企業の景況感は、大企業では概ね良好な水準を維持している。日銀が発表した企業短期経済観測調査(日銀短観)の2024年12月調査では、大企業・製造業の業況判断DI(回答比率「良い」-「悪い」)が+14になり、わずかながらも2四半期ぶりに上昇した。また、同・非製造業は1ポイント低下の+33で、高い水準が維持された。
だが、1月20日に米国で始動する「トランプ2.0」への警戒感もあり、25年の景気・企業業績について手放しで楽観的にみている企業経営者は少ないのではないか。
「タリフマン」を自称するトランプ氏が関税の上乗せを武器に、日本を含む他国に対して無理難題を押しつけてくる可能性を、どうしても意識せざるを得ない。
ほかにも、日本経済のウィークポイントはある。今回の日銀短観では、大企業・非製造業の業況判断DIの業種別内訳で、「小売」が+13(前期比▲15)になり、低下幅の大きさが目立った。また、旺盛なインバウンド需要や「コロナ明け」需要の取り込みで好調なはずの「宿泊・飲食サービス」は+40(同▲12ポイント)、先行き(25年3月予測)はさらに低い+37で、陰りが見える。
これら2業種に「対個人サービス」を加えた3つの業種は、個人消費・消費者物価指数と直接関連している。「対個人サービス」の上記DIは+18(前期比横ばい)で、先行き予測も同水準になった。
消費関連3業種が、力強く回復するどころか、足元で景況感がやや下向きになっていることは、追加利上げを目指す日銀が唱える「賃金と物価の好循環」には逆風である。また、政府は実質賃金のプラス定着と個人消費の強い回復を目指しているが、前途は多難と言わざるを得ない。
さらに、中小企業を中心に企業収益が変調しつつある点も見逃せない。
財務省が発表した24年7-9月期の法人企業統計調査で、全産業(除く金融業・保険業)の経常利益は前年同期比▲3.3%になった。減益は7四半期ぶりである。
内訳では、製造業が前年同期比▲15.1%と弱い一方、非製造業は同+4.6%で持ちこたえた。
だが、上場企業の決算集計から考えて、非製造業に関しては一部の純粋持ち株会社における受取配当増という特殊要因によって、数字が上振れした可能性がある。
資本金別に見ると、「10億円以上」(大企業)が前年同期比+4.1%、「1億円~10億円」(中堅企業)が同▲4.2%、「1千万円~1億円」(中小企業)が同▲22.1%。中小企業を中心に収益状況は悪化しており、25年以降も高率の賃上げが続くことを暗黙の前提にしている「賃金と物価の好循環」には逆風である。
25年の景気は、「高度が低い」中で、米国発の動きによって揺さぶられる展開になりそうである。
だが、1月20日に米国で始動する「トランプ2.0」への警戒感もあり、25年の景気・企業業績について手放しで楽観的にみている企業経営者は少ないのではないか。
「タリフマン」を自称するトランプ氏が関税の上乗せを武器に、日本を含む他国に対して無理難題を押しつけてくる可能性を、どうしても意識せざるを得ない。
ほかにも、日本経済のウィークポイントはある。今回の日銀短観では、大企業・非製造業の業況判断DIの業種別内訳で、「小売」が+13(前期比▲15)になり、低下幅の大きさが目立った。また、旺盛なインバウンド需要や「コロナ明け」需要の取り込みで好調なはずの「宿泊・飲食サービス」は+40(同▲12ポイント)、先行き(25年3月予測)はさらに低い+37で、陰りが見える。
これら2業種に「対個人サービス」を加えた3つの業種は、個人消費・消費者物価指数と直接関連している。「対個人サービス」の上記DIは+18(前期比横ばい)で、先行き予測も同水準になった。
消費関連3業種が、力強く回復するどころか、足元で景況感がやや下向きになっていることは、追加利上げを目指す日銀が唱える「賃金と物価の好循環」には逆風である。また、政府は実質賃金のプラス定着と個人消費の強い回復を目指しているが、前途は多難と言わざるを得ない。
さらに、中小企業を中心に企業収益が変調しつつある点も見逃せない。
財務省が発表した24年7-9月期の法人企業統計調査で、全産業(除く金融業・保険業)の経常利益は前年同期比▲3.3%になった。減益は7四半期ぶりである。
内訳では、製造業が前年同期比▲15.1%と弱い一方、非製造業は同+4.6%で持ちこたえた。
だが、上場企業の決算集計から考えて、非製造業に関しては一部の純粋持ち株会社における受取配当増という特殊要因によって、数字が上振れした可能性がある。
資本金別に見ると、「10億円以上」(大企業)が前年同期比+4.1%、「1億円~10億円」(中堅企業)が同▲4.2%、「1千万円~1億円」(中小企業)が同▲22.1%。中小企業を中心に収益状況は悪化しており、25年以降も高率の賃上げが続くことを暗黙の前提にしている「賃金と物価の好循環」には逆風である。
25年の景気は、「高度が低い」中で、米国発の動きによって揺さぶられる展開になりそうである。