世界で知名度が浸透し 初めて売上3兆円を突破!
「『ユニクロ』の知名度がグローバルで高まっていることで、各国・各地域で現地の顧客層を拡大していることに加え、観光客の需要も取り込めたことで、非常に好調な業績となった」
ファーストリテイリング グループ上席執行役員CFO(最高財務責任者)の岡﨑健氏はこう語る。
ファーストリテイリングの2024年8月期の売上収益が、初めて3兆円を突破した。日本の小売業では、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぐ存在だ。
連結業績は、売上収益3兆1038億円(前年同期比12・2%増)、営業利益5009億円(同31・4%増)、純利益3719億円(同25・6%増)と、いずれも過去最高を更新。『ユニクロ』の知名度が海外でも高まっていることから国内外で販売が好調だった。
積極的なグローバル展開で成長を続けるユニクロ。すでに海外の店舗数は1698と、国内(797)の倍以上(今年8月末時点)。グループの稼ぎ頭は海外ユニクロ事業である。
そうした中にあって、今回注目されるのは、国内ユニクロ事業が売上収益9322億円、営業利益1558億円と、過去最高の業績を達成したこと。マーケティング強化などの要因もあるが、最も大きいのはインバウンド(訪日観光客)需要。ユニクロの認知度が海外でも高まり、日本に来た旅行客がこぞってユニクロ商品を購入した。
こうした旺盛なインバウンド需要を取り込もうと、10月25日、東京・新宿に同エリア最大規模となる『ユニクロ 新宿本店』が誕生した。日本では取り扱っていない欧米向け商品を販売する他、Tシャツやトートバッグをカスタマイズしてつくることもできる。
実はこの場所。2012年からビックカメラと共同で『ビックロ』として運営していたが、2022年に契約満了に伴い閉店。しかし、コロナ禍を経て、インバウンドが増加しており、グローバル旗艦店という位置づけで再挑戦することになった。
マクロで考えれば、少子高齢化、人口減少時代にあって、国内需要はどうみても縮小する。それでも、国内で需要を掘り起こすことはできると目論んでの、同社の再挑戦。
ファーストリテイリング グループ執行役員の遠藤真廣氏は「社内では〝第4創業〟と言っているが、ここは今後、当社が5兆円、10兆円を目指すにあたっての最初のグローバル旗艦店。最新のサービスや商品を毎日お届けし、結果的に世界一の売上を誇る店舗にしたい」と語る。では、第4創業とはどのような意味があるのか?
ユニクロは今年6月、1984年に広島市で『ユニクロ』1号店を出店してから創業40周年の節目を迎えた。2001年には海外初出店となる英ロンドンへ進出。以来、何度も失敗を重ねながら、積極的なグローバル経営を推進。2005年に初めて海外店舗が成功した香港進出が第2の創業。
第3創業は2013年。ユニクロのコンセプトを「LifeWear(究極の普段着)」と再定義し、大量生産・大量消費を前提とするファストファッションとは一線を画すことを明確化。今では『ZARA』のインディテックス(スペイン)、『H&M』(スウェーデン)に次ぐ、世界3位のアパレル小売業に成長した。
現在は第4創業として、真のグローバルプレイヤー・世界一のブランドづくりを推進している真っ只中。そうした流れにあっての今回の新宿本店のオープンである。
創業者で現会長兼社長の柳井正氏は「現時点では、真のグローバルブランドを目指す競争にやっと出場資格を得た段階にすぎない」と謙遜しつつも、「世界が大きく変化し、会社の基礎もできつつある今こそ、次の成長への絶好のタイミング」と更なる成長を見据えている。
どうしても つきまとう後継者問題
過去20年を振り返ると、同社は2000年に売上約3000億円、2013年に1兆円、2024年に3兆円と、だいたい10年スパンで会社規模を3倍に拡大してきた。今後はさらに成長のスピードを加速させることで、約10年後には10兆円を達成したい考えだ。
そのために、どうしても付きまとうのが〝ポスト柳井〟を巡る後継者問題。現在75歳で、まだまだパワフルな柳井氏だが、10年後は85歳。未来永劫、柳井氏に頼り続けるわけにもいかないだろう。
昨年、事業会社ユニクロの社長に当時44歳の塚越大介氏が就任した。しかし、塚越氏は本体の次期社長の〝有力候補〟だが、まだ現時点では今後の功績次第といったところ。
同社ではゴールドマン・サックス証券出身の柳井一海氏、三菱商事出身の柳井康治氏が取締役に就く。それでも、柳井氏は2人の子息を後継にせず、株主として経営をガバナンスする立場として考えており、依然後継者問題はくすぶり続けている。
こうした中、「グローバルな市場では、国の垣根や業界の際が消え、企業の真の力が問われる時代になった。商売とは当たり前のことの繰り返し。目先の利益に惑わされることなく、お客様にとって最高の商品、最高のサービスを実現する。最終的に生き続けることができるのは、そういう企業だけだと考えている」と語る柳井氏。
売上3兆円と言っても、世界中の店舗で1枚、1枚の服を販売したことの積み重ね。地道な努力を重ねつつも、世界一のブランドづくりに向けて意気軒高な柳井氏である。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の見方「石破茂首相の経済政策」
