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【2025年をどう占いますか?】答える人 大日本印刷社長・北島義斉

財界オンライン 2025年1月10日 7時0分

印刷と情報の技術を核に
医薬品やメタバースにも進出

 ─ 半導体を含めて様々な産業と関わりを持ち、幅広い事業を展開している大日本印刷社長の北島義斉さん。2024年はどのような年でしたか。

 北島 ディスプレイに活用される「光学フィルム」や有機ELディスプレイ製造用の「メタルマスク」、IT向け「バッテリーパウチ」はある程度好調に推移しました。一方、車載向けはEV(電気自動車)需要停滞の影響で予想ほど進まなかったですね。

 ─ トランプさんが米国大統領に就任すればEVの普及が遅くなる可能性がありますね。

 北島 ですからコングロマリット・ディスカウントとの指摘もありますが、競争力のあるバッテリーパウチやエレクトロニクス関連だけに注力せず、他の事業もバランスよくやることで、大きく沈まず、事業を拡大していけると考えています。

 各事業の構造改革をしながら一本ずつを強くする。例えば、出版印刷はどうしても仕事量が減っていきますが、製造と営業を一体化し、より効率的な組織に再編成します。25年4月に実行予定です。

 ─ 事業の多角化に対して投資家との対話は、どのようなスタンスで展開していこうと考えていますか。

 北島 スマートコミュニケーション部門、ライフ&ヘルスケア部門、エレクトロニクス部門の3セグメントで、バランスを取りながら成長していきたいと説明しています。着実に対話をしながら中期経営計画で発表した3900億円以上の事業投資と3000億円程度の自己株式の取得をスケジュールに沿って淡々とやるつもりです。

 ─ 今後、有望な事業としてメディカル・ヘルスケア関係はありますか。

 北島 あります。印刷技術の強みを生かし、既に展開している医療パッケージや原薬事業に加え、23年にはM&Aで製剤事業も獲得しました。印刷技術を生かした画像診断事業なども展開しています。

 他にはメタバース(ネット上の仮想空間)があります。東京都や静岡県の学校で不登校などの理由で学校の環境に対応できない児童・生徒を対象に、3Dメタバースで居場所や学習機会を提供するサービスを提供しています。このメタバースも我々が培ってきた情報化技術の応用です。

 最近では、生活者が自治体のサービスをネット上で利用できる「メタバース役所」の提供も始めました。中でも埼玉県からは、魅力発信やイベント開催、県民の相談事に職員や専門員が対応する窓口を含め、1000人規模でやりたいというご要望がありました。

 途中で失敗したものもありますが、「P&I(印刷と情報)」の強みを掛け合わせ、世の中にないものを創り出す挑戦を今後も続けていきます。

AnyMind Group代表取締役CEO・十河宏輔の「アジアを代表するテクノロジーカンパニーになる!」

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