政府効率化省のトップに起用
米国でトランプ前大統領の再登板が決まり、同氏の当選確実が伝わって以降、応援する米実業家のイーロン・マスク氏が経営トップを務める電気自動車(EV)・テスラの株価が急騰している。自動運転技術の開発促進や、同社に有利なように規制緩和が進むとの観測が材料となっている。
トランプ氏はマスク氏を「超天才だ」などと称賛。次期政権では新設する「政府効率化省」のトップに起用する。同省は行政効率化に向けて予算削減などについて検討する組織。ただ、「どのような仕事をするのかはまだよく分からない」(アナリスト)ことなどから、所掌範囲に規制緩和の見直しが入るといった憶測も広がっている。
EV推進に消極的なトランプ氏の復権が確定したことで、テスラの事業環境にも不透明感が漂っていることも事実。2024年第3四半期決算において、中国の電気自動車(EV)メーカー・比亜迪(BYD)に四半期売上高で抜かれている。
こうした中で生き残りをかけた切り札となるのが、自動運転や人工知能(AI)の開発だ。マスク氏が政権入りすれば、テスラのビジネス環境にもプラスに働くとの思惑から、同株はトランプ氏の復権が確定して以降、20%以上値を上げた。ただ、急速に買いが入ったことから、「どこかで調整局面を迎える」(投資家)可能性が高い。
また、トランプ氏が環境規制強化に後ろ向きな姿勢を示していることから、石油などエネルギー関連株も比較的順調に推移している。
一方、リスク要因は同氏が目指す追加関税だ。輸入品に一律10%課せば、輸入価格の上昇を通じ、落ち着いてきた米国のインフレが再燃することは必至。自動車や素材などあらゆる製品の対米輸出も落ち込み、日本企業の業績が悪化することも避けられない。日本企業では「取りうるべき対策を決めたい」(自動車メーカー)など警戒感が漂っている。
米国が追加関税を導入すれば、関税のかけ合いとなる貿易戦争に発展し、世界経済の縮小や株安につながる負の連鎖に陥るリスクと隣り合わせになる事態も想定される。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の見方「石破茂首相の経済政策」
米国でトランプ前大統領の再登板が決まり、同氏の当選確実が伝わって以降、応援する米実業家のイーロン・マスク氏が経営トップを務める電気自動車(EV)・テスラの株価が急騰している。自動運転技術の開発促進や、同社に有利なように規制緩和が進むとの観測が材料となっている。
トランプ氏はマスク氏を「超天才だ」などと称賛。次期政権では新設する「政府効率化省」のトップに起用する。同省は行政効率化に向けて予算削減などについて検討する組織。ただ、「どのような仕事をするのかはまだよく分からない」(アナリスト)ことなどから、所掌範囲に規制緩和の見直しが入るといった憶測も広がっている。
EV推進に消極的なトランプ氏の復権が確定したことで、テスラの事業環境にも不透明感が漂っていることも事実。2024年第3四半期決算において、中国の電気自動車(EV)メーカー・比亜迪(BYD)に四半期売上高で抜かれている。
こうした中で生き残りをかけた切り札となるのが、自動運転や人工知能(AI)の開発だ。マスク氏が政権入りすれば、テスラのビジネス環境にもプラスに働くとの思惑から、同株はトランプ氏の復権が確定して以降、20%以上値を上げた。ただ、急速に買いが入ったことから、「どこかで調整局面を迎える」(投資家)可能性が高い。
また、トランプ氏が環境規制強化に後ろ向きな姿勢を示していることから、石油などエネルギー関連株も比較的順調に推移している。
一方、リスク要因は同氏が目指す追加関税だ。輸入品に一律10%課せば、輸入価格の上昇を通じ、落ち着いてきた米国のインフレが再燃することは必至。自動車や素材などあらゆる製品の対米輸出も落ち込み、日本企業の業績が悪化することも避けられない。日本企業では「取りうるべき対策を決めたい」(自動車メーカー)など警戒感が漂っている。
米国が追加関税を導入すれば、関税のかけ合いとなる貿易戦争に発展し、世界経済の縮小や株安につながる負の連鎖に陥るリスクと隣り合わせになる事態も想定される。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の見方「石破茂首相の経済政策」