Infoseek 楽天

SHIPS社長・原裕章「届けるのは〝最高の普通〟セレクトショップ老舗の伝統を守り、トレンドに左右されず王道を歩む」

財界オンライン 2025年1月21日 11時30分

大学1年生のアルバイトからSHIPS一筋

 今年5月に創業者・三浦義哲から引き継ぐ形で社長に就任しました。音楽を中心にアメリカンカルチャーに魅せられていたわたしは、大学入学後にアメリカからの輸入品を扱っていたセレクトショップのミウラ&サンズで販売員としてアルバイトをはじめます。このころから45年間、会長・三浦と会社とともに歩んできました。

 大学での授業は午前中に詰め、午後はお店で大好きな物に触れられる仕事に没頭するような生活。当時はまだ輸入品を扱う会社は少なく珍しかったので、仕入れで届く商品の箱を開ける時間が何より楽しかったです。

 大量生産方式のショップとは違い、われわれセレクトショップはお客様の高揚感を感じることができるお手伝いをすることが使命だと感じています。販売員として大事なことは、人の喜びを自分の喜びにできること。業界新聞社で実施されているサービス教育賞という、販売員の販売力が高いブランドに送られる賞の受賞は何よりも嬉しかったです。


ブランドパーパスを刷新し来年創業50周年を迎える

 コロナ禍を経て当社でもECでの販売比率も高まっていますが、当社の価値はやはりお店での体験価値だと思います。

 お店に足を踏み入れた瞬間にカテゴリーごとにコンセプトに合った香りが漂い、リラックスした中でお買い物を楽しんでいただく。それから店に流すBGMも著名な音楽家に依頼し、季節やコンセプトに合わせてオリジナルの選曲を毎月作ってブランドを表現しています。こういった五感に訴えるような、お客様が行くだけでなんだか良い気分になる店づくりというのを昔から大事にしています。これは他社にはない特徴であり、当社独自の演出です。

 当社は上野アメ横からスタートし、1975年の渋谷出店時に法人化、来年50周年を迎えます。新たな節目を迎えるために、昨年管理職の社員約120人を集め、これからのSHIPSの羅針盤についてアイディアを出し合いました。いろいろ議論を重ねた結果、われわれは流行を追うだけではなく高品質で長持ちする商品を扱い、日常に溶け込む〝最高の普通〟を目指すということで一致しました。

 新しい自分のお気に入りの洋服やアイテムを身に着けることは、日々の幸福感や人生のモチベーションにもつながります。そういった一点一点がお客様のお気に入りの商品になるようなものを揃えていきたいと思っています。

 9月からは新しく若い世代へのアプローチする新メンズレーベルも販売開始しています。これはトレンドを入れたユニセックスでも利用できるブランドコンセプトです。

 われわれは全て直営店での運営のため出店ペースはゆっくりですが、全社員に会社のミッションや思いが行き届く丁寧な経営をしていく方針です。当たり前のことを当たり前にやり続ける大切さということを、これからも社員全員で実行していきたいと思っています。

この記事の関連ニュース