「『ユニクロ』の知名度がグローバルで高まっていることで、各国・各地域で現地の顧客層を拡大していることに加え、観光客の需要も取り込めたことで、非常に好調な業績となった」
ファーストリテイリング グループ上席執行役員CFO(最高財務責任者)の岡﨑健氏はこう語る。
ファーストリテイリングの2024年8月期の売上収益が、初めて3兆円を突破した。日本の小売業では、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぐ存在だ。
連結業績は、売上収益3兆1038億円(前年同期比12・2%増)、営業利益5009億円(同31・4%増)、純利益3719億円(同25・6%増)と、いずれも過去最高を更新。『ユニクロ』の知名度が海外でも高まっていることから国内外で販売が好調だった。
積極的なグローバル展開で成長を続けるユニクロ。すでに海外の店舗数は1698と、国内(797)の倍以上(今年8月末時点)。グループの稼ぎ頭は海外ユニクロ事業である。
そうした中にあって、今回注目されるのは、国内ユニクロ事業が売上収益9322億円、営業利益1558億円と、過去最高の業績を達成したこと。マーケティング強化などの要因もあるが、最も大きいのはインバウンド(訪日観光客)需要。ユニクロの認知度が海外でも高まり、日本に来た旅行客がこぞってユニクロ商品を購入した。
こうした旺盛なインバウンド需要を取り込もうと、10月25日、東京・新宿に同エリア最大規模となる『ユニクロ 新宿本店』が誕生した。日本では取り扱っていない欧米向け商品を販売する他、Tシャツやトートバッグをカスタマイズしてつくることもできる。
実はこの場所。2012年からビックカメラと共同で『ビックロ』として運営していたが、2022年に契約満了に伴い閉店。しかし、コロナ禍を経て、インバウンドが増加しており、グローバル旗艦店という位置づけで再挑戦することになった。
マクロで考えれば、少子高齢化、人口減少時代にあって、国内需要はどうみても縮小する。それでも、国内で需要を掘り起こすことはできると目論んでの、同社の再挑戦。
ファーストリテイリング グループ執行役員の遠藤真廣氏は「社内では〝第4創業〟と言っているが、ここは今後、当社が5兆円、10兆円を目指すにあたっての最初のグローバル旗艦店。最新のサービスや商品を毎日お届けし、結果的に世界一の売上を誇る店舗にしたい」と語る。では、第4創業とはどのような意味があるのか?
ユニクロは今年6月、1984年に広島市で『ユニクロ』1号店を出店してから創業40周年の節目を迎えた。2001年には海外初出店となる英ロンドンへ進出。以来、何度も失敗を重ねながら、積極的なグローバル経営を推進。2005年に初めて海外店舗が成功した香港進出が第2の創業。
第3創業は2013年。ユニクロのコンセプトを「LifeWear(究極の普段着)」と再定義し、大量生産・大量消費を前提とするファストファッションとは一線を画すことを明確化。今では『ZARA』のインディテックス(スペイン)、『H&M』(スウェーデン)に次ぐ、世界3位のアパレル小売業に成長した。
現在は第4創業として、真のグローバルプレイヤー・世界一のブランドづくりを推進している真っ只中。そうした流れにあっての今回の新宿本店のオープンである。
創業者で現会長兼社長の柳井正氏は「現時点では、真のグローバルブランドを目指す競争にやっと出場資格を得た段階にすぎない」と謙遜しつつも、「世界が大きく変化し、会社の基礎もできつつある今こそ、次の成長への絶好のタイミング」と更なる成長を見据えている。
どうしても つきまとう後継者問題
過去20年を振り返ると、同社は2000年に売上約3000億円、2013年に1兆円、2024年に3兆円と、だいたい10年スパンで会社規模を3倍に拡大してきた。今後はさらに成長のスピードを加速させることで、約10年後には10兆円を達成したい考えだ。
そのために、どうしても付きまとうのが〝ポスト柳井〟を巡る後継者問題。現在75歳で、まだまだパワフルな柳井氏だが、10年後は85歳。未来永劫、柳井氏に頼り続けるわけにもいかないだろう。
昨年、事業会社ユニクロの社長に当時44歳の塚越大介氏が就任した。しかし、塚越氏は本体の次期社長の〝有力候補〟だが、まだ現時点では今後の功績次第といったところ。
同社ではゴールドマン・サックス証券出身の柳井一海氏、三菱商事出身の柳井康治氏が取締役に就く。それでも、柳井氏は2人の子息を後継にせず、株主として経営をガバナンスする立場として考えており、依然後継者問題はくすぶり続けている。
こうした中、「グローバルな市場では、国の垣根や業界の際が消え、企業の真の力が問われる時代になった。商売とは当たり前のことの繰り返し。目先の利益に惑わされることなく、お客様にとって最高の商品、最高のサービスを実現する。最終的に生き続けることができるのは、そういう企業だけだと考えている」と語る柳井氏。
売上3兆円と言っても、世界中の店舗で1枚、1枚の服を販売したことの積み重ね。地道な努力を重ねつつも、世界一のブランドづくりに向けて意気軒高な柳井氏である。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の見方「石破茂首相の経済政策」