。
先の大戦が終結(1945)して79年が経つ。戦後約80年の間に、世界は資本主義対社会主義の対立による冷戦構造が長く続いた。
しかし、その冷戦も崩壊。社会主義革命の本家・ロシアは革命後に周辺諸国を巻き込んで〝ソ連邦〟を結成したものの、社会主義そのものが力を失った。
その象徴が『ベルリンの壁崩壊』(1989)。翌年、東西ドイツが統合し、1991年にはソ連邦が崩壊。
かつては共にソ連邦を形成していたロシアとウクライナは今や2年以上にわたる戦争状態にある。
こうした混乱・混沌の中で、西欧諸国はEU(欧州連合)を1993年に結成(当初加盟国は12カ国、現在27カ国)。1999年には共通通貨・ユーロが発行された。
混乱・混沌は新しい秩序を生み出し、国と国、人と人をつなぐ動きを生み出すという側面もある。
国も人も変化し続ける
欧州は、歴史的にも数多くの戦乱を経験してきた。ドイツとフランスの国境にあるアルザス・ロレーヌ地方などは、戦争の度に、時にドイツ(当時はプロイセン)の領土になり、第1次世界大戦でドイツが敗戦国になると、フランス領に戻されるなど、戦争に翻弄される歴史をたどってきた。
国や人間社会には争いが付き物。第2次世界大戦時には、ドイツ・ヒットラーのナチズムによるユダヤ人大虐殺という悲惨な歴史が刻まれた。
国と国のつながりとは?
中国は毛沢東亡き後、最高実力者となった鄧小平が1978年、改革開放路線を採択。以来、中国は経済成長を遂げ、2010年にはGDP(国内総生産)で日本を抜いて、米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった。
その改革開放路線から50年近くが経ち、日中間には様々な問題が生じている。〝台湾有事〟も囁かれる中、中国では日本のビジネスマンが当局に拘束され、日本人の小学生が刺殺されるなど痛ましい〝事件〟も発生。
緊張感の伴う中で、国と国のつながりをどう求めていくかという今日的命題である。
日本の政治で思うこと
そして今また、世界は新たなステージを迎えようとしている。
この稿を書いているのは、総選挙(10月27日)の行われる数日前のこと。米大統領選も2週間後という時点で、米大統領がトランプ、ハリス両氏のどちらになるかで、世界の行方も左右されるという緊張感のある状況にある。
トランプ氏が選ばれれば、ウクライナ戦争の行方は大きく変わる。ウクライナ支援に否定的なトランプ氏は、「ロシアのプーチン大統領を説得できるのは自分だ。すぐに停戦に持っていく」と公言している。
こうした氏の発言の裏には、「自分の国は自分の手で守れ」という考え方がある。主権のある国にとって当たり前のことを言っているわけで、この考え方に首肯する向きも少なくない。これは日米同盟の在り方にも影響してくる話である。
一方で、侵略を始めたのはロシアであり、ロシアを許すわけにはいかないという考えも根強い。
混乱・混沌の中で、国も人もどう生きていくかを考えなければいけない時だと思う。
それにしても、今回の日本の総選挙では、国のあり方、日本の針路についての根本的な政策議論が少なかったように思える。
野党は〝裏金問題〟で与党を追及し、与党側は反省の姿勢を見せながら、日本の経済再生などを訴えるが、〝骨太の政策〟を示したガップリ四つの論争にはなっていなかったと思う。
食料を含めた経済安全保障、日米同盟のあり方、対中国問題、人口減、少子化・高齢化の流れの中で、どうやって国の基本軸をつくり、日本に活力を取り戻すかという命題。日本国、および日本国民の真価が問われている。
淡路島に本社を移転して…
パソナグループは本社機能を東京・南青山から、兵庫県・淡路島に移転させるべく、着々と動いている。
「人間らしく、生き生きと」─。パソナグループの創業者・南部靖之さん(1952年=昭和27年1月生まれ)が本社移転計画を発表したのは2020年9月のこと。
以来4年が経ち、本社勤務の3分の2に当たる約2000人が淡路島北部の淡路市で働いている。
東京一極集中が進む中、地方への大胆な本社移転を実行したのは同社一社ぐらいであろう。
都会に居ると、医療から子供の教育、また娯楽のなどでも利便性が良いと言われるが、淡路ではどうか?
パソナグループの場合、社員の年齢が若く、子供の教育などをどうするかといったことに社員の関心が集まる。それらについても、同社は先手先手を打っている。
島内に保育所を数カ所つくり、また「教育も先進的なものを取り入れよう」と南部さんはすでに『淡路島インターナショナルスクール』を新設した。
教員はほとんど外国人で、朝から夕方まで、教室内は英語でのやり取りが続く。資質形成にとって大事な幼少期にバイリンガルになることは、複眼思考を育て、外国人教員との英語でのやり取りで自らの意見を堂々と述べる習慣がつくということで評判がいい。
今のところ、社員の子どもが対象だが、島内の住民から、「うちの子も入れてほしい」という要望が寄せられている。
ウェルビーイング事業で
インターネット社会になり、いつでも、どこでも世界とつながるようになった。「淡路で十分に仕事がこなせます」と南部さん。
すでに南部さんは北淡地区で廃校となった小学校を改築し、洒落たレストランや、アニメのキャラクターをコンセプトにしたリゾートを開拓、運営している。
「ワーケーションの実践です」と南部さんは語る。
ワーケーション。仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語だが、さらに言えば、ウェルビーイング(well-being)の追求ということ。心身の健康を図ると共に、生活環境を含めて、健康・健全を求めていくという生き方。
人材派遣など人材サービス業で成長してきた同社だが、これからの成長を「ウェルビーイング事業で実現していきたい」と南部さんは語る。
地元の行事やイベントにも積極的に参加。人と人のつながりを求めるパソナグループのウェルビーイング経営である